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2019年11月13日

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「食べる順番」に重点をおいて食事をすると減量効果が大きい

 保健指導で「食べる順番」に重点をおいた食事指導をすると、従来の食事指導に比べ減量効果が大きく、継続もしやすいという研究を、関西電力医学研究所などが発表した。
「食べる順番」に重点をおいた食事指導
 研究は、関西電力医学研究所所長・関西電力病院総長の清野裕氏、同研究所副所長・岐阜大学大学院医学系研究科教授の矢部大介氏らの研究グループが、関西メディカルネット、花王などと共同で実施したもの。

 近年、食後高血糖や体重増加を是正する方法として、「食べる順番」に配慮した食事療法が注目されている。

 今回の研究では、摂取エネルギ―量や栄養バランスに関する一般的な内容に加えて、「食べる順番」に重点をおいた食事指導を行った。

 研究グループは、健診結果から糖尿病発症のリスクが高く、生活習慣改善に向けた保健指導(特定保健指導「積極的支援レベル」)が必要とされた人を対象に、「食べる順番」に重点をおいた食事指導、「栄養バランス」に重点をおいた食事指導の有効性や遵守率をランダム化比較試験によって検証した。
「食べる順番」を変えるとどんな利点があるか
 具体的には、食事開始後、少なくとも5分間は、食物繊維を含む食品(サラダなど)、タンパク質、脂質を含む食品(魚料理など)を食べ、その後、炭水化物を含む食品(米飯など)を、食物繊維を含む食品やタンパク質や脂質を含む食品と一緒に食べてもらうという指導を行った。また、日々の生活の中で食べる順番に配慮した食事を実践するため、ランチョンマットと砂時計を貸与した。

 炭水化物に先んじて、食物繊維を含む食品をとることは、消化管からの糖の吸収を抑制することで食後高血糖や体重増加を是正するとされている。

 また、炭水化物に先んじて、タンパク質や脂質を含む食品をとることは、GLP-1とよばれる消化管ホルモンの分泌を促し、胃の動きをゆるやかにすることで食後高血糖を是正することが示されている。GLP-1には食欲を抑制する効果もあるため、長期には減量効果が期待される。
「食べる順番」に重点をおいた食事指導と従来の食事指導を比較
 参加者は、従来群11名、食べる順番群18名、栄養バランス群13名。2016年6月の1ヵ月間に、問診ならびに身体測定、採血、食事摂取量の評価を受けるとともに、個別に生活習慣改善に向けた保健指導を受け、食事と運動に関する行動計画をそれぞれ1つずつ決めてもらった。

 そして保健指導終了後、被験者は月1回、メールにて行動計画の遵守状況を報告。保健指導6ヵ月後の2016年12月の1ヵ月間に、問診ならびに身体測定、採血、食事摂取量の評価を受けてもらった。

 保健指導後6ヵ月間の体重の変化量は、食べる順番群、栄養バランス群ともに従来群に比して、約1.5kg減少。1日の食事摂取量も、食べる順番群、栄養バランス群共に従来群に比べて、200kcal/日程度減少した。

 食事に関する行動計画遵守に関する点数(5点満点)は、食べる順番群は従来群と同等であったが、栄養バランス群は2群に比べ有意に低い値だった。なお、空腹時血糖値やHbA1cはいずれの群においても変化量がわずかで明らかな群間差を認めなかった。
今後は糖尿病の発症や重症化の予防についても検討
 今回の研究により、保健指導において「食べる順番」に重点をおいた食事指導が、継続して実践可能かつ減量効果に優れた指導であることが明らかにされた。

 研究グループは、「健診結果から糖尿病発症のリスクが高く、生活習慣改善に向けた保健指導(積極的支援)が必要とされる人を対象に、"食べる順番"に重点をおいた食事指導が、従来行われてきた特定保健指導と比して、減量効果が大きく、継続して実践可能であることが明らかになった」と、述べている。

 今後は、より大きな集団を対象に長期の介入研究を行うことで、「食べる順番」に重点をおいた食事指導の減量効果や遵守率に関する検証のみならず、さらには糖尿病の発症予防や重症化抑制についても検討を進めていきたいとしている。
「栄養バランス」に重点をおいた食事指導にも工夫が必要
 栄養バランスに配慮して食事をとることは重要だが、栄養に関する一定の知識を必要とするため、継続して実践することが困難とされている。

 研究では、「栄養バランス」に重点をおいた食事指導を簡便に行える方法として、花王の開発した「スマート和食」の指導ツールが用いられた。

 以下の「スマート和食」の食事5か条に関する啓発パンフレットを使い指導を行い、「スマート和食」が日々の生活の中で実践できているかを確認できる「スマート和食チェック表」(紙媒体)を配布した。

「スマート和食」の食事5か条

1. 【食卓の工夫】 毎食ご飯を中心に、主菜1皿と副菜2皿をそろえる。

2. 【主菜の工夫】 魚と大豆製品は、それぞれ1日1回ずつ食べる。

3. 【主菜の工夫】 肉は低脂肪のものを選ぶ。

4. 【副菜の工夫】 旬の野菜、きのこ、海藻、芋、豆、果物などをまんべんなく食べる。

5. 【調理方法】 油脂を使った料理は1食1皿。
ドレッシングやマヨネーズ、揚げ物は極力控える。塩分の取り過ぎにも注意。

 同社では、内臓脂肪蓄積と食事を含む生活習慣の関係を研究から、食事の"量"(摂取エネルギー)だけでなく、食事の"質"(食品選択・栄養バランス)、食事の"時間"(いつ食べるか)が内臓脂肪蓄積に重要であることを見出している。

 そして、内臓脂肪を蓄積させない食事の"質"は、食材として豆類(大豆および他の豆類)、野菜、魚介、果実、海藻、緑茶などの、日本型食生活でなじみのある食材の摂取頻度が高くなることから、「内臓脂肪をためにくいという日本型食生活の健康ベネフィットを、現代のおいしい食生活にスマートに取り入れる」という意味で、「スマート和食」と名付けている。

 研究では、「栄養バランス」に重点をおいた食事指導についても、遵守率を向上させることで、減量効果を発揮しうる可能性が示唆された。「指導内容を理解して実践しやすくする工夫を行っていく必要がある」としている。

関西電力医学研究所
Dietary instructions focusing on meal-sequence and nutritional balance for prediabetes subjects: An exploratory, cluster-randomized, prospective, open-label, clinical trial(Journal of Diabetes and Its Complications 2019年10月19日)
[ Terahata ]

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