ニュース

2008年11月11日

温泉での入浴は十分に注意 温度差が大きいと血圧が上昇

キーワード
糖尿病合併症
 「温泉は万病に効く」ともいわれる。自然豊かな地域を訪れ、そこにある温泉や自然を味わえば、心身ともに癒され健康の増進や保持を期待できる。しかし、糖尿病患者が温泉を楽しむために十分な注意が必要だ。

 温泉に入ると水圧、浮力、温熱という物理的な作用をからだに受ける。さらに温泉地に行くことで、その温泉地の環境や風土などによるリラックス効果を得られる。

水圧 首まで浴槽につかると、からだに水圧がかかる。からだ全体がおされると血液の循環が良くなり、呼吸数も増える。また血管が圧迫されて心臓に戻ってくる血液が多くなり、心臓のはたらきが活発になる。
浮力 浴槽につかると浮力により体重が軽くなる。プールでの運動と同じように、からだを楽に動かせるようになる。水中で手足を動かすと、水の抵抗が加わり、筋力トレーニングにもなる。温泉を運動機能障害のリハビリテーションに利用している例もある。
温熱 温泉の熱により、血行改善や新陳代謝の促進作用を期待できる。
安全に入浴するためのポイント
 寒い場所で衣服を脱ぎ、ゾクゾクッと身震いした経験をおもちだろうか。これは急激に体温が下がったため、毛穴が収縮して起こる。そのとき体の血管が収縮し、血圧は急激に上昇することがある。冬の入浴時は、暖かい居間から寒い脱衣所、浴室と移動することで、血圧が上がりやすい。

 日本人は多くで42度以上の熱めの湯を好む。寒い状態からすぐに、42〜43度といった熱めのお湯に入ると、体は温熱の刺激を強く受け、血圧はさらに上昇する。入浴してからだが落ち着くと血管が温まる。血流が体内を十分に周る状態となり、さらに1〜2分経過したあたりから、血圧は下がりはじめる。

 血圧が急激に上がると血管に負担がかかり、脳出血や心臓発作が起こりやすくなる。ふだんから血圧の高い人ほど上がりやすく、湯の温度が高く長湯をしたときほど上がりやすい。温度差があると血圧は上昇しやすくなるので、寒い脱衣所に出るときも要注意。

  • 温度を確かめる
     脱衣所に暖房が入って入れは温度差は少ない。また冬の露天風呂は外気が低い場合がある。家族といる場合は、入浴することを知らせておくのもよいだろう。

  • 高温を避け、ぬるめに
     熱い湯に入った直後に血圧は上がる。高温浴を避け、湯の温度は40度程度までのぬるめにしよう。

  • 湯に慣れてから入る
     最初にお湯のシャワーを足、手、からだに順にかけ、湯に慣れてから浴槽に入る。温度差があるほど血圧は上がりやすいので、シャワー浴槽の湯よりもぬるめが良い。

  • 半身浴で体を慣らす
     いきなり全身を浸すと、温度や水圧による急激な負担にさらされる。半身浴で体を湯に慣らすと、これを避けられる。

  • 水分を補給する
     入浴すると発汗量が増え、体内の水分が失われる。そうなると血流が悪くなる。入浴の前後には、コップ1杯程度の水分を補給しよう。40度程度のぬるめの湯でも、入浴時間が長ければ汗をかく量が増える。

  • お酒に注意
     入浴前後にアルコール飲料を飲むのは避けたい。アルコールには、血管を拡張させて血圧を下げる作用や利尿作用がある。入浴前後に飲酒により、血圧が下がりすぎたり、脱水が起こるおそれがある。
 降圧薬を服用していて人では、入浴により血圧が下がりすぎて、立ちくらみやめまいが起こる場合がある。事前に主治医に相談しよう。
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲