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2013年08月17日
ACS後の心リハによる運動耐容能向上は血管内皮機能の改善と相関
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- 糖尿病の検査(HbA1c 他) 糖尿病合併症 運動療法
急性冠症候群患者に対する心臓リハビリテーションによる運動耐容能向上と血管内皮機能改善効果は正相関し、前者はCRPの低下と、後者はHDL-Cの上昇と相関することがわかった。昭和大学医学部内科学講座循環器内科部門の古山史晃氏らが第45回日本動脈硬化学会学術集会(7月18〜19日・東京)で発表した。
急性冠症候群(Acute Coronary Syndrome.ACS)後の心臓リハビリテーションは、血清脂質や血糖、血管内皮機能、運動耐容能の改善をもたらすが、それら各指標の相互の関連は十分に検討されておらず、動脈硬化進展を抑制する作用機序に明らかでない部分が残されている。古山氏らの報告は、心臓リハビリテーション後の各指標の改善の程度が互いに関連するのか否かを詳細に検討したもの。 対象は2009年4月から2012年5月にACSで入院した患者から、80歳以上、重症心不全、重症肝障害、重症腎障害、感染症、悪性疾患を除外した32名。急性期治療後、すべての患者に心臓リハビリテーションを開始。開始前と開始後平均6か月の時点で、採血および血管内皮機能検査、心肺運動負荷検査を施行し、各指標の相関を評価した。 主な患者背景は、年齢63.6±8.9歳、BMI24.1±3.5、高血圧75.0%、脂質異常症90.6%、糖尿病37.5%、喫煙率78.1%など。心臓リハビリテーションは、体操および自転車型エルゴメーターによる約30分間の有酸素運動を週1〜3回施行。血管内皮機能は、血流依存性血管拡張反応(Flow Mediated Dilation.FMD)で評価した。
心臓リハ開始6か月後、血管内皮機能、運動耐容能が有意に改善
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FMDとPeakVO2が正相関。それぞれHDL-C上昇、CRP低下が寄与
続いて、FMDと運動耐容能、およびその他の各検査指標の相関を検討したところ、FMDとPeak VO2の変化量は有意に相関していた(ρ=0.434,p=0.013)。またFMDの改善はHDL-Cの上昇と有意に相関し(ρ=0.355,p=0.049)、Peak VO2の上昇はCRPの低下と有意な相関(ρ=-0.431,p=0.015)がみられた。このHDL-CとCRPの2項目以外、LDL-CやnonHDL-C、TG、HbA1c、ApoA1、ApoB、ApoE、BNPは、いずれもFMDやPeak VO2と有意な相関がみられなかった。なお、AT値はいずれの検査指標とも相関がなかった。
これらの結果から、ACS後の心臓リハビリテーションは血清脂質状態の改善による血管内皮機能向上、CRP低下による運動耐容能上昇といった多面的効果をもたらし、動脈硬化進展予防に益すると考えられる。
◇FMD関連情報:
- FMDは動脈硬化危険因子の集積を鋭敏に反映 CAVI・ABIとの比較
- 食後脂質異常が、食後高血糖よりも血管内皮機能低下に強く影響
- 肥満でEDの中年男性は生活習慣病未発症でも内皮機能が有意に低下
- ACS後の心リハによる運動耐容能向上は血管内皮機能の改善と相関
- DPP-4I追加と併用OHA別にみた内皮機能改善効果 FMDでの検討
- CADでは非糖尿病でも微量アルブミン尿出現率が高く、FMD低下と関連
- 上腕動脈IMT・FMDの同時計測で、冠動脈疾患リスクの層別化が可能
- DPP-4阻害薬の食後高脂血症改善を介した血管内皮保護作用
- 禁煙により酸化ストレスが低下し、血管内皮機能が有意に改善
- 糖尿病細小血管障害とFMD値が相関。短期加療による改善も評価可能
- 血管内皮機能は体温日内変動と相関するが、糖尿病ではその関係が破綻
- 心不全患者の心リハ。急性期のADL改善にも血管内皮機能が関与
- 糖尿病患者の冠疾患スクリーニングにFMDが有用
- 食事由来コレステロールよりはTGとアポB48が血管内皮機能に影響
- 直接レニン阻害薬の多面的効果 透析患者での血管内皮機能を改善
- DPP-4阻害薬の変更による血管内皮機能改善の上乗せ効果
- 塩分の多い食事は、食直後から血管内皮機能(FMD)を低下させる
- 血管内皮機能は血糖変動と逆相関し鋭敏に変化する
- 大豆イソフラボンがTGを低下させ、FMDを改善
- 「血管内皮機能検査」が診療報酬改定で新設される(厚生労働省)
- ミグリトールは冠動脈疾患併発糖尿病患者の血管内皮機能を改善する
- FMD低値は糖尿病発症の予測因子。ドックなどでは精密検査を
- 肥満2型糖尿病では、精神的ストレス軽減が血管内皮機能改善につながる
- 網膜症のある女性糖尿病患者は血管内皮機能(FMD)低下ハイリスク
- HDL-Cの血管内皮機能(FMD)保護作用は糖尿病で相殺される
- 仮面高血圧合併2型糖尿病では血管障害(FMDやPWV)が高度に進展
- DPP-4阻害薬は血管内皮機能(FMD)を改善する
- 脳や心臓の血管が詰まる前に。血管の若返りがわかる検査指標「FMD」
- 動脈硬化が早期にわかるFMD検査装置
- 血管内皮機能、FMD検査のユネクス
- 一般向けサイト 動脈硬化の進展を知る「FMD検査.JP」
[ DM-NET ]
日本医療・健康情報研究所
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