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2013年02月07日
糖尿病と歯周病の深い関係 医科歯科連携が必要
歯周病は、歯の周囲の歯茎などの組織に細菌が感染して起こる慢性的な感染症だ。歯周病は「糖尿病の6番目の合併症」であり、糖尿病の人はそうでない人に比べ歯肉炎や歯周炎にかかっている人が多いという疫学調査が報告されている。
なぜ、糖尿病の人は歯周病になりやすいのかは、まだ十分に解明されていないが、高血糖が続くと体の免疫機能が低下してさまざまな感染症にかかりやすくなり、糖分を多く必要とする歯周病菌が増殖しやすくなるためではないかと考えられている。
さらに最近、歯周病になると糖尿病の症状が悪化し、歯周病を治療することで血糖コントロールも改善するという逆の関係もあきらかになってきた。日本歯周病学会の『糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン』では、「組織破壊は感染と最終糖化産物誘導サイトカインの両者によって相互に影響を受けている。糖尿病に対する歯周治療の効果が注目されている」と指摘している。

歯周病が重症すると、その炎症や歯周病原細菌は口の中にとどまらない。細菌や細菌代謝産物の塊であるプラークは、歯に層を形成して付着している。プラークが付着すると、歯周病原細菌のさまざまな代謝産物や内毒素が体に攻撃を与える。
歯周病菌の死骸が内毒素と呼ばれる多量の毒素をまき散らすことが、血糖値にも悪影響を及ぼす。血液中の内毒素は、脂肪組織や肝臓からの炎症性サイトカインであるTNF-αの産生を促す。TNF-αは、血液中の糖分の取り込みを抑える働きもあるため、インスリンの働きも悪くなる。
つまり、歯周病はTNF-αの分泌を活発にすることで血糖値のコントロールを悪化させ、結果的に糖尿病の発症につながる可能性があると考えられている。
中川教授の研究グループは、歯周病を合併した糖尿病の患者に、抗菌薬を用いた歯周病治療を行った。その結果、血液中のTNF-α濃度が低下するだけではなく、血糖値のコントロール状態を示すHbA1c値も改善するという結果が得られた。
気を付けなければならないのは、糖尿病の罹病期間が長いと血管系の合併症が増えるのと同じように、糖尿病罹病期間が長いほど歯周病に罹りやすいことだという。
多くの歯科医師は口の中だけで治療するのではなく、糖尿病を診療する医師と連携して患者全体を診る中で、口の中の管理を担うという立場として、糖尿病をよく理解する必要があるという自覚をもっている。
糖尿病患者の治療に口腔ケアについて、感染に対するリスクが高いという認識を常にもってもらい、より丁寧にブラッシングしプラークコントロールを厳密に行い、普通の患者では1年に1回でいいメンテナンスケアを少し間隔を短めにするといった心がけが必要だと、中川教授は強調している。
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