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2008年04月28日

食事内容を覚えていると食欲を抑えられる 英研究者が調査

 「どんな食事をとったかを詳しく記憶していると、間食を減らすことができ、食事の管理がうまくいく可能性がある」という研究結果が、英科学誌「ニュー・サイエンティスト」の電子版に発表された。

 英バーミンガム大学のスザンヌ・ヒッグス博士(心理学)らによる研究で、対象となった女子学生グループに、ビスケットの味見調査と偽って実験に参加してもらった。対象者は昼食を済ませており、研究の本来の目的について知らされていなかった。

 対象者を2グループに分け、同じ内容の食事をした後に、半数にその食事内容について詳細に記述してもらい、残る半数には登校の道筋を記述してもらった。

 味見が終わった後で、ビスケットを食べたいだけ食べてもらったところ、前回の食事を記憶していたグループは、そうでないグループに比べ、食べたビスケットの量が少なかった。食後3時間でその差はさらに拡大したという。

 食事内容を記憶することで食欲が抑えられることが示された今回の実験結果は、「食事についての考えると食欲が増進する」という一般に信じられている仮説と矛盾しているようにみえる。

 この点についてヒッグズ博士は、参加者がもっとも最近の食事について記憶していたことを強調している。こうした食事行動に、学習、記憶、意志決定において脳の中で重要な働きをする「海馬」という器官での情報処理が関連している可能性を指摘している。海馬の中枢部の損傷を負い食事を記憶できなくなった人で、食事を差しだされると2食、3食と平らげた例も報告されているという。

 ヒッグズ博士は「短期や長期に及ぶ食事の記憶が、食欲や体重変化にどれだけ影響するかを探るのは興味深い」として、食品についてのテレビ番組や広告などが、食欲に影響するメカニズムを解明できるかもしれないと話している。

バーミンガム大学(ニュースリリース)
New Scientist, 2008, 2653.

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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