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2019年11月29日

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糖尿病の人はうつ病になりやすい ウォーキングで予防 脳の老化も防げる

 ウォーキングなどの運動を毎日続けると、うつ病の予防につながることが、約8,000人を対象とした大規模な調査で明らかになった。
 運動を習慣として続けることで、脳の老化を防ぎ認知症の予防にもつながるという研究も公表されている。
糖尿病の人はうつ病になりやすい
 糖尿病とともに生きる人は、精神的負担やうつ症状、不安障害を体験することが多い。糖尿病患者のうつ病のリスクは、糖尿病でない人に比べ、2~3倍に上昇するという報告がある。

 糖尿病の治療では食事や運動、薬物療法、血糖測定など自己管理が大きな比重を占める。患者が大きな精神的負担を受けることが少なくない。

 日本を含む17ヵ国の患者を対象に行われた調査では、うつ病が疑われる人は13.8%、糖尿病に関連する心理負担度が高い人が44.6%に及んだ。

 しかし、嬉しい知らせもある。ウォーキングなどの運動を習慣として行うことで、うつ病の予防効果を得られるという研究が相次いで発表されている。
1日35分のウォーキングがうつ病の予防に効果的
 ウォーキングなどの運動を習慣として行うことで、うつ病の予防効果を得られる可能性があることが、米国のハーバード公衆衛生大学院の研究で明らかになった。

 週4時間の運動を行うことで、うつ病を発症するリスクは17%低下するという。

 「平均して35分以上の運動を毎日行うと、うつ病のリスクが軽減することが分かりました。運動量を増やすとより効果的で、毎日1時間の活発な運動をすることが勧められます」と、ハーバード公衆衛生大学院のカーモル チョイ氏は言う。

 この研究は、大規模な前向き研究である「英国バイオバンク」に参加した成人7,968人の遺伝データを分析したもの。

 研究チームは、加速度計を用いて得た客観的なデータにより、運動の活動レベルとうつ病の発症の関連を調査。

 その結果、身体活動レベルが高い人ほどうつ病になりにくく、将来の発症予防にもつながる可能性があることが示された。

関連情報
遺伝的リスクの高い人でも運動は効果的
 うつ病の遺伝的リスク別に、運動と将来の発症リスク低減との関連も調べたところ、うつ病になりやすい遺伝的素因をもつ人は、2年以内にうつ病と診断される可能性が高かった。

 こうした遺伝的にリスクが高い人であっても、身体活動レベルを高めれば、うつ病リスクを抑えられることが示された。

 「肥満や2型糖尿病のある人に、医師が運動の処方箋を書くことは、とくにうつ病を発症する遺伝的素因をもっている場合は、運動により得られる利益を増やすことにつながります」と、チョイ氏は述べている。
運動で脳のインスリン抵抗性を改善できる
 運動を習慣として行い、体を活動に動かしている人は、心臓病、2型糖尿病、がんなど、さまざまな健康上の問題が起こる可能性が低いことが知られている。

 運動をするとブドウ糖がすぐ消費され、血糖値が下がる。さらに運動を習慣化すると、血中のブドウ糖の量をコントロールするインスリンが効きやすい体質になる。

 加えて、運動は脳の健康にも良いことが、最近の研究で分かってきた。運動の脳への効果に、「インスリン抵抗性」が関わっているという。

 ニューヨーク州立大学の研究によると、脳のインスリン抵抗性は認知症の危険因子となり、運動により改善できる可能性がある。

 2型糖尿病の原因のひとつであるインスリン抵抗性とは、肥満や運動不足などが原因でインスリンが効きにくくなり、ブドウ糖が細胞に十分取り込まれなくなった状態のこと。

 インスリン抵抗性は、身体的な作用だけでなく、脳にも作用する。運動をすることで、脳のインスリン抵抗性が改善し、認知力などのパフォーマンスが向上する可能性がある。
ウォーキングなどの運動が脳の老化を改善
 糖尿病は認知症とも関連が深い。とくに高齢者で、糖尿病や高血糖は認知機能の低下や認知症の危険因子となることが分かっている。

 うつ病は認知症とも関連が深い。認知症外来を受診する高齢者の5人に1人でうつ病などの障害がみられるという報告がある。

 しかし、ウォーキングなどの運動を続けていれば、認知症の発症も予防できる可能性があることが、ボストン大学医学部の研究で明らかになった。

 研究は、米国で1970年代から行われている心血管系疾患リスクに関する研究である「フラミンガム心臓研究」に参加した成人2,354人を対象としたもの。

 調査の結果、1日の歩数が多い人ほど、あるいは身体活動量が多い人ほど脳容積は大きいことが分かった。

 1日に平均1万歩以上歩く人では、平均5,000歩未満の人と比べて脳年齢が1.75歳若く、また、中強度の身体活動が1時間増えるごとに脳年齢は1.1歳若返るという。
脳の老化は40歳代から始まっている
 「運動は激しいものである必要はなく、通常のウォーキングなど中強度の運動でも、脳構造に良い影響があらわれます」と、ボストン大学医学部のニコール スパルターノ氏は言う。

 スパルターノ氏の過去の研究では、40歳代の時点で運動をする習慣をもたず、体力が低下していると、60歳を過ぎてから脳の容積が減少し、認知機能も低下しやすいことが分かっている。

 研究チームは、「フラミンガム子孫研究」に参加した、認知症や心疾患のない平均年齢40歳の男女1,583人の男女を対象に調査した。その結果、40歳の時点でランニングマシンの運動成績が良くなく、運動能力が低下していた人は、20年後に脳が早く萎縮していることが判明した。

 「多くの人は年齢を重ねるまで、自分の脳の健康について気にかけない傾向がありますが、実は脳の老化は40歳代から始まっています。齢をとって筋力が低下しないように、若い頃から運動をすることが、脳の健康を保つために必要です」と指摘している。

Exercise may stave off depression, even among those at higher genetic risk(ハーバード公衆衛生大学院 2019年11月7日)
Physical activity offsets genetic risk for incident depression assessed via electronic health records in a biobank cohort study(Depression & Anxiety 2019年11月5日)
Insulin modulates hippocampally-mediated spatial working memory via glucose transporter-4(Behavioural Brain Research 2017年9月21日)
Light, Physical Activity Reduces Brain Aging(ボストン大学医学部 2019年4月19日)
Association of Accelerometer-Measured Light-Intensity Physical Activity With Brain Volume: The Framingham Heart Study(JAMA network open 2019年4月19日)
Couch Potatoes May Have Smaller Brains Later in Life(ボストン大学 2016年2月10日)
Midlife exercise blood pressure, heart rate, and fitness relate to brain volume 2 decades later(Neurology 2016年2月10日)
[ Terahata ]

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