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2023年02月13日

「ビタミンD」が糖尿病リスクを減らす 不足すると筋力低下・サルコペニアのリスクが高まる

 ビタミンDは、健康な体を維持するためになくてはならない栄養素。カルシウムやマグネシウムなどのミネラルの吸収を助けり、筋肉の合成を促す働きもしている。

 ビタミンDが不足している人は、将来に筋力低下やサルコペニアの発症リスクが上昇する可能性があることが、日本人を対象に行われた調査で明らかになった。

 ビタミンDを十分に摂っている人は、糖尿病のリスクが低いという研究も発表されている。

ビタミンDは重要な栄養素

 ビタミンDは、健康な体を維持するためになくてはならない栄養素。カルシウムやマグネシウムなどのミネラルの吸収を助けり、筋肉の合成を促したり、免疫機能の調整にも関わっている。

 筋肉にとってビタミンDは重要で、体内のカルシウム吸収を促して骨を増強するとともに、筋肉の合成を促す作用などがある。

 ビタミンDは、サバ・アジ・サケ・マグロ・サンマといった脂肪性の魚や、卵、チーズ、シイタケ・エリンギなどのキノコ類などに多く含まれている。

ビタミンDをつくるのに日光浴も大切

 また、ビタミンDは皮膚に日光があたることで、体内で合成される。外で日光浴をするのが効果的で、1日15分~20分、顔や両腕を出して日光浴をすると、ビタミンDを増やせる。

 家にとじこもりがちだと、十分な量の日光があたらない。日本人でも、多くの人はビタミンDが欠乏していると推計されているが、外出が減ることで、よけいに不足してしまうおそれがある。

 とくに高齢者では、肉や魚などから摂取するタンパク質が足りなかったり、ごはんなどの糖質を中心とした食事になることがある。

 また、食事制限をしている人でも、タンパク質は不足しがちになる。筋肉をつけて健康を保つには、積極的にタンパク質やビタミンDを摂るようにしたい。

ビタミンDが不足すると筋力低下・サルコペニアのリスクが高まる

 ビタミンDが不足している人は、将来に筋力低下やサルコペニアの発症リスクが上昇する可能性があることが、国立長寿医療研究センターや名古屋大学などが日本人を対象に実施した調査で明らかになった。

 とくに高齢者はビタミンDが不足しがちだ。研究により、高齢者で生じる筋力低下やサルコペニアの発症に、ビタミンDの不足が深く関わっている可能性が示された。

 さらに血中のビタミンDの測定は、サルコペニアの予測バイオマーカーのひとつとなりえるとしている。

 サルコペニアは、加齢にともない、筋肉量が急激に減少する疾患で、65歳以上の高齢者に多く、とくに75歳以上になると急に増えていく。

 サルコペニアになると、歩く速度が低下し、着替えや入浴など日常生活の動作も行いづらくなる。体のバランス機能も悪くなり、転倒・骨折の危険性が高まる。超高齢社会を迎えた日本で、その対策は喫緊の課題となっている。

ビタミンDが不足していると筋力低下が

 研究グループは、国立長寿医療研究センターが実施している、老化についての長期縦断疫学研究である「NILS-LSA(国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究)」のデータを用いて、血中のビタミンD量が低値の人の4年後の筋力の変化や筋量の変化、さらにサルコペニア新規の発症などについて調査した。

 研究に参加した1,919人のデータを解析し、ビタミンD欠乏群と充足群を比べた結果、ビタミンD欠乏群では筋力低下が進行し、またサルコペニアの新規発生数も増えることが分かった。

 このことは、ビタミンDが不足していると、将来的に筋力低下をまねき、結果としてサルコペニア罹患率が上昇することを示している。

 「より長期的な検証が必要ではありますが、研究成果は、血中ビタミンDがサルコペニアの発症を予測するバイオマーカーのひとつとなりえることを示しており、サルコペニア予防に貢献すると期待されます」と、研究グループでは述べている。

ビタミンDの不足が筋力低下を導き、将来にサルコペニアを発症するリスクを高める

出典:名古屋大学、2022年

ビタミンDのサプリは糖尿病リスクを減少する?

 ビタミンDを十分に摂っている人は、糖尿病のリスクが低い傾向があることが、米国のタフツ医療センターなどの研究で示された。

 ただし、生活スタイルを改善し、食事や運動を全体に見直すことは、ビタミンD以上の効果をもたらす可能性がある。

 同センター内分泌学・糖尿病・代謝部のアナスタシオス ピッタス氏らは、2022年12月までに世界中で発表された、ビタミンDの摂取と糖尿病の影響について調べた研究を解析した。

 そのなかには、ノルウェー科学技術大学などが実施した、3,574人の成人を対象とした研究も含まれていた。血中のビタミンDのレベルが低い人は、高い人に比べ、2型糖尿病の発症リスクが1.72倍に上昇した。

 また、九州の産業医科大学などが実施した研究では、血糖値が高めで、糖尿病予備群と判定された1,256人の参加者を、ビタミンDのサプリメントを服用する群と、服用しない群に分け、その後の2型糖尿病の発症について3年間追跡して調べた。

 その結果、ビタミンDのサプリが糖尿病の発症率を低下させることはなかったものの、インスリン分泌の低い人で血糖値が改善するなど、ある程度の有益な効果がみられた。

 ビタミンDのサプリメントの服用については、効果があるとした研究と、効果はないとした研究の両方がある。

 米国のブリガム アンド ウィメンズ病院が、1万6,515人を対象に行った調査では、ビタミンDのサプリの補給により、BMI(体格指数)の低いやせている人では、がんによる死亡リスク、自己免疫疾患などが30~40%減少したことが示されたが、BMIの高い肥満の人では、こうした効果はあまりみられなかった。

 やはり、食事の栄養バランスを見直し、屋外で日差しを浴びながら体を動かすなど、生活スタイル全体を見直すことが必要のようだ。

国立長寿医療研究センター運動器疾患研究部
国立長寿医療研究センター老化疫学研究部
名古屋大学大学院医学系研究科整形外科学
Influence of vitamin D on sarcopenia pathophysiology: A longitudinal study in humans and basic research in knockout mice (Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle 2022年10月13日)
Vitamin D and Risk for Type 2 Diabetes in People With Prediabetes: A Systematic Review and Meta-analysis of Individual Participant Data From 3 Randomized Clinical Trials (Annals of Internal Medicine 2023年2月7日)
Study Suggests Vitamin D Benefits and Metabolism May Depend on Body Weight (ブリガム アンド ウィメンズ病院 2023年1月17日)
Association of Body Weight With Response to Vitamin D Supplementation and Metabolism (JAMA Network Open 2023年1月17日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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