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2010年01月28日

歩数計が2型糖尿病の発症リスクを半分に減らす

キーワード
運動療法
 歩数計を活用することで2型糖尿病の発症を50%減らせるという研究が発表された。この研究は、英国糖尿病協会(Diabetes UK)によって資金提供された。

 研究の対象となったのは、「血糖値が高いので2型糖尿病を発症するおそれがある」とされ、糖尿病前症(prediabetes)と判定された98人の男女。糖尿病の危険性について教育し運動を促進する「PREPAREプログラム」に参加してもらい、歩数計を持ち歩くことで日常で身体活動を増やせるかを検証した。

 プログラムは、参加者に2型糖尿病に関する3時間に及ぶ教育セッションに参加してもらい、糖尿病を予防するために生活習慣を健康的に変えていく方策について学ぶことを中心に進められた。

 参加者を、教育セッションに参加してもらう群、糖尿病について簡潔に説明した小冊子だけが渡された群、教育セッションに参加するとともに歩数計を渡された群に分け比較した。歩数計の群では個々の参加者に合わせて運動の量を調整し、毎日少なくとも30分間の活発なウォーキングを続けてもらった。

 3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月後に経口ブドウ糖負荷試験を行ったところ、12ヵ月後の血糖値は歩数計を持ち歩いた群では、他の群に比べ15%低下していた。

 欧州と米国でも同様の介入試験が行われ成功を収めているが、英国の研究では血糖値の低下幅がより大きかった。英国の研究は歩数計を加えた点が異なる。研究者らは「この傾向が長期にわたり維持できれば、2型糖尿病の発症を半分に減らすことができる」と強調している。

 研究を指導したDiabetes UKのIain Frame博士は「英国の糖尿病予備群の数は700万人に上る。有効な対策をしないと、2型糖尿病を発症する危険が15倍に高まる」と話す。

 「糖尿病予備群とされる人々に適正な知識をもってもらい、動機付けを与えることで、2型糖尿病の増加を抑えることができる。そうすれば、数百万の心臓病、脳卒中、腎不全、失明、下肢切断といった深刻な合併症を予防できるだろう」としている。

Diabetes UK

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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