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2020年07月02日

糖尿病の人は太り過ぎ、やせ過ぎだと死亡リスクが上昇 適正体重を維持することが大切

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ライフスタイル 糖尿病と肥満
 糖尿病のある人は、太り過ぎや、やせ過ぎであると、死亡リスクが上昇することが、糖尿病の既往歴のある日本人4,600人以上を20年間追跡した調査で明らかになった。
 適正体重を維持することが大切であることが、あらためて示された。
日本人は軽度の肥満でも糖尿病を発症しやすい
 「JPHC研究」は日本人を対象に、さまざまな生活習慣と、がん・2型糖尿病・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で実施されている多目的コホート研究。

 2型糖尿病と肥満は関連が深いと考えられている。肥満は、2型糖尿病、高血圧、循環器疾患、さらに死亡リスクを上げることが分かっている。欧米には糖尿病患者での肥満と死亡との関係について調べた研究が多くある。

 一方で、日本人は欧米人と比べ肥満度が低い傾向がみられ、軽度の肥満でも糖尿病を発症しやすいことが知られている。日本人を含むアジア人の糖尿病の特徴は欧米人と異なると報告されているが、日本人を対象に糖尿病と肥満度、死亡リスクの関連について調べた研究は少ない。

 そこで研究グループは、1990年と1993年に、岩手、秋田、長野、沖縄、茨城、東京、新潟、高知、長崎、大阪の11保健所管内に在住していた、研究開始時のアンケートで糖尿病があると回答し、過去にがんや循環器疾患になったことのない40~69歳の男女約4,647人(男性 3,032人、女性 1,615人)を18.5年間、追跡して調査した。
BMIが糖尿病の人の健康にどう影響するかを調査
 今回の研究では、糖尿病のある人の肥満度(BMI)と全死亡・主要死因死亡との関連を調べた。研究成果は、医学誌「Diabetes Research and Clinical Practice」に掲載された。

 BMI(体格指数)は、体重と身長から算出される肥満度をあらわす指数。日本では、BMI 18.5〜25未満は普通体重(適正体重)、BMI 25以上は肥満、18.5未満は低体重(やせ)と判定される。BMIを日頃からチェックすることは、健康を維持するために重要だ。

 研究グループは、調査開始時のBMIにより7つのグループ(BMI:14~18.9、19.0~20.9、21.0~22.9、23.0~24.9、25.0~26.9、27.0~29.9、30.0以上)に分けて、BMI 23.0~25未満のグループを基準として、10年間の死亡率を比較した。

 解析の際には、年齢、性別、地域、高血圧、喫煙状況、アルコール摂取量、余暇の身体活動、20歳以降の体重変化などの影響を調整した。
糖尿病の人は太り過ぎ、やせ過ぎだと死亡リスクが上昇
 その結果、糖尿病の人では、とくに男性で、太り過ぎ(BMI 30以上)、やせすぎ(BMI 19未満)のグループで、死亡リスクが増加することが明らかになった。

 BMIが30以上の肥満のグループで全死亡のリスクは1.36倍に増加した。死亡原因ごとにみると、がんによる死亡リスクも肥満のグループでは上昇し、BMIが25以上で1.42倍に、30以上で1.66倍に増加した。心疾患による死亡リスクも、BMIが30以上で1.86倍に上昇した。

BMIが30以上の肥満の人では死亡リスクが1.36倍に増加
出典:国立がん研究センター 社会と健康研究センター、2020年

 さらに、BMIが19未満のやせのグループでも、死亡全体のリスクは1.25倍に増加していた。糖尿病のある人のBMIと脳血管疾患と呼吸器疾患による死亡リスクとの関係はみられなかった。

 調査時点ですでに死亡リスクの高い重篤な病気をもっていたために体重が減少した可能性があるため、調査開始後3年間に死亡した人を除いて解析したが、結果は変わらなかった。

 次に、男女別に分けて、糖尿病のある人のBMIと死亡リスクとの関係を調べてみると、男性ではBMIが30以上のグループと19未満のグループで、死亡リスクが増加していた。一方、女性では、BMIと死亡リスクには有意な関連がみられなかった。

 喫煙は糖尿病の治療の妨げとなるだけでなく、合併症や他の病気のリスクも高めることから、喫煙歴があるグループ(現在喫煙している、もしくは過去に喫煙していた)と喫煙歴がないグループを比較したところ、喫煙歴があるグループで死亡リスクは増加していた。

男性では肥満でもやせでも死亡リスクは増加 喫煙しているとリスクはさらに上昇
出典:国立がん研究センター 社会と健康研究センター、2020年
肥満とやせの解消と禁煙が望まれる
 この研究では、糖尿病の人では、とくに男性で、太り過ぎとやせ過ぎのグループで、死亡リスクが増加することが明らかになった。

 研究グループはこれまでに、糖尿病の有無に関わらず、太り過ぎでもやせ過ぎでも死亡リスクが上昇するという研究結果を発表している。今回の研究では、糖尿病をもっている人でも同じことがあてはまり、適正体重の維持が重要であることが示された。

 肥満は、高血圧や脂質代謝異常、高血糖などの原因になり、循環器疾患の死亡リスクを上昇させると考えられる。また、やせは感染症や呼吸器疾患などのリスクを上昇させる。

 「今回の研究結果から、男性で糖尿病をもっている人では、やせや太っていることに加えて、喫煙も死亡リスクを増加させるリスク因子になります。肥満の解消に加えて、タバコを吸う人では禁煙も望まれます」と、研究グループでは述べている。

 男女で違いが生じるメカニズムについてはよく分かっていないが、1つの可能性として「糖尿病の既往者は男性に比べて女性の対象者が少なく(男女比はおおよそ2:1)、統計学的に十分評価できなかった可能性があります」としている。

 また、長期にわたり糖尿病を患っている場合や、糖尿病の治療がうまくいっていない場合にやせることがある。「この研究では調査開始時点の糖尿病のある人の罹患期間や重症度について考慮できていないため、今後、さらなる研究が必要です」としている。

多目的コホート研究(JPHC Study) 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ
Body Mass Index and Mortality Among Middle-Aged Japanese Individuals With Diagnosed Diabetes: The Japan Public Health Center-based Prospective Study (JPHC Study)(Diabetes Research and Clinical Practice 2020年6月)
[ Terahata ]

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