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2006年12月13日

採血のいらない血糖自己測定 実用化への期待

 インスリン療法を行っている糖尿病患者にとって、血糖自己測定(SMBG)で日常の血糖値を知ることはとても重要だ。インスリン療法を行っていない2型糖尿病患者でも、血糖自己測定を行うことで血糖コントロールが改善した例が多い。

 利便性を高めた測定器や、必要な血液量をより少なくした測定器が治療に使われるようになった。より痛みを軽減した専用の穿刺器や穿刺針も出ている。

 しかし、採血のための穿刺に抵抗感があるという患者や、穿刺を毎日行うことが悩ましいと思っている患者もいる。そこで、非侵襲で血糖測定をできる技術の開発が世界中で進められている。

コンタクトレンズで血糖測定
 涙に含まれるブドウ糖の量で血糖値が高いのか低いのかを知ることができるコンタクトレンズの開発研究が、米国のメリーランド大学医療生物工学センターの研究者によって進められている。この研究は米国のテレビ番組「ディスカバリーチャンネル」などで紹介され、評判になったという。

 このコンタクトレンズは、ブドウ糖のレベルに応じて色を変更する蛍光性のセンサーを備えている。コンタクトレンズを装着すると視野の左側に小さな半透明の点が現れる。この点が涙のブドウ糖に反応して変色する。

 鏡で色の変化を確認し指定されたカラーチャートと比べるだけで、おおよその血糖値を知ることができる。血糖に15分から30分ほど遅れて反映されるので、高血糖が起こっているときの警告を知るといった利用方法が考えられている。

 将来に製品化し市販することも考えられているが、実用化するためにはさらに試験を重ねる必要があるので、研究者らは研究のパートナーとなる企業などを探しているという。同じ技術を使い、コレステロール値などに反応するコンタクトレンズの開発なども進められている。

赤外線で血糖測定
 指先に赤外光を照射することで、血糖値などのさまざまな血液成分について知ることができる技術の開発がいくつか進められている。今年1月に、慶應義塾大学スポーツ医学研究センターなどが進めている「光・血液検査システム」の開発が発表された

 指に赤外線を照射し、分光計によって赤外線の吸収度を波長で解析し調べるというもの。採血をしなくても指を光線にあてるだけで、いつでもどこでも手軽に血糖値を知ることができるようになるという。測定結果の精度が課題だったが、精度が向上し実用化も視野に入ってきたという。

 この技術で血糖値だけでなく、アルブミンなどの血漿蛋白値やコレステロール値、乳酸値などのさまざまな測定値も知ることができるようになると期待されている。

詳しくはメリーランド大学医療生物工学センターのサイトへ(英文)
詳しくは慶應義塾大学のサイトへ(PDFファイル/プレスリリース)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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