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2012年04月02日

徳島で「世界レベルの糖尿病研究・開発」が進行中

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医療の進歩
 糖尿病全国ワースト・ワンという不名誉な記録をもつ徳島県は、「世界レベルの糖尿病研究開発」を進めており、その成果が評価されている。

 徳島県は、1993年から14年間ずっと「糖尿病死亡率全国ワースト・ワン」を記録した。2005年に県医師会と共同で「糖尿病緊急事態宣言」を行って県民あげての糖尿病対策運動を展開し、一時は改善したが、2008年から2年連続して再び全国ワースト・ワンの座に返り咲いてしまった。

 そこで県では徳島大学をはじめ産学官の連携により、地域の特性をいかしながら新たな検査・診断装置や治療法を開発し、県民の糖尿病死亡率の改善につなげる「健康・医療クラスター構想」を推進している。

徳島の糖尿病の研究開発は「A」評価
 徳島大学糖尿病臨床・研究開発センターなどを核として実施されている「徳島 健康・医療クラスター」(本部長:飯泉嘉門・徳島県知事)は2009年に、文部科学省の「地域イノベーション戦略支援プログラム」の支援事業に採択された。この機会に、徳島が「世界レベルの糖尿病研究開発・臨床拠点」として世界に発信できるよう取り組みを進めたいと考えている。

 戦略支援プログラムは、世界中から人材、投資、情報をひきつける世界レベルのクラスター形成を目的に5年間で実施している事業。徳島の糖尿病関連の研究機関や、大手製薬企業や高いものづくり技術をもった企業が力をあわせ、糖尿病克服に取り組む県や市町村など地域特性を最大限にいかし、世界共通の課題である「糖尿病の克服」のために、先進的な研究開発をグローバルに展開している。

 文科省の支援プログラムの中間評価で、県の糖尿病研究は2番目に高い「A」と評価された。研究開発の着実な成果は高く評価されている。主な研究内容は次の通り――

  1. 糖尿病克服に向けた先進的臨床研究
    (研究代表者:船木真理・徳島大学糖尿病対策センターセンター長)
     徳島県における糖尿病・メタボリックシンドロームの発症過程とその原因を探るコホート研究を1,400人規模で実施。

  2. 糖尿病および関連疾患の診断法及び検査・診断装置の開発
    (研究代表者:野地澄晴・徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部教授)
     糖尿病の早期診断、病状診断を行うために必要な検査法、診断法、検査診断装置の開発。遺伝子・蛋白質・細胞・器官レベルを統合した有用なマーカーを同定し、診断法を開発。

  3. 糖尿病の新規治療法の開発
    (研究代表者:親泊政一・徳島大学疾患ゲノム研究センター教授)
     小胞体ストレスを標的とした2型糖尿病の創薬スクリーニング法開発、免疫制御による1型糖尿病治療法開発、メタボリック症候群発生に寄与するインスリン抵抗性への対処を検討する研究など。

  4. 糖尿病および関連疾患の発症・進展を防ぐ食品・医薬品素材の開発研究
    (研究代表者:玉置俊晃・徳島大学医学部長)
     地域食材を用いた血糖値上昇抑制・抗肥満食品の開発。肥満および糖尿病を克服するために天然素材を基盤とする医薬品素材と糖尿病時の酸化ストレスを克服するための医薬品素材の開発。

  5. 糖尿病の1次、2次予防支援サービスの提供
    (研究代表者:松久宗英・糖尿病臨床・開発研究センター教授)
     中国をはじめ国内外での糖尿病メディカルツーリズムの市場拡大、検診・医療情報をつなぐICTネットワークの構築。
 徳島の糖尿病の疫学的、治療、医薬品、診断と幅広い包括的な研究とその事業化は、「特にコホート研究は大きな成果を生み出す可能性がある。医薬品、ICTを利用した健康管理はアライアンスもおさえている」と高く評価された。

 一方、事業化への取り組みは、「大手企業との糖尿病テーマでの共同研究数は順調に増えているが、事業化に対する主体性が不足している」として、不十分と評価された。

 事業で開発された商品を「健康・医療クラスター商品」として認定し、認定商品であることが認識できるマークを作成、その利用許可を行う計画だが、県の特産品である“すだち”や“そばがら”などの健康食品については、「事業モデルの再検討が必要」とされた。特にすだちは素材の供給にとどまらず、サプリメントなどの製品として販売するためにも、マーケティングやブランド形成のための取組が期待されている。

徳島健康・医療クラスター(とくしま産業振興機構)
地域イノベーション戦略支援プログラム(文部科学省)

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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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