ニュース

2011年04月21日

100万人の糖尿病チャレンジ 米国で糖尿病リスクをネットで無料判定

キーワード
糖尿病予備群
 米国糖尿病学会(ADA)はこのほど、いつでも無料で糖尿病のリスクを判定できる「糖尿病ミリオンチャレンジ」をインターネットで公開している。最近の調査で糖尿病予備群数が7900万人に増えたことが分かり、糖尿病の予防・治療に向けた喫緊の対策が必要だとしている。
米国成人の3人に1人が糖尿病予備群、有病数は2600万人
米国糖尿病学会(ADA)が公開している糖尿病啓発サイト
無料プログラムの参加者は230万人を超えた(4月20日現在)
Stop Diabetes
http://stopdiabetes.diabetes.org/

Stop Diabetes

 米疾病管理予防センター(CDC)は今年1月に、米国成人の3人に1人に相当する7900万が2型糖尿病を発症する危険性が高いとする統計調査を発表した。米国の糖尿病有病数は2600万人に上り、うち4人に1人に相当する700万人は自分が糖尿病であることに気付いていないという。

 「糖尿病の医療は進歩している。糖尿病がもたらす健康上の障害を防いだり、くいとめるための手段はたくさんある。しかし、そのためにご自分が糖尿病の危険性が高いことに気付かなければならない。検査をして糖尿病であることが分かれば、合併症の発症や進展を抑えるための、さまざまな治療を行える」と米国糖尿病学会(ADA)のヘルスケア・教育部門の責任者であるElizabeth Mayer-Davis博士は話す。

 そこでADAは糖尿病啓発キャンペーン「ストップ糖尿病(Stop Diabetes)」を全国で展開しており、3〜4月を「糖尿病アラートデー(Diabetes Alert Day)」と定めている。参加・登録者数は2010年末に目標としていた100万人を超えた。

 今年の糖尿病アラートデーには、糖尿病の発症を自覚していない人に向け、無料プログラム「糖尿病リスクテスト(Diabetes Risk Test)」を提供している。100万人の参加を目標に、糖尿病の危険性を自己判定し、異常があらわれた人は医療機関で受診をするよう呼びかけている。

早期診断・治療は動脈硬化の対策にもなる
 糖尿病の症状は、のどの渇き、視力障害、視力障害などだが、2型糖尿病と診断された患者のほとんどは、診断時にはこれらを自覚していないという。発症があらわれる頃には、病状がかなり進展してしまっている場合が多い。

 2型糖尿病の主要な危険因子は過体重や肥満、運動不足、加齢(45歳以上)、糖尿病の家族歴があること。米国人のうちアフリカ系、ヒスパニック・ラテン系、先住民族、アジア系、太平洋諸島の人は、少しの肥満でも白人に比べ糖尿病を発症しやすいことが知られている。新生児が9ポンド(約4.8kg)以上だった女性も危険性が高い。

 心臓病、視覚障害、腎臓病、脳卒中、足壊疽といった糖尿病合併症があらわれるのは、糖尿病を発症してから7〜10年後だ。診断されたときには、すでに糖尿病合併症があらわれていたという患者も少なくない。早期に診断を受け、適切な治療を受けていれば、こうした合併症の発症・進展を防ぐことができる。

 米国成人の3人に1人に相当する7900万人は、まだ糖尿病型と判定されないが、血糖値が正常より高い「前糖尿病(prediabete)」という段階にある。

 心臓病や脳卒中などの原因となる動脈硬化は、前糖尿病の段階ですでに進行しているおそれがあるという。また、適切な対策や予防をしないと、数年後には高い割合で糖尿病になるというので、安心はできない。

 さまざまな研究で、1日に30分のウォーキングなどの運動や身体活動を週に5日続け、体重を7%減らすことで、2型糖尿病の危険性を減らすことが分かっている。これは、体重180ポンド(約82kg)の人では12ポンド(約5kg)の減量に相当する。

Americans are urged to “Join the Million Challenge” on American Diabetes Association Alert DaySM by taking the Diabetes Risk Test and finding out if they are at risk for developing type 2 diabetes(米国糖尿病学会 2011年3月22日)
23rd Annual American Diabetes Association Alert Day 2011
American Diabetes Association’s Diabetes Risk Test

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲