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2009年06月23日

生活習慣の改善によりがんの発症リスクを減らせる

キーワード
糖尿病合併症
 生活習慣の改善によりがんの発症リスクを大幅に軽減することができるという研究成果が米国で発表された。
スーパーマーケットで食事改善をアピール
 米国がん研究協会(AICR)は、スーパーマーケット・チェーンと提携し、健康的な食事を啓発するキャンペーン「健康のための買物、健康のための食事(Shop For Health, Eat For Life)」を開始した。米国東海岸地区を中心に182店のスーパーマーケットを展開する「ジャイアント・フード」と提携し、6月19日から7月2日にかけて実施する。健康的な食事を促し生活者と家族のがん発症の危険を減らそうという狙いがある。


6月10日にジャイアント・フードの料理長による料理実演が披露された
 全粒粉の小麦でつくったスパゲッティやパスタ、有機栽培した野菜や果物、ナッツ類など、キャンペーンの印を付けた食品を並べ、スーパーマーケットの買物客に食事や栄養について解説した教材やレシピ集、食品などを無料で提供する。得られた収入から15万ドルが、がん研究と教育の助成費としてAICRに寄付される。
がんの3分の1は予防できる
 AICRは、世界がん研究基金(WCRF)とともに、7000件を超えるがんに関する研究を評価し、がん予防に向けた政策などについてまとめた報告書「食品、栄養、運動とがん予防:グローバルな視点(Food,Nutrition,Physical Activity and the Prevention of Cancer:A Global Perspective)」を今年2月に発表した。


「食品、栄養、運動とがん予防:グローバルな視点」
 報告書によると、米国で結腸がんのおよそ45%、乳がんのおよそ38%を食事、運動、体重管理により予防できるという。がんを予防策として、以下をアドバイスしている
  • 標準体重を維持することは、がんだけでなく、2型糖尿病や心疾患の予防・進行抑制にも有効。

  • 習慣的な運動は、体の免疫力を高め、消化器系を健やかにする。
     運動が体重増加を防ぐのに有効なことが、多くの研究で確かめられている。運動習慣のない人は1日30分のウォーキングから始め、習慣化することが勧められる。運動は短い時間でも回数を増やせば効果を得られ、食事と運動を同時に行うことでより効果が高まる。

  • 吸収されやすい糖質を多く含む食品や、食物繊維の少ない食品、脂肪の多い食品を避ける。
     糖分や塩分の多い食品や加工食品、ファストフードをなるべく避ける。動物性蛋白質の多い肉類は全体の3分の1以下に抑える。

  • 全粒穀類、野菜、果物、豆類などの植物性の食品を増やす。
     全体の3分の2をこうした食品からとることが勧められる。ビタミンやミネラルが多く、抗酸化物質も豊富に含まれるので、がん予防につながる。全粒穀のパンなどには食物繊維も多く含まれる。

  • 赤身肉の摂取量は週約510g(18オンス)以内に抑える。

  • お酒を飲む場合は女性で1日1杯、男性で2杯までに抑える。
     適度の飲酒は心疾患の予防につながるという研究報告があるが、飲酒が肝臓がんと女性の結腸直腸がんの発症の危険を高めるという報告もある。
米国がん研究協会(AICR)
 Shop For Health, Eat For Life
 Policy and Action for Cancer Prevention

たばこ、飲酒、肥満-不健康な生活で循環器病のリスク4倍超(糖尿病NET)
大腸がん予防に運動が有効 厚労省研究班(日本生活習慣病予防協会)
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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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