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2020年04月24日

アルコール綿の不足時のインスリン注射やSMBGをどうする? 4つの対処法

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、アルコール消毒綿などの不足が報じられている。
 インスリン自己注射や血糖自己測定などの時には、「手洗いや清拭をして清潔にして、十分に乾かして対応」をすることが呼びかけられている。
アルコール綿がない場合でも注射や血糖測定は続ける
 新型コロナウイルス感染症の拡大により、アルコールなどの消毒薬の入手困難が報じられている。インスリン自己注射や血糖自己測定の穿刺のときに困っている人が多い。

 通常は注射や穿刺の際に、注射部位の皮膚を70~80%のエタノールが含まれるアルコール綿などで消毒するが、それがない場合も代替となる方法がある。

 日本くすりと糖尿病学会の適正使用推進委員会は、「糖尿病治療用注射製剤の自己注射や血糖自己測定用アルコール消毒綿不足時の対処について(例示)」を、同学会のウェブサイトで公開した。

 とくに高血糖の状態が続くと感染症のリスクが上昇するので、血糖コントロールを続けることが重要となる。同学会は「アルコール綿などがない場合でも、インスリン自己注射や血糖自己測定をやめてはいけない」と注意を促している。
アルコール綿がない時の4つの対処法
 インスリン自己注射や血糖自己測定の時には、皮膚消毒を行うことが推奨されている。医療行為を行う上で衛生面への配慮は重要だ。

 しかし、アルコール消毒綿が不足し、やむを得ず消毒できない場合には、同学会は対処法として次の4点を示している。

(1)注射や穿刺の前に、手洗いを十分に行う。ハンドソープや石鹸などを用いてしっかり揉み洗いしてい流水で洗い流す。

(2)自己注射では上腕や腹壁などが注射部位になり、そうした部位は流水で洗うことはできない。注射部位や穿刺部位をお湯や水で濡らしてしっかり絞ったタオルなどで清拭する。

(3)手洗いや清拭の後で、よく乾かすことが大切。自己注射や穿刺の前に、皮膚が清潔で十分に乾燥していることを確認する。

(4)外出時などでも、注射や穿刺の部位の衛生面と乾燥に注意する。

※流水によるすすぎにより、洗浄とウイルスの不活性化ができ、ウイルス感染に対策できるので、手洗いは重要だ。ハンドソープや石鹸などでしっかりと時間をかけて揉み洗いをすることで、ウイルスを除去できる。

※消毒のみでは測定に影響を与える因子を十分に除去できないことがあるので、消毒の前の手洗いは必要。

※たとえば果物の皮をむいた後に血糖自己測定を行うと、測定値が高値になってしまう場合がある。測定精度への悪影響を軽減するためにも手洗いは必要となる。

※温水による手洗いは、手を温めることで血行が良くなり、採血しやすくなるというメリットもある。

※皮膚が乾燥した状態で穿刺した方が、表面張力により血液球ができやすくなり、センサーに点着しやすくなる。手洗いの後でよく乾かすことが大切。
アルコール以外の消毒液を用いるときは注意
 なお、代替品としてアルコール以外の消毒液を用いて自己注射や血糖測定を行う際には、日本薬局方オキシドールやベンゼトニウム塩化物含有消毒液(マキロン)では測定値が偽低値に、反対に、ポピドンヨード(イソジン)では偽高値になるなどの影響が報告されているので、注意する必要がある。

 日本くすりと糖尿病学会適正使用推進委員会ではこのほか、薬剤師がインスリン療法を行う患者に対して継続的に薬学管理を行う際のポイントをまとめた「適正なインスリン注射製剤使用の継続的薬学管理のてびき」や、医師や看護師、薬剤師、ケアマネージャーなどが連携して薬物療法を管理するための「糖尿病患者の継続した薬学管理に用いる様式とその活用法の手引き」なども、学会ウェブサイトで公開している。

日本くすりと糖尿病学会
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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