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2013年06月19日

インスリン療法中の糖尿病患者2,650人の調査結果を発表

 現在受けている治療に対する満足感を聞いたところ、約半数は「満足している」と答え、「不満」に感じている人は1割強にとどまった。治療自体への満足感は高いものの、糖尿病治療で不満に感じている点では、約8割が「医療費」と答え、約半数が「長期の治療が必要/治らない」、2割が「治療効果を実感できない」と続き、医療費が重くのしかかっている現状がここでも見受けられた。

 さらに、治療をやめたいと考えたことがあるか?について聞いたところ、44%が「ある」と答え、14%は「何度もある」とのことだった。その理由としても、約8割が「医療費負担が重い」が1位。現在日本では、糖尿病の治療中断・未治療者が糖尿病と診断された人の約半数(約400万人)いるとされているが、医療費負担はその大きな理由の1つになっていると考えられる。

患者のライフスタイルや経済状況を
視野に入れた治療方針が求められる


 現在、沢山のインスリン製剤が発売されており、発現・作用時間、注射回数、価格などはそれぞれ異なる。そこで、インスリン療法を開始する際に、インスリン製剤を誰がどのように決め、患者は選択肢の提示や説明を受けたかを聞いたところ、9割の患者が主治医の勧めに従って使用するインスリン製剤を決め、選択肢の提示を受けた人は4人に1人だった。さらに、同等の効果でもっと価格の安いインスリン製剤があったら使いたいか?との問いには、9割の患者が「使いたい(切り替えたい)」と答えた。今回、医療費を大きなテーマにしていることもあり、とくに“価格”が注視されているが、主治医には、患者ごとの治療方針、コントロール状態はもちろん、ライフスタイルや経済状況なども加味しながら、選択肢を提示してほしいとの思いが垣間見える。

 本調査について、弘世貴久先生は(東邦大学医学部内科学講座糖尿病代謝内分泌学分野教授)は、「糖尿病患者さんから治療費についてあまり相談されたことがありませんでしたが、ここまで負担を感じておられるとは、正直想像していませんでした。患者さん方が糖尿病、そしてインスリンと上手に付き合っていけるよう、医師としてきちんと治療選択肢を提示し、患者さんと話し合っていくことが非常に重要であると感じました。ぜひ、患者さんからも躊躇することなく、医療費の問題など治療に関する疑問について、どんどん医師に相談していただきたい」とコメントを寄せている。

 調査では、回答者からの膨大なコメントが寄せられ、その一部も紹介している。また今後、クロス集計などの追加データも随時効果時していく予定。  本調査結果が、インスリン療法患者の実情とその思いを広め、医療費負担の深刻さ、治療への理解を深めていただくきっかけになることを心から願いたい。

「インスリン療法と医療費に関するアンケート」調査結果

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[ DM-NET ]
日本医療・健康情報研究所

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