ニュース

2010年06月09日

じめじめ季節の梅雨 皮膚のトラブルに対策

キーワード
糖尿病合併症
 雨の多い梅雨の季節がもうすぐやってくる。高温多湿でじめじめするこの時期に、気になるのがカビ。カビは多くの場合は無害だが、体力が落ちているときや抵抗力が弱くなっていると増殖し、肌のトラブルの原因になることがある。カビの種類を知っていると対策をたてやすい。
体につくカビで、思わぬ皮膚のトラブルも
 私たちの身の回りや体には、実はたくさんのカビなどの微生物がいる。そのほとんどは人の健康に影響を与えない常在菌。体内は適度な温度と湿度と栄養があるので、常在菌にとって住みやすい。

 常在菌は多くの場合、人の体に対して害を与えることはないが、体の免疫機能が低下して抵抗力が弱った場合に増えやすい。皮膚についたカビ(真菌)も常在菌の一種で、温度25度〜30度程度、湿度65%以上になると増殖しやすい。

 血糖値が高い状態が続いていると、動脈硬化などによる血流障害が起こりやすい。血流が悪くなると、酸素や栄養が十分に行き渡らず細胞の働きが低下し、真菌などの感染に対する抵抗力が低下することがある。

 もっとも大切なのは、血糖コントロールによる糖尿病そのものの治療。糖尿病の人は、血糖値を良好にコントロールすることで感染症の治癒が促される。

予防の基本は「清潔と乾燥」
 梅雨に入り汗をかく機会が増えると、カビが肌の上で増殖し、肌のトラブルなどの原因になる。カビの種類を知っておき対策することも効果的だ。

 カビには、感染性をもつ白癬菌(はくせんきん)、頭皮のフケの原因にもなる癜風菌(でんぷうきん)、増殖すると皮膚疾患を引き起こすカンジダ菌などがある。

 カビによる皮膚病としてまず連想されるのが水虫。白癬菌というカビが原因で、他のカビと同様、高温多湿を好む。白癬菌は皮膚の一番外側の層にすみつき、しぶとく生きのびる性質があるので、根気よく治療を続ける必要がある。

 癜風菌が原因となり起こる癜風を発症すると、皮疹が頭皮や胸や背中にできることが多い。治療しないでいると、背中や胸など全身に広がるおそれがある。また、カンジダ菌が原因となり起こるのがカンジダ症。カンジダ菌は、口の中や体表、膣部、へその中など、どこにでもいる。発症すると赤い発疹があらわれ、かゆみや、ヒリヒリする痛みを伴う。

 白癬菌や癜風、皮膚、口、腟に生じたカンジダ症は、抗真菌薬を塗布したり、飲み薬で治療できるが、日常で対策することも有効だ。

カビによる皮膚のトラブルを予防するコツ
  • 清潔と乾燥が予防の基本
     カビが増える状況をできるだけ減らすことが効果的。汗や汚れをそのまま放置せず、清潔を保つことが大切。風呂やシャワーをこまめに利用し、体全体せっけんを使って洗い、よく乾かす。
     気になる場合は、薬局やドラッグストアで販売されている抗真菌剤入りのシャンプーやボディシャンプーを利用する方法もある。
     特に脇の下や足の付け根、頭皮など蒸れやすい部分は、汗をかいたまま長時間放置しないこと。ふやけた皮膚は傷つきやすく、そこから感染し化膿したり、水虫の原因にもなる。そのために「毎日足を洗い、清潔にする」「蒸れにくく、爪に負担をかけない靴を履く」といった工夫が有効だ。
     皮膚病や水虫に悩まされている人は、医師に診断してもらい適切な治療を受けることも望ましい。

  • 爪の水虫は軽視できない
     ひと口に水虫といっても、原因や病状は患者によってさまざま。水虫というと、足にできる水虫(足白癬)を連想することが多いが、それだけではない。爪にできる爪白癬やその他の場所にできる水虫もある。
     爪の水虫は皮膚の水虫と違ってかゆみがないばかりか、見た目ではわからないこともある。しかし、放置すると爪が厚くなり手入れをしにくくなる。また、変形したり割れやすくなって、ケガのもとにもなる。医療機関を受診し、症状がなくても軽視せずに治療を続けることが大切。

  • 禁煙も大切
     タバコに含まれているニコチンは、血管を収縮させたり傷めたりする。タバコを吸うことで、血流障害はより悪化する。糖尿病と分かったらまず禁煙を。

 糖尿病療養について下記ページで詳しく解説している。
 糖尿病セミナー 17. 足の手入れ / 25. 糖尿病と感染症

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲