ニュース
2011年04月15日
幸福を感じやすい人ほど長寿で健康的 4つの生活習慣プラスワン
- キーワード
- 糖尿病合併症
幸福を感じやすい人ほど、そうでない人に比べ長寿で、健康的である傾向がある――こんな研究が米国で発表された。
幸福感が長寿と健康に貢献
イリノイ大学のEd Diener名誉教授(心理学)らの研究チームは、ヒトを対象に行われた長期コホート研究や、動物実験に関する160以上の研究を評価した。結果は米医学誌「Applied Psychology(応用心理学)」に発表された。
「我々は健康と幸福に関する研究を分析し、7種類の異なるタイプに仕分けた。その結果、それぞれのタイプで、人生において積極性を感じており、ストレスや気が滅入ることが少ないという“主観的幸福”が、長寿と健康の両方に貢献するという一般的な結論を得た」とDiener氏は話す。
検討した長期研究の多くで、例外はあるにしても、「不安」、「うつ」、「毎日の活動で楽しみが乏しい」、「悲観主義」といった傾向は、疾病の罹病や短命と関連があることが示された。
約5000人以上の大学生を対象に40年間以上追跡して行われた研究では、悲観的な人ほど同世代の人に比べ死亡率が高くなった。また、成年初期から高年期までのカトリック系の修道女180人を対象にした長期研究では、参加者に20代の初めに自叙伝を書いてもらった。楽観的な内容を書いた人は、悲観的な内容を書いた人に比べ長寿で、若々しさを保っている傾向がみられた。
動物実験ではストレスと不健康の関連はさらに強く示されている。狭い檻に閉じ込められる等のストレスのレベルを変え実験した研究では、ストレスの多い動物ほど、心臓病の発症が増え、免疫系も低下し、広い空間で飼われている動物よりも短命であることが分かった。
怒りやうつを避ける生活習慣
ヒトを対象とした実験でも、ポジティブな環境にいるとストレスに関連するホルモンが減り、免疫機能が向上し、運動後に心臓の状態がすみやかに回復した。既婚者の生活状況を調べた他の研究では、葛藤や敵意が多いと創傷の治癒が遅れたり免疫反応が低下することが示された。
「研究データで示された結果は一貫性がある。それをみて、私は本当に驚かされた。異なるタイプの研究の多くは、同じ結論を示している。それは、“健康や寿命は、私たちのこころの持ち方や状態により影響を受ける”ということだ」とDiener氏は言う。
「発症や治療に影響する要因は幸福感のみではない」としながらも、「生活を楽しもうという積極的な気持ちが、健康や長寿、肥満の低下などに寄与することを示したエビデンスがある」とDiener氏は言う。
なお、Diener氏によると、全ての人に効果があり勧められる生活習慣の改善策は4つあるという。それは、(1)「肥満を予防する」、(2)「過食を避ける」、(3)「喫煙しない」、(4)「運動をする」。これに、(5)「慢性的な怒りや憂鬱になることを避けて、明るい気持ちでいること」を付け加えるべきだと述べている。
Study: Happiness improves health and lengthens life(イリノイ大学、2011年3月1日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
糖尿病合併症の関連記事
- 減塩は難しくない 糖尿病の人も減塩は必須 減塩の新しい考え方「かるしお」を提唱
- わずか20分のウォーキングで糖尿病や高血圧を改善 座ったままの時間の長い人は立ち上がって運動を
- うつ病は糖尿病の危険因子 うつ病を治療すると血糖管理も改善 両方を良くする「マインドフルネス」とは?
- 「低カロリー食」は糖尿病の人にとって有益 カロリー制限で筋肉も若返る タンパク質を十分にとることも大切
- 糖尿病の人はアルコールの飲みすぎにご注意 ノンアルコール飲料を活用すれば飲酒量を減らせる
- ヨーグルトやチーズなどが糖尿病リスクを減少 ジャンクフードから置き換えると効果 認知機能も上昇
- 糖尿病は運動不足の影響がもっとも大きい ウォーキングなどの運動で合併症を予防 筋肉を減らさないことが大切
- 心臓・腎臓・糖尿病の3つは相互に関連 「心腎代謝連関」に注目 検査で異常が出たら放っておかないで治療を
- 30歳で糖尿病になると寿命が14年短くなる 糖尿病を管理して合併症を防げば長生きできる
- わずか10分の「階段の上り下り」が立派な運動になる 運動で糖尿病を改善 短い時間に集中して運動