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2008年08月01日

ヘモグロビンA1c検査を糖尿病診断の最前線に 米国の糖尿病数は600万人

 糖尿病患者の血糖コントロール指標に広く使用されているHbA1c(ヘモグロビンA1c)検査は、糖尿病と診断されていない患者の判定基準としても有用であるという知見が米国の糖尿病専門家らによる会議でまとまり、その合意(コンセンサス)声明が「Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism(臨床内分泌学&代謝学)」7月号に発表された。

 合意(コンセンサス)声明は、糖尿病の診断基準を再検討し、糖尿病をより容易に発見できるスクリーニング基準を推奨するためにまとめられた。その結果、HbA1c検査を特に糖尿病のリスクの高い患者を同定するための最前線の方法(front-line method)にすべきと結論している。

 声明の筆頭執筆者で、ジョンズ・ホプキンス大学(ボルティモア)統合糖尿病センター長で内分泌・代謝学教授のChristopher Saudek氏は、同大のニュースリリースで「HbA1c検査は糖尿病患者の血糖コントロール指標として用いられているが、糖尿病の診断には使われてこなかった」と述べている。「米国で糖尿病の有病者数は600万人とみられるが、その多くは診断されていない。HbA1c検査により補足し診断できる合理的な理由がある」としている。

 HbA1c検査は、検査前の120日間(赤血球の平均寿命にあたる期間)にブドウ糖が赤血球内のヘモグロビンと結合し、どの程度グリコヘモグロビンに変換しているかを測定するもので、検査時点から過去1〜2ヵ月間の血糖状態を反映し、5.8%未満が基準値となる。経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)のように患者に10時間以上の絶食を強いる必要がなく、また食事や運動などによる短期間の影響も受けないですむ。

 Saudek氏は「検査の予定があると、患者は良い成績を出そうと数日前から食事や運動をがんばることがある。OGTTでは医師がその患者に通常起こっている高血糖を見逃すおそれもある」と話す。

 HbA1c検査について国際的に統一することが検討されており、日本でも日本糖尿病学会が診断基準の見直しの検討をはじめている。

 この合意声明には、ミシガン大学医学部(ミシガン)のWilliam H. Herman氏、ハーバード大学医学部ブリガム&ウィメンズ病院(ボストン)のDavid B. Sacks氏、国際糖尿病センター(ミネアポリス)のRichard M. Bergenstal氏、デューク大学ダーラム退役軍人医療センター(ダーラム)のDavid Edelman氏、チャールズドルー大学内科学科(ロサンゼルス)のMayer B. Davidson氏が加わっている。

The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism Vol. 93, No. 7 2447-2453
ジョンズホプキンス大学リリース(英語)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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