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2011年10月31日

足に合わない靴は困りもの 自分にぴったりの快適な靴を選ぶコツ

キーワード
糖尿病合併症
 生活の欧米化にともない、下肢の動脈硬化や神経障害が原因となって糖尿病の足病変が増加している。足病変の原因として大きいのは靴ずれ。足に合わない靴を履いて歩くと、靴ずれが起こりやすいので、靴を購入するときに、足の方に合ったものを選びたい。最近では、最適な靴選びを助けてくれる専門家も出てきた。
足にフィットした靴を使うことが大切
 足のサイズや形などは、1人ひとりで違い、年齢とともに変化もする。左右で足が異なる人もある。注意して靴を選んだつもりでも、履き続けると「マメができた」、「靴ずれがある」など、違和感があらわれることがある。どんな靴を選べばいいのか、最適な靴選びは難しい。

 慣れない靴を使いウォーキングを行うと足にできやすいマメ。タコやマメと呼ばれるものは、医学的には胼胝(べんち)といわれる表層の皮膚の肥厚をさす。

 一般的にはマメができると痛く感じるが、糖尿病の人が血糖コントロールの不良の状態が続くと、神経障害が進んでおり、痛みを感じにくくなることがある。そうなると、マメができ傷で感染が起こり、浸出液(膿)が出るようになっても、痛くも何とも感じなくなる。

 糖尿病の人は人一倍、靴に気を配る必要がある。特にウォーキングを始めるときは、足にきちんとフィットした靴を買うことが大切だ。

フィッティングしてもらった専門の靴を利用
 靴は窮屈なもの、大きすぎるものは良くない。靴やインソール(足底挿板)をオーダーメードで作るメーカーや販売店も増えてきた。やや費用がかかるが、専門家やプロにフィッティングしてもらったウォーキング専門の靴を利用する方法もある。

  • 神経障害を改善するためには、血糖コントロールを良好に行うことが第一。コントロールを厳格にすれば重症でない限り、神経障害は改善する。
  • 糖尿病の人が運動するときには、メディカルチェックを受けて、隠れた合併症はないか、運動で注意すべきことがないかを、主治医にチェックしてもらうことが大切となる。
 オーダーメイドで靴をつくるときに、健康保険を利用する選択肢もある。医療機関で、外反母趾、外扁平足などがある患者や、医師が「足変形があり、保険適用の範囲」と認め、靴屋で靴やインソールをつくるときに、健康保険が適用されることがある。足や靴について悩みのある場合は、主治医に相談してみよう。

 靴を買うときに不安があるときに相談できる「シューフィッター」という専門家がいる。靴のメーカーや販売店などで組織する「足と靴と健康協議会」が認定しているシューフィッターは、全国に3400人以上がいる。

 シューフィッターは最適な靴選びを手助けしてくれたり、足に合った靴を見立てする。足と靴との間にズレがあれば、フィット感を高めるため靴内に微調整を施す。足をみて既製靴での対応が困難と判定した場合、医師と連携をとるなどの対応もしている。

 シューフィッターとは別に、医療関係者を中心に「フットケアトレーナー」と呼ばれる専門家も増えてきた。NPO法人「オーソティックス・ソサエティ」が認定するフットケアトレーナーは、看護師や理学療法士らが講習を受けて資格を取得し、全国の90以上の施設で登録されている。

 足のサイズの測定、足の状態及び歩行の判定を行い、1人ひとりの要望に応じたタルサスシューズの測定とアドバイス、そして左右別々にきめ細かい調整ができるタルサスインソール調整を行う。

糖尿病患者さん 足チェックシート
日本糖尿病対策推進会議(日本医師会、日本糖尿病学会、日本糖尿病協会)が発行する「足チェックシート」。

足と靴と健康協議会
足と靴と健康に関する調査研究、情報の収集や提供、靴のフィッティングサービスの開発などを行っている。

NPO法人オーソティックス・ソサエティ
医師、理学療法士などの医療者、靴のメーカーや販売店によって構成。足の機能や靴、オーソティックス(装具学)に関する研究なども行っている。

足のトラブルチェックリスト(日本靴医学会)
会員は医師だけでなく、医療関係者から、靴の製造、販売に携わる専門家、教育、介護などの分野など多岐にわたる。

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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