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2012年12月21日
食事と運動に積極的に取り組めば糖尿病は改善する
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米国疾病予防管理センター(CDC)が主導したこの研究は、体格指数(BMI)が25以上の過体重や肥満の2型糖尿病患者4,503人(45〜76歳)が参加して行われた。
2型糖尿病は年齢が高くなると、次第に進行していく病気だ。糖尿病合併症を予防するための治療が重要で、そのために血糖や血圧、脂質のコントロールが必要となる。治療を続け生活スタイルを改善すれば、正常な血糖レベルに戻することはできるが、完治するのは難しいと考えられている。
エドワード・グレッグ博士らは、肥満指数(BMI)が25以上の2型糖尿病患者4,503人を対象に、4年間の無作為化比較対象介入試験を行った。2001年8月から2004年4月まで行い、2008年4月まで追跡調査した。対象者を徹底した生活スタイルの改善を行う群(介入群)と糖尿病支援のカウンセリングを行う群(対照群)に分け比較した。
介入群(2,241人)は、最初の6ヵ月は毎週グループカウンセリングと個人指導を受け、その後の6ヵ月は毎月3セッションのカウンセリング、さらに次の2年目から4年目までは、月2回の面会と定期的な講習を受けた。総カロリー摂取を1日1200〜1800kcalに管理し、脂肪摂取量と飽和脂肪摂取量を減らし、1週間で175分運動することを目標にした。
一方、対照群(2,262人)は、1年間で3回、食事、運動、社会支援についてグループセッションを受けた。
その結果、介入群では、対照群に比べ体重が有意に減少した。1年後に介入群は8.6%減少したのに対して、対照群は0.7%減少した。4年後には介入群は4.7%減少したのに対して、対照群0.8%減少にとどまった。
運動量も介入群の方が多く増加しており、1年後には介入群が20.6%増加したのに対して、対照群は5.3%にとどまった。4年後には介入群が4.9%増加したのに対して、対照群では1.5%減少していた。
薬物療法を行わないで血糖値を正常域にコントロールできている患者(完全寛解患者)は、介入群で多くみられた。完全寛解の割合は、1年後では介入群1.3%に対して対照群0.1%、4年後には介入群0.7%に対して対照群0.2%だった。
副次的解析によると、介入群の被験者では、部分寛解もしくは完全寛解のいずれかの比率が増加しており、最初の年には11.5%が寛解したことが確かめられた。対照群では2.0%にとどまった。体重減少と運動量の増加を達成した患者で、HbA1cレベルは低く、寛解の割合は特に高い傾向がみられた。
「生活習慣の改善を徹底した群では、糖尿病の寛解が高い比率で認められました。9.2%は2年以上の寛解を経験し(対照群では1.7%)、6.4%は3年以上の寛解を経験しました(対照群では1.3%)。糖尿病合併症である網膜症や腎症の発症も減ることが予測されるので、今後の研究に期待しています」と研究者らは述べている。
世界中に増加している2型糖尿病は、深刻な合併症をもたらす。そのため効果的な治療法と予防法の開発が期待されている。
「今回の研究は、4,500人以上の2型糖尿病患者が参加して行われました。徹底的な生活習慣改善に取り組めば、薬物療法からの完全な離脱は難しいにしても、糖尿病を発症する前の状態に戻せることや、ある一定期間は薬なしで血糖コントロールを良好に保てることが確かめられました」と、研究者らはコメントしている。
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