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2008年03月25日

ウォーキングのエネルギー量を増やすコツ

キーワード
運動療法
 強度の強い運動が効果的というわけではなく、中強度以上の手軽にできる運動も、習慣として続けることで効果を期待できる。毎日手軽にできる有酸素運動としてウォーキングが勧められている。

 ウォーキングを開始してしばらくは筋肉に蓄えられたグリコーゲンがブドウ糖に分解されて使われるが、それ以上の時間を運動すると血液中のブドウ糖を使いはじめるため、血糖値が下がる。

 中程度の強さの運動を、1日に15〜60分程度、食後1〜2時間以内に、週3〜5回するというのが、運動療法としてはベストな方法とされる。食後1〜2時間は血糖がもっとも高くなる、運動をするのに最適な時間帯となる。

 毎日忙しくてウォーキングの時間をとれないという人は、通勤途中でバス停3つ分くらいを歩いたり、片道を徒歩にするなど、生活の中で意識してバスや車に乗らず歩けるときに歩くだけでも、毎日続ければかなり違ってくる。

 血糖コントロールが良くなるだけでなく、血液中の中性脂肪や動脈硬化の原因となるLDLコレステロールを減らし、代わって動脈硬化を予防するHDLコレステロールが増えていく。血圧降下や体重減少といった効果も期待できる。

運動のエネルギー量を調整するコツ
 運動の強度により消費エネルギー量は変わっていく。歩く場所は常に平坦ではないし、同じ速度で歩いても上り坂ではよりたくさんのエネルギーが必要となる。同じ人でもウォーキングに慣れてくると、より上手に消費エネルギー量を調整できるようになる。

 また、日常での活動を増やすことでも消費エネルギー量を増やすことができる。平らな場所を毎分60mくらいの普通の速度で歩く場合と、階段を下りる、部屋の掃除や片付け、子どもの世話、軽い荷物運びなどのエネルギー量はあまり変わらない。

 毎分95〜100mくらいの速歩になると、自転車に乗る、屋根の雪下ろし、庭の草むしり、農作業といった生活での活動と同じくらいのエネルギー量になる。

歩数計を持つことで意欲が高まることも
 歩数計は運動量を数字で示す機器だが、はっきりとした目標数を設定しないで、持って歩くだけでも「効果」を得られるようだ。米国で昨年、歩数計を持ってウォーキングをすると歩数が増える傾向があるという研究が発表された。歩数計は機能が少なく安価なものでも十分に役立つという

 この研究は米スタンフォード大学の研究者らによるもので、米医師会誌「JAMA」2007年11月21日号に発表された。2,767人のデータを含む26件の研究を検証し、うち8件は比較試験で、残りは観察研究だった。

 比較試験を分析した結果、歩数計を使用した人は使用しなかった人に比べ、1日の歩数が平均で2,491歩多くなっていた。観察研究では、歩数計使用者の1日当たりの歩数が2,183歩増加していた。

 また、血圧測定をした結果、歩数計を利用した人では、収縮期血圧(最大血圧)が平均で3.8mmHg低下していた。また肥満指数(BMI)も同0.4%低下していた。

関連情報
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 糖尿病の合併症、特に増殖網膜症など進行性の網膜症、進行した腎症、自律神経障害がある場合には、運動がかえって症状を悪化させることがある。腰痛や膝痛がひどいという人も注意が必要になる。運動を始めるときに注意すべきことがないかを主治医に相談することが大切。
 運動療法について下記ページで詳しく解説している。
 糖尿病セミナー-運動療法のコツ(1) [基礎]
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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