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2021年02月19日

1型糖尿病への「周囲の理解」が必要 2月28日は「世界希少・難治性疾患の日」

 2月28日は「世界希少・難治性疾患の日」(RDD)だ。患者数が少ないことから、病名や症状が十分に知られていない病気は少なくない。
 生活や仕事との両立に悩んだりしている人も多い。治療に取り組んでいる患者への「周囲の理解」が必要と呼びかけられている。
希少・難治性疾患への理解を呼びかけ
 「世界希少・難治性疾患の日」(Rare Disease Day、RDD)は、より良い診断や治療により、希少・難治性疾患の患者の生活の質(QOL)を向上させることを目指して、スウェーデンで2008年から始まった活動で、毎年2月最終日に世界中でイベントが開催されている。2021年のRDDは2月28日(日)だ。

 RDDはのべ100ヵ国で開催されている。日本でも昨年は全国で開催され、回を重ねるごとに大きな反響を呼ぶようになった。今年のテーマは「あなたのしりたいレア わたしももっとしりたい-We stand in solidarity with the RARE communityー」だ。

 希少・難治性疾患の多くに、治療法が確立していないという課題がある。さらに、疾患の希少性ゆえに疾患の認知度が低く、社会からの理解も得られにくいなど、多くの患者が日常生活で課題を抱えている。

世界希少・難治性疾患の日(RDD)の公式ビデオ

1型糖尿病も希少・難治性疾患
26歳のときに糖尿病と診断
 米国立衛生研究所(NIH)によると、1型糖尿病も希少・難治性疾患のひとつだ。20歳以下の1型糖尿病の子供や若者の数は世界で110万人以上*に上る。日本の1型糖尿病の患者数は10〜14万人と推計されている。
* IDF糖尿病アトラス 第9版

 1型糖尿病は、糖尿病の90%以上を占める2型糖尿病に比べ、成因による分類や特徴がまったく異なる。2型糖尿病は中年期以降に発症することが多く、過食や運動不足などの生活スタイルが関わるが、1型糖尿病は小児から思春期に発症することが多く、生活習慣とはまったく関係がない。

 エクアドルで暮らすヴェロニカ アブリルさんは2016年に、26歳のときに糖尿病と診断された。アブリルさんは、健康的な食事をしていて、運動をする習慣もあり、痩せている。糖尿病と診断されたときは当人も周囲も驚いたという。

 体重が短期間に減り、疲れがひどくなり、喉の渇きが頻繁になり、痙攣などの自覚症状があった。医療機関で検査を受けたときには、血糖値は261mg/dLで、過去1~2ヵ月の血糖値の平均を反映するHbA1c値は8.1%だった。
1型糖尿病よりも稀なLADA
 1型糖尿病は、血糖を下げるインスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊されることで発症し、主な原因は自己免疫と考えられている。アブリルさんは、1型糖尿病と診断されるほど血糖値もHbA1cは高くなく、1型糖尿病を特徴づける所見も少なかった。

 そこで、1型糖尿病で陽性率の高い抗GAD抗体の検査を受けた。これは膵島が関連する自己抗体であるGAD抗体を調べるもの。その結果、抗GAD抗体が陽性で、自己免疫が起きていると判定された。

 最終的にアブリルさんの診断名は、「成人潜在性自己免疫性糖尿病」(LADA)に変わった。この糖尿病では、自己免疫を示す抗GAD抗体が陽性で、最初は2型糖尿病のように徐々に進行するが、その後インスリン分泌が低下して、1型糖尿病と同様の病態となる。
希少疾患の患者会を探すのは困難
 ようやく診断が確定したことで、アブリルさんとその家族は病気に対する理解を得られるようになった。しかし、LADAを支援する患者会などを探しても、患者の数が少ないため、アブリルさんにふさわしい団体はなかなかみつからなかった。

 エクアドルでは非営利団体や民間組織によって提供される糖尿病のサポートは、食事や運動などの生活指導や、心理的なケアなどに重点が置かれるが、対象となるのは2型糖尿病の高齢者と、1型糖尿病の小児・若者に集中する傾向がある。アブリルさんはそのどちらにも当てはまらない。

 「成人してからLADAを発症した私を歓迎してくれ、私が抱える状況を理解してくれる公益法人をみつけるまでに、糖尿病と診断されてから1年以上がかかりました」と、アブリルさんは言う。

 「私とおなじように糖尿病ととともに生きる仲間とつながることで、糖尿病を受け入れられるようになり、生活に活力が出てきました。いまでは、希少疾患であるLADAを発症した私と同じような人を、今度は私からサポートしてあげられるよう取り組んでいます」としている。
1人でも多くの人に希少・難治性疾患を知ってもらうために
 難病・希少疾患情報/コミュニティサイト「RareS.」(レアズ)は、東京大学大学院薬学系研究科ITヘルスケア社会連携講座と共催で、「世界希少・難治性疾患の日」(RDD)の公認イベントとして、2月17日に東京大学薬学部講堂で「RDD東大薬学部」を開催した。

 一般の人々が希少疾患や難病の情報にふれる機会は限られているので、それらの疾患への理解はなかなか得られない。

 そのため、疾患の認知度を高めるために、さまざまなかたちで希少疾患や難病に着目した映画が世界中で制作されている。しかし、それを目にする機会が得られにくいのが現状だ。

 そこで、東京大学薬学部講堂で開催された「RDD東大薬学部」では、1人でも多くの人に希少・難治性疾患を知ってもらう機会を増やすために、RDDのイベントで希少・難治性疾患をテーマにした映画の上映会が実施された。
希少疾患や難病のドキュメンタリー映画を上映
 イベントで上映された作品は、「奇跡の⼦どもたち」と「RARE」の2作品。「上映会を通して、希少・難治性疾患に関する課題解決の一助となれば幸いです」と、「RareS.」(レアズ)では述べている。

■ 「奇跡の⼦どもたち」

 世界で報告例は100例未満という「AADC⽋損症」を抱え、遺伝⼦治療を受けて変化していく子供たちとその家族を、10年間にわたり追いかけた感動的なドキュメンタリー映画。
 AADCは、重要な神経伝達物質であるドパミンやカテコラミン、セロトニンの合成に必須の酵素。AADC欠損症は、生まれつきAADC遺伝子の変異があり、AADCが働かなくなる常染色体劣性遺伝性疾患。

映画「奇跡の子供たち」予告編

■ 「RARE」

 「ヘルマンスキー・パドラック症候群(HPS)」という希少疾患を抱えて⽣きる患者と家族、臨床試験に臨む医師の姿を描いたドキュメンタリー映画。
 HPSは、常染色体劣性遺伝性疾患。眼皮膚白皮症や出血性素因を特徴とし、間質性肺炎、肉芽腫性大腸炎などがあらわれる。早期診断による予防対策が重要となる。

映画「RARE」の予告編

世界希少・難治性疾患の日(Rare Disease Day)
Rare Disease Day
難病・希少疾患情報/コミュニティサイト「RareS.」(レアズ)
東京大学薬学系研究科ITヘルスケア社会連携講座
がん情報サイト「オンコロ」
特定非営利活動法人 難病ネットワーク
[ Terahata ]

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