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2011年06月27日
スポートロジー:医学と運動・スポーツの領域横断的な融合を目指す新しい研究
- キーワード
- 運動療法
スポートロジーは、運動・身体活動に関する研究と、医療・臨床医学などの多領域の研究を融合し、疾病の発症予防や治療、「健康」の維持・向上に役立てられる新しい研究・学問として大きく期待されている。
運動や身体活動を積極的に行うことが、肥満や生活習慣病の予防・改善において重要であることは広く知られている。例えば、メタボリックシンドロームや肥満、2型糖尿病などの生活習慣病の治療・管理では、運動療法が食事療法と並び有効とされる。しかし、運動療法の有効性に関するエビデンスは十分とはいえず、特に日本人に対するエビデンスを創出する前向き介入研究点が必要とされている。
また近年は、スポーツや運動に関する研究成果を、療養指導や保健指導にとどまらず、より広い範囲で活用することが期待されている。
これを受けて新たに創設されたのが「スポートロジー(Sportology)」。スポートロジーでは、スポーツ・運動、医学、健康科学、医療、社会学、心理学など、関連するさまざまなな研究領域の「深化と統合」がはかられている。
スポートロジーは、スポーツや運動と健康の関わりを科学的にアプローチするために、新規に定義された学問体系。順天堂大学大学院医学研究科スポートロジーセンターでは、メタボリックシンドローム予防のための大規模介入調査や、オーダーメイド型スポーツ療法処方、病態解明の基礎的研究を研究内容とするメタボリックシンドローム予防プロジェクト(代表者:河盛隆造・順天堂大学大学院(文科省事業)スポートロジーセンター センター長)などが進行している。
特別講演1:The role of exercise and nutrition for obesity and metabolic syndrome. 森谷敏夫(京都大学)
特別講演2:Neurodevelopment of the pediatric athlete: concepts for pediatricians. Donald Greydanus(ミシガン州立大学)
特別講演3:The diabesity epidemy: gluttony, sloth or both ? Pierre Lefèbvre(リエージュ大学)
特別講演4:Redox control of disuse muscle atrophy. Scott K. Powers(フロリダ大学)
特別講演5:Evolvement of sports cardiology in Europe. Hugo Saner(ベルン州立大学病院)
特別講演6:Probabilistic models of human sensorimotor control. Daniel Wolpert(ケンブリッジ大学)
ランチョンセミナー:In pursuit of excellence: decisive moments for the Olympic gold medals. 鈴木大地(順天堂大学)、富田洋之(順天堂大学)
参考文献:
河盛隆造:第1回国際スポートロジー学会学術集会. 体育の科学. 61. 2011
国際スポートロジー学会
順天堂大学大学院医学研究科 スポートロジーセンター
平成19年度ハイテク・リサーチ・センター整備事業
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