ニュース
2012年09月19日
中年期のフィットネスが楽しい老年期の決め手に
- キーワード
- 運動療法

対象となったのは、長期追跡研究「クーパーセンター縦断研究(CCLS)」に参加した男女約1万9,000人。1970年の登録時年齢は49歳(中央値)だった。
研究チームは、参加者が65歳になった時点から、米国の高齢者向け公的医療保険であるメディケアの請求情報と、CCLSのデータとの関連を解析した。追跡期間(中央値)は26年。参加者の運動レベルを、トレッドミルでどの程度速く、長く走れるかにより評価し、5分位に分類した。
心疾患、アルツハイマー病、2型糖尿病、大腸がん、慢性腎疾患、慢性閉塞性呼吸疾患(COPD)などの慢性疾患は、高齢になると急速に発症が増えていく。
研究ではこうした慢性疾患を発症する割合は、中年期の運動レベルがもっとも高い人では、もっとも低い人に比べ低下することがあきらかになった。運動レベルが高いほど、平均寿命が長く、無病の期間が長いだけでなく、罹患する慢性疾患の数も少ない傾向も認められた。
また、若いうちからウォーキングやジョギング、ランニングといった有酸素運動を続けていると、歳をとってから慢性疾患の負担を少なくし、質の高い老年期を過ごせることもわかった。
追跡期間中に死亡した約2,400例を分析したところ、運動レベルの高い人では死亡前5年間に慢性疾患に罹患した割合が低下した。運動レベルがもっとも高い群では、もっとも低い群に比べて、4つ以上の慢性疾患を合併して過ごす期間が50%短く、逆に慢性疾患が1つまたはゼロという状態で過ごす期間は34%長かった。
「歳をとるのは誰にとっても避けられないことだが、活発な運動やフィットネスを続けていると、加齢に伴い増える慢性疾患の脅威を減らすことができる」とベリー氏は話す。
では、中年期の健康状態を向上させるにはどうすればいいのか。ベリー氏は「具体的にはトレッドミルで測定されるMETs(運動を行った時に安静状態の何倍のカロリーを消費しているかをあらわす指標)を上昇させることだろう。座って生活することの多い人が適度な運動に取り組んだ場合、METは1ないし2上昇する。成人は週に2.5時間以上、適度な有酸素運動を行うべきだ」と述べている。
Midlife fitness staves off chronic disease at end of life(サウスウェスタン医療センター 2012年8月27日)
運動療法の関連記事
- [高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
- 良い睡眠は糖尿病リスクを減らす 睡眠は「魔法の薬」 3つの方法で改善
- 座っている時間が糖尿病や肥満のリスクを上昇 わずか10分間の運動で血管が健康に 睡眠も改善
- 少し食べすぎただけで糖尿病? ストレスが糖尿病や肥満の原因に ウォーキングなどの運動でストレスを解消
- 「ラジオ体操」で糖尿病を改善 取り組みやすく続けやすい運動 フレイル対策の効果を検証
- 糖尿病ネットワーク【1年間に多く読まれたニュース トップ10】
- 年末年始は糖尿病の管理が難しい? 連休を上手に乗り切るための「8つのヒント」
- 運動が糖尿病や肥満の人の脳を活性化 ウォーキングなどの運動が脳のインスリンの働きを改善
- 握力が低下している人は糖尿病リスクが高い 握力や体力を維持して糖尿病リスクを減少
- 糖尿病があると脳の活動が低下しやすい? 脳の老化は健康的なライフスタイルにより防げる