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2012年10月22日
腰痛にはヨガが効く ライフスタイルが改善され医療負担も減る
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慢性や再発性の腰痛のある人が、医師のアドバイスを受けながらヨガに取り組むと、ライフスタイルが改善され、全般的に健康が増進するという研究結果が発表された。ヨガは腰痛の治療に役立てられるだけでなく、経済的負担の削減の効果もあるという。
この研究は、英ヨーク大学の研究チームが300人以上を対象に行ったもので、同種の研究では英国最大だという。 被験者は全員、慢性や再発性の腰痛や背痛のため医師の診察を受けたことがある人たちで、うち156人にヨガのクラスを受けてもらい(ヨガ群)、残る157人は医師の治療のみを受けた(対照群)。 3か月後に両グループを比較したところ、ヨガ群のほうが医師の対照群より、さまざまなことを30%ほど活発にこなすことができるようになった。 ヨガクラスの受講者で最も大きな改善がみられたのは、「座ったりつかまったりしないで着替える」「より長時間、立ったままでいる」「より速く歩く」といった日常での動作が向上した点で、活動に対する自信も増していた。 痛みについては、ヨガクラスの受講者のほうがやや痛みが少なくなったとの結果が示されたが、有意差はなかった。 一方、医療に関しては、ヨガが介在する治療は効果的であり、ヨガ教室の費用が患者1人あたり約3万8,000円(300ポンド)以下であった場合、費用対効果は高いという結論に達した。 ヨガ教室で指導を受けた患者は、腰痛や背痛により仕事を休んだ日は年間に4日だったが、対照群では12日と報告された。欠勤により生じた損失は、ヨガ群では約4万8,000円だったが、対照群では15万2,000円だった。 腰痛や背痛の治療を受ける英国人は約260万人に上り、治療の医療費の総額は年間約1800億円(13.7億ポンド)に上るとみられる。 研究チームでは、英国人の8割が人生のいずれかの時点で腰痛を経験しているにもかかわらず、効果的な治療法はほとんどないため、今回の発見は重要だと述べている。 研究主任のAlan Silman氏は「腰痛や背痛は非常に一般的な疾患で、代償も大きい。ヨガの指導を受けた患者は、痛みをコントロールできるようになっただけでなく、経済的負担の面でも利益があった。ヨガを行うことで腰痛や背痛のために欠勤する日が減った影響は大きい」と説明している。 Yoga: a cost-effective treatment for back pain sufferers?(ヨーク大学 2012年8月16日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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