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2009年05月28日
アジアの糖尿病人口 近い将来に2億人を突破
- キーワード
- 世界糖尿病デー

(20歳-79歳)

日本が含まれる「西太平洋」は世界でもっとも人口の多い地域。13億の人口を抱える中国から5000人未満の太平洋の小さな島国まで39の国や地域がある。全体の糖尿病有病率は4.6%で、中東や北米、日本の6.4%に比べ低い。しかし、世界でもっとも糖尿病人口が増加しているのがこの地域だ。
IDFの発表によると、この地域の成人の総人口は14億7000万人で、世界の36%を占める。2025年には17億3000万人に増加すると予測されてい
2007年(上段)、2025年(下段)

世界の糖尿病有病率の推定(20歳-79歳)*


2025年

東アジア、東南アジア、南アジア、中央アジア、西アジアを含めるアジア地域の糖尿病有病数は、2025年までに2億人を超える。
世界一の人口大国である中国では、特に糖尿病が爆発的に増える可能性がある。中国の2007年の糖尿病有病率は4.3%で地域平均に比べ特に高いわけではないが、都市化が進んでいる地域が有病率を引き上げ、有病数は3980万人から5930万人に増加すると予測されている。香港やシンガポールなど急速に経済が成長した国や地域でも糖尿病有病率は4.3%から5.6%に上昇す
糖尿病と糖尿病合併症の治療のために毎年数千億米ドルの医療費が費やされ、糖尿病に関連するコストは世界人口より速く拡大している。しかし世界の多くの患者で糖尿病の発見と治療が遅れ、網膜症や腎症、心臓病、脳血管障害、足病変から起こる切断などの深刻な合併症が引き起こされている。
糖尿病は損失、死亡、失われた経済成長の原因になっている。もっとも効果的な対策は糖尿病を予防し早期発見・治療すること。糖尿病の一次
国連は糖尿病を決議し、IDFの主導で11月14日の「世界糖尿病デー」を開催するなど、予防と治療の推進に向けた取り組みを進めている。IDFの各地域ごとに、その地域の実情に適した対策を推進する研究活動も始められた。
西太平洋地域に所属する国のうち日本や中国、韓国をはじめカンボジア、台湾などアジアの国や地域で糖尿病の研究、教育、治療の確立に向けた活動を行う「Asian Association for Study of Diabetes(AASD)」(清野裕理事長)が結成され、2009年5月に大阪国際会議場で開催された「第52回日本糖尿病学会年次学術集会」と同時開催で第1回年次学術集会が開催された。アジア人は遺伝的素因や病態が欧米と異なることや、アジアの視点から治療や合併症の予防法を検討し疫学調査を行うことが重要なことが確かめられ
世界糖尿病連合(IDF)
「糖尿病アトラス 第3版」(英語)(www.eatlas.idf.org.)
関連情報
糖尿病アジアネットワーク「ベトナムの糖尿病事情」(糖尿病NET)
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