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2019年07月16日

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1型糖尿病 医療の進歩 医薬品/インスリン

「1型糖尿病を治る病気にする」日本IDDMネットワークの活動 根治・根絶を目指す

 1型糖尿病患者を支援し、1型糖尿病の新たな治療法の開発を支援する活動を展開している認定NPO法人「日本IDDMネットワーク」(理事長 井上龍夫、本部 佐賀市)の取り組みに、全国から注目が集まっている。
「1型糖尿病を治る病気にする」
 日本IDDMネットワークは、「1型糖尿病または若年発症糖尿病の患者の自立を図り、もって公益の増進に寄与すること」を目的として活動を行っており、これまで患者・家族の生活サポートのほか、1型糖尿病の根絶を目指す研究へ資金を提供してきた。

 本部を置く佐賀県のふるさと納税などを活用し、1型糖尿病の根絶に向けた研究を支援する活動を活発に展開している。

 同法人が取り組むプロジェクトは、1型糖尿病の治療法の確立を支援し、「1型糖尿病を治る病気にする」ことを目指すというもの。

 1型糖尿病は、現在の医療では根治できない難病だ。原因不明で突然、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊されることで発症する。小児~思春期に発症することが多く、発症すると生涯にわたり毎日4〜5回の注射あるいはポンプによるインスリン補充が必要となる。

 糖尿病患者の大半を占める2型糖尿病が遺伝的な要因や生活習慣などが原因で発症するのに対し、1型糖尿病は肥満や生活習慣と関係なく発症する。発症率は10万人当たり1〜2人と少なく、患者と家族の精神的、経済的負担は深刻だ。

 インスリン治療により適切な生活管理ができていれば、健康な人と変わらず生活し、仕事をできるが、糖尿病=生活習慣病というイメージから、「贅沢し過ぎている」「食べ過ぎ」などの偏見があり、苦しみ、傷つく患者・家族は少なくない。就職時などでも不当に不利に扱われるケースがある。
「1型糖尿病研究基金」を設立
 日本IDDMネットワークは2005年に「1型糖尿病研究基金」設立し、1型糖尿病の根絶(予防+根治+治療)を目指す研究を支援している。2018年までに計61件、3億500万円の研究費助成を行っている。

 同法人への直接の寄付や、佐賀県庁への「日本IDDMネットワーク指定」のふるさと納税などで、全国から支援を得ている。認定NPO法人への寄付は税制優遇措置が受けられる。

同法人がこれまで行った研究費助成は下記のページで紹介されている。
「1型糖尿病研究基金」研究支援を随時受け付け
 日本IDDMネットワークは6月、年に1回程度助成課題の公募を行ってきたが、それとは別におおむね1,000万円以上の研究支援課題を随時受け付けることを発表した。

 支援の対象となるのは、▼1型糖尿病に関連する研究に取り組んでいる研究者または団体で、▼日本国内に研究拠点があること、▼原則として3年以上の研究実績があること――とった条件がある。

「山田和彦賞」を創設
 日本IDDMネットワークは2015年に「山田和彦賞」を創設した。1型糖尿病の「根治」につながる研究実績をもち、研究を推進している研究者など候補者の推薦を受け付けている。

 同賞は、1型糖尿病患者の故山田和彦さんからの遺産寄付を財源としてした賞。山田さんは他の人からの移植や機械に頼らず、自分の体は自分の体の中で治ることを期待していたという。生前から自分の後に続く若い患者には1型糖尿病の「根治」が実現することを願い、自身の財産の一部を同法人に託した。

 第2回山田和彦賞(賞金 1,000万円)の受賞者は、自己免疫の暴走の仕組みを解明した坂口志文・大阪大学免疫学フロンティア研究センター実験免疫学・特任教授および栄誉教授に決定した。9月に贈呈式が執り行われる。iPS細胞の研究でノーベル賞を受賞した山中伸弥・京都大学iPS細胞研究所所長に続き、2回目の受賞者となる。

 坂口氏は、制御性T細胞の発見など免疫学の分野で目覚ましい功績をあげている。1型糖尿病の発症メカニズムの解明、1型糖尿病の根治療法の確立(膵島を攻撃するリンパ球の制御、残存膵島の保護・再生、膵島移植の効率向上など)に大きな可能性を開いた。

1型糖尿病患者に特化した起業支援
 日本IDDMネットワークは、「1型糖尿病患者に特化した起業支援」も開始した。1型糖尿病患者に特化した起業支援プログラムは日本初。

 このプログラムは、国内の1型糖尿病患者を対象とし、医療系のスタートアップ事業を優先的に支援する。患者が設立する株式会社に対し、資本金の10%以上を出資し、出資金の上限は300万円。

 社会課題の解決を目指すソーシャル・ビジネスを対象とするが、イノベーティブな医療器機、創薬、難病の患者支援サービスなど、医療系のスタートアップに対して優先的に出資する。

 起業支援プログラムを立ち上げた理由は、1型糖尿病という難病にも負けず、夢を持って前向きに生きる患者を支援するためだという。また、1型糖尿病という難病を抱えながらも、夢を実現させるために頑張る患者を応援し、夢を実現させることで、同じ病気を抱える多くの患者、とくに子どもや若者の患者に対して希望を持ってもらうことを目指している。

1型糖尿病患者のための「給付型奨学金」
 日本IDDMネットワークは、1型糖尿病患者のための「給付型奨学金」支給も開始した。

 1型糖尿病根絶のために研究者、医療者を目指したくても経済的事由で大学への進学が困難となっている1型糖尿病患者を応援するために「1型糖尿病根絶奨学基金」を創設し、給付型奨学金(返還不要)を開始した。

 2020年4月に医学・薬学系、バイオ学系、理工学系、工学系の大学に進学する予定で、1型糖尿病根絶に向けた研究に取り組む研究者、医療者を目指す子どもなどを対象に支援する。

 1型糖尿病患者は毎日のインスリン補充が必須であり、合併症がなくても医療費が毎月1万5,000円~3万円程度かかるためその経済的負担は大きい。

 「1型糖尿病根絶を目指す1型糖尿病の研究者・医療者が増え、患者・家族が真に望む研究の進展がますます加速し、学びたいと思っている患者が夢をあきらめなくても済むことを願っている」と、同法人は述べている。

 日本IDDMネットワークは、1型糖尿病の根絶(治療+根治+予防)にための研究を助成するために、広く支援を呼びかけている。寄付は、マンスリーサポーター、ふるさと納税、遺贈・相続寄付、不要品寄付などがある。認定NPO法人なので、寄付金控除や寄付をした相続財産の非課税などの税制優遇措置がある。
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[ Terahata ]

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