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2011年01月07日
運動が糖尿病を改善 米国で2型糖尿病の運動ガイドライン
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運動や身体活動を増やすことは、健康的な生活をおくるために全ての人に勧められる。新ガイドラインでは、糖尿病の人は、ウォーキングなどの適度で活発な運動を週に3日以上、合わせて2.5時間以上を行うことを勧めている。
血糖コントロールや代謝コントロールが極端に悪い場合や、糖尿病合併症のある人などでは、運動が制限あるいは禁止されることもある。ガイドラインでは糖尿病患者が運動する場合の注意点についてもアドバイスしている。
「2型糖尿病の人では、特に中高年以上になると筋力が低下しており、活発な有酸素運動を続けられる身体能力をもっていないおそれがある。骨や関節などの運動器がうまく働かなくなるなど、運動を制限しなければならない場合もある」とガイドライン編集委員のSheri Colberg氏は説明する。
しかし、適度で活発な運動を続けることで、多くの恩恵がもたらされるのは確かなことだ。運動を行うとブドウ糖、脂肪酸の利用が促され、血糖が低下する。運動を続けることで、適正体重に近づけることができ、インスリン抵抗性も改善する。「糖尿病であっても、運動量を減らすことは勧められない」とColberg氏は強調する。
- 運動を続けることで、血糖コントロールとインスリン抵抗性が改善する。ブドウ糖の利用が促させ、血糖が低下する。
- 運動により心肺機能が良くなり、高血圧が改善する。
- 脂質異常が改善する。運動は善玉(HDL)コレステロールを上げ、悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪を下げる。これらは心臓の健康のためにも良い。
- 運動を続け、血糖コントロールの改善と減量に成功すれば、飲み薬やインスリンの量を減らせることもある。
- 肥満の人が十分な量の運動を続けてエネルギーを燃やせば、減量と適正体重の維持につながる。
- 運動は心筋梗塞や脳卒中、がん、骨粗鬆症などの予防にも有効である。
- 基礎代謝が向上し、エネルギーを消費しやすい体になる。運動で爽快感や充実感を得られ、睡眠も改善する。
- 運動はストレス解消にもなる。ウォーキングなどの運動で、毎日のストレスに対策できる。
- 骨や筋肉が強くなる。ウォーキングなどの体重に負荷をかける運動は骨格をより強くする。軽めのウェイトトレーニングも(缶詰などを使って行う簡単なものでも)、筋肉を強くする。
- 運動は体を柔軟にし、動きを軽くする。運動は続けるほどに楽しくなる。
中高年になると、筋肉の老化が始まる。それに伴い「筋力の低下」が起こり、疲れやすくなったり、長い時間の活動がつらくなる。筋力の低下が特に大きいのは脚だ。脚力が衰えると、つまずきやすくなったり、とっさのときに体を支えきれなくなるなど、けがにつながるおそれもある。
筋肉の老化に伴い、「基礎代謝の低下」も起こる。基礎代謝とは安静時に必要とするエネルギーのこと。エネルギー源として使われるブドウ糖や脂肪などは、主に筋肉で消費されるので、その筋肉が衰えると、エネルギー源が燃焼されにくくなってしまう。
筋肉が老化し、基礎代謝が低下してくると、エネルギー源が燃焼されずに脂肪となって蓄積され、太りやすい体になる。「筋力の低下」や「基礎代謝の低下」をできるだけくいとめるために、筋力トレーニングが大切となる。
「肥満や糖尿病合併症の心配があるなど、さまざまな理由から、2型糖尿病患者に運動を勧めるのに慎重になっている医師が多い。しかし、ほとんどの2型糖尿病患者は、事前に適切な注意をしていれば、安全に運動をすることができる。運動に取り組むことをためらう理由として糖尿病合併症をもちだすのは、決して良いことではない。年齢や健康状態に合わせて、十分な運動や身体活動を行うことはとても重要だ」とColberg氏は話す。
米疾病対策センター(CDC)の予測によると、2050年までに米国人の糖尿病有病率は3人に1人に上昇し、糖尿病と糖尿病前症による医療費は2020年には年間で約5000億ドル(約42億円)に増えるという。
「糖尿病の脅威をくいとめられないと、私たちは近い将来に、より高い医療費を支払わなければならなくなり、糖尿病が深く関わる心臓病や腎臓病といった合併症のために、生活の質(QOL)と寿命を大きく低下させることになるだろう。糖尿病を止めるために、私たちは協力しあい対策していかなければならない」とColberg氏は述べている。
Exercise Can Help Tame Type 2 Diabetes, Say New Guidelines(米国糖尿病学会、2010年12月9日)
Exercise and Type 2 Diabetes: American College of Sports Medicine and the American Diabetes Association: Joint Position Statement
Medicine & Science in Sports & Exercise, 42-12, p2282-2303, December 2010
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