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2021年03月31日

1型糖尿病とともに生き、夢をあきらめない 挑戦を続けるアスリートたちがWebセミナーで語ったこと

「Live your dream! 1型糖尿病を持つアスリートによるwebセミナー」 レポート

 糖尿病と診断されると、生活が制限され、望み通りのことができなくなるのではないかと考える人は少なくない。しかし、糖尿病とともに生き、その才能を活かし、希望を捨てず、トップレベルへの挑戦をあきらめなかったアスリートたちがいる。
 ノボ ノルディスク ファーマと公益社団法人 日本糖尿病協会(理事長:清野裕)は、2020年12月20日に、オンラインイベント『Live your dream! 1型糖尿病を持つアスリートによるwebセミナー』を共同開催した。

開催日時:2020年12月20日(日) 開催方式:YouTube Liveを使ったオンライン形式
プログラム:
第1部 アスリートのストーリー紹介
「絶望なんかで夢は死なない」 杉山 新さん
「東京五輪を目指して」 マンディ マルクワット選手
第2部 「ディスカッションおよび質疑応答」
ジャスティン モリスさん、杉山 新さん、マンディ マルクワット選手

糖尿病サイト club-dm.jp(ノボ ノルディスク ファーマ)

コロナ禍のなかで糖尿病患者を勇気づけたい
 当日のWebセミナーでは、1型糖尿病をもつアスリートである、元Jリーガーの杉山新さん、自転車トラック競技で来年開催予定の東京2020オリンピック競技大会への参加を目指すチーム ノボ ノルディスクのマンディ マルクワット選手、チーム ノボ ノルディスクのアンバサダーであるジャスティン モリスさんをゲストに迎え、日本・アメリカ・オーストラリアを結んでライブ放送が行われた。

 「チーム ノボ ノルディスク」は、世界初の全員が1型糖尿病患者で構成されたプロサイクリングチームだ。糖尿病をコントロールしながら自転車のレースに挑戦することで、同じ1型糖尿病とともに生きる人々を勇気づけられると創設された。

 国際自転車競技連合(UCI)のプロチームとして自転車レースに参戦している。初めてのレースへの参戦は2013年、2015年にはフィリピンで開催されたLe Tour de Filipinasで優勝するなど実績を積み重ねてきた。

 ノボ ノルディスク ファーマは、2018年から毎年、日本糖尿病協会の協力を得て、同協会主催の小児糖尿病サマーキャンプにチーム ノボ ノルディスクの選手を招き、1型糖尿病の子供たちに自らの体験談を語ってもらうイベントを開催してきた。

 今年は新型コロナウイルス感染症の影響を受けサマーキャンプが中止されたため、コロナ禍の状況下における糖尿病患者を勇気づけるため、はじめてオンライン形式で開催することになった。

チーム ノボ ノルディスクを紹介したビデオ

「絶望なんかで夢は死なない」 杉山 新さん
 杉山 新さんは、Jリーグで活躍したプロサッカー選手(ディフェンダー)。23歳の時に1型糖尿病を発症した後も、糖尿病をコントロールしながら活躍を続け、ヴァンフォーレ甲府、大宮アルディージャ、横浜FC、FC岐阜などでプレイした。

 Jリーガーとして、2015年の現役引退まで、抜群の運動量と瞬発力を武器とし、鮮やかなプレーを繰り出し、多くのファンの心をつかんだ。現在は、サッカーの指導のかたわら、2018年に1型糖尿病ドリームチャレンジ実行委員会を設立し、1型糖尿病の啓発活動を積極的に行っている。

 「糖尿病だからといって、夢をあきらめることはない」と杉山さんは言う。1型糖尿病と診断された当時は、糖尿病についての理解を深めるにつれ、病気になった重みを感じるようになった。しかし、気持ちの整理をつけるのに、それほど時間はかからなかったという。

 「糖尿病だからといって、サッカーができなくなるなんて、まったく考えもしませんでした。サッカー抜きの人生なんて考えたこともなかったからだと思います」。

 2週間の入院で、食事やインスリン注射の方法などの指導を受けた。1型糖尿病と診断された当時は、糖尿病になったということを周囲に知られたくなく、インスリン注射に対しても、人前で打つことに抵抗感を感じたという。

 そんなときに医療従事者から、1型糖尿病とともに生きながら、プロスポーツ選手として活躍している人もいることを教えてもらった。「1型糖尿病とともに生き、スポーツ選手として活躍する人は世界中にいると知りました。自分も頑張ろうとポジティブな気持ちになれました」。

 「糖尿病は一生付き合っていかなければならない病気と知ったら、誰もが落ち込むかもしれないし、今後を考えて不安になることもあるでしょう。でも、人生の目的をはっきりもったら、気持ちは落ち着いていくだろうと思います」。

 「糖尿病にならなかったら、今の僕はなかったと思います。食事や運動に人一倍気を配るようになり、生活は健康的になりました。糖尿病と診断されたからといって、我慢ばかりの生活をおくることはないし、夢や希望をあきらめる必要もありません。血糖コントロールをすることで、かえって生きがいのある生活をおくれるようになる思っています」。
「オリンピックを目指して」 マンディ マルクワット選手
 マンディ マルクワット(Mandy Marquardt)選手は、自転車トラック競技選手。米国サイクリングナショナルチームメンバーで、チーム ノボ ノルディスクのアンバサダーを務めている。オリンピックへの参加を目指している女性アスリートだ。

 マルクワット選手は16歳のときに1型糖尿病を発症した。糖尿病と診断される以前から自転車競技をはじめており、2つの米国ジュニア ナショナルチャンピオンシップで優勝を納めている。

 2006年にはヨーロッパでのレース経験を積むためにドイツへと渡り、2007年にBaden-Württemberg State Teamというチームを作り、ドイツ ジュニアナショナルトラックチャンピオシップで銅メダルを獲得した。

 2007年に最大酸素摂取量(VO2 Max)のテストを受け、血液検査で血糖値が上がっていることが分かり、糖尿病と診断された。医師から、今後はトップレベルのレースを続けることはできないと告げられた。

 1型糖尿病と分かったとき、とてもショックであり、受け入れがたいと感じたという。「糖尿病をどうやってコントロールをすればよいのか、どうすれば自転車競技を続けていけるのか、不安を感じ混乱しました」と、マルクワット選手は言う。

 しかし、マルクワット選手は、自転車競技へ復帰することを決意。医師や両親と密に協力して、糖尿病をコントロールするための方法を学んでいった。

 そして2008年に、ドイツ ジュニアナショナルトラックチャンピオンシップに、糖尿病をもつ選手として初めて参戦。そして、再度、銅メダルを獲得し、糖尿病であっても十分に戦えること、結果を出せることを証明した。

 マルクワット選手は現在、米国ナショナルチームや、チーム ノボ ノルディスクのメンバーとして活躍し、オリンピックへの参加を目指している。

 「自転車競技で戦い、オリンピックに出場することで、糖尿病をともに生きる人たちを勇気づけ、希望を与えられます。オリンピックという夢を追いかけることは、アスリートとして常に自分をベストな状態にしようという思いを奮い立たせてくれます」と、マルクワット選手は言う。
1型糖尿病とともに生き、夢を叶えるために
 第2部の「ディスカッションおよび質疑応答」は、チーム ノボ ノルディスクのアンバサダーとして活躍するジャスティン モリス(Justin Morris)さんも参加して行われた。

 モリスさんは、元チーム ノボ ノルディスクのプロサイクリング選手。10歳で1型糖尿病を発症した後も、競技を続けた。プロ選手として活躍し、2019年にはマウンテンバイク世界選手権でオーストラリア代表選手になった。現在はチーム ノボ ノルディスクのアンバサダーとして世界中で講演活動を行っている。

 「糖尿病とともに生きる人々を元気づけ、治療に積極的に取り組み、それぞれの人生の目標に向けて生きていくことを応援する」というチームのミッションを広める活動に積極的に参加している。

 サイクリングがあまり盛んではないアジア地域での講演も精力的にこなし、チームの広報をするとともに、糖尿病を克服するための活動をサポートしている。

 「1型糖尿病と分かったときに、プロのスポーツ選手になる夢をあきらめそうになったことはありますか?」という問いに対し、「糖尿病であることは大きな課題ではありますが、あくまでも課題であって、何かをできなくしてしまう障壁にはなりません」と、モリスさんは答えた。

 「人生でどんな課題を抱えていようとも、誰でも夢を叶えることができるのだということを示し続けることが大切です。チーム ノボ ノルディスクのメンバーは全員が1型糖尿病ですが、大きな成果を達成するために日々トレーニングをしています。これからもレースを続け、チームをサポートしていきたいと思います」と述べている。

糖尿病サイト club-dm.jp(ノボ ノルディスク ファーマ)

チーム ノボ ノルディスク

 チーム ノボ ノルディスクは、世界初の全員が1型糖尿病患者で構成されたプロサイクリングチームで、国際自転車競技連合(UCI)のプロチームとして競技に参戦している。同チームのCEO兼共同創設者のフィル サザーランド氏は、糖尿病をコントロールしながら自転車のレースに挑戦することで、同じ1型糖尿病とともに生きる人々を勇気づけられると考えチームを創設した。

糖尿病サイト club-dm.jp(ノボ ノルディスク ファーマ)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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