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2019年02月19日

高カロリーの清涼飲料は糖尿病の敵 腎臓病のリスクも高める

 高カロリーのコーラ、ソーダ、ジュースなどの清涼飲料の飲み過ぎは、2型糖尿病やメタボリックシンドロームの危険性を高める。
 高カロリーの清涼飲料には中毒性があり、慢性腎臓病(CKD)のリスクも高めるという研究も発表された。
高カロリー飲料が高血糖、内臓脂肪、脂質異常を引き起こす
 高カロリーで甘いコーラ、ソーダ、ジュースなどの清涼飲料を頻繁に飲むことを習慣としていると、2型糖尿病、高血圧、メタボリックシンドロームの危険性が高まることが、南アフリカ共和国のステレンボス大学などの研究で明らかになった。詳細は米国内分泌学会(ENDO)が発行する「Journal of the Endocrine Society」に発表された。

 高カロリーの清涼飲料の飲み過ぎは、高血糖、内臓脂肪型肥満、高中性脂肪、LDL(悪玉)コレステロールの上昇、HDL(善玉)コレステロールの低下など、さまざまな健康障害を引き起こす。

 米国内分泌学会は「ホルモン ヘルス ネットワーク」というキャンペーンを展開しており、不健康な食事や運動不足が、ホルモンの分泌や作用の異常を引き起こすと呼びかけている。ホルモン異常により、血糖や、コレステロールや中性脂肪などの血中脂肪が上昇しやすくなり、高血圧のリスクが高まる。これらは心臓病や脳卒中の危険因子だ。

 世界保健機関(WHO)は、2型糖尿病やメタボリックシンドロームなどの代謝性疾患により、世界で年間1,900万人が死亡していると推定している。

関連情報
高カロリー飲料は吸収が早い
 ジュースやコーラなど清涼飲料や菓子類などの甘味の強い加工食品の多くに「果糖ブドウ糖液糖」や「ブドウ糖果糖液糖」が甘味料として使われている。

 コーンスターチ(トウモロコシから作られたデンプン)などから製造される「果糖ブドウ糖液糖」は、果糖(フルクトース)とブドウ糖(グルコース)を主成分とする異性化糖。工業的に安定して生産でき、価格が安いので、多くの食品に用いられている。

 ごはんやパン、穀類、いも、カボチャなどの野菜に含まれる炭水化物が複合糖質であるのに対し、フルクトースやグルコースは吸収されやすい単糖類だ。フルクトースは糖の中ではもっとも甘味が強く、多量を摂り続けると体重増加や肥満につながりやすい。

 研究チームは、過去10年間に発表された、糖質を加えた清涼飲料が心血管の代謝作用に及ぼす影響を調べた36件の研究を解析。ほとんどの研究は、高カロリーの清涼飲料の摂取が、2型糖尿病や心臓病などの健康に深刻なダメージをもたらす病気に関連していることを示した。
高カロリー飲料には中毒性がある
 高カロリーの清涼飲料を1日に1回以上飲んでいると血圧が上昇する。糖尿病にいたっては、週にたった2回飲むだけでリスクが上昇し、毎日飲むとリスクは2.4倍に跳ね上がることが明らかになった。

 「糖質を加えた清涼飲料の過剰摂取が危険であることを、広く社会に知ってもらう必要があります」と、ステレンボス大学生理学部のファーディール エソプ教授は言う。

 高カロリー飲料には、2型糖尿病や肥満などの慢性疾患のリスクを高めるだけでなく、中毒性もあるという研究を、米国のカリフォルニア大学が発表した。

 高カロリー飲料を飲むことを習慣としている13~18歳の若年者が、たった3日間摂取を制限されただけで、頭痛の増加、仕事への意欲の低下、集中力の欠如、糖質への欲求、全般的な幸福感の低下といった禁断症症があらわれたという。
広告を減らすなどの対策が必要
 研究に参加した25人の若年者は、全員が過体重で、高カロリー飲料を1日に3本以上飲んでいた。研究チームは、参加者にまず飲料をいつもどおり5日間飲んでもらい、その後3日間は水と糖質を加えていない牛乳だけを飲むことを求めた。

 「高カロリー飲料は多くの慢性疾患の原因になっていますが、中毒性もあることが明らかになりました。こうした飲料は、至る所に広告が表示されており、容易に手に入ります。広告を減らすなど、公衆衛生上の政策を見直す必要があります」と、カリフォルニア大学農業環境科学部ヒューマンエコロジー学科のジェニファー ファルベ助教授は言う。

 米国では10歳代の青少年がジュースやコーラなどの高カロリー飲料を消費する量が、1950年代から5倍に増えているという。若年者でそうした飲料の消費が多く、10年間で肥満が増えた最大の原因になっている。
高カロリー飲料は腎臓病リスクも上昇させる
 高カロリー飲料を長期間飲み過ぎると、腎臓にも悪い影響があらわれることも、米国のジョンズ ホプキンス大学の研究で明らかになっている。この研究は、米国腎臓学会誌に発表された。

 慢性腎臓病(CKD)とは、慢性的な腎臓の障害や、腎臓の働きが低下している状態の総称。腎臓の最大の役割は、血液中から老廃物を取り除き尿を作ること。しかし、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの慢性疾患があると、血管が傷つき、ろ過を担っている糸球体の細小血管が狭くなり、十分に老廃物をろ過できなくなる。

 腎臓は食事の影響を受けやすいため、日々の食事でカロリーや糖質、塩分などの摂り過ぎを防ぎ、腎臓の負担を軽減する必要がある。

 研究チームは、腎機能が正常な米国人3,003人を対象に、飲料の摂取とCKDリスクの関連について調査した。研究開始時(2000〜04年)に飲料の摂取状況について調べ、2009〜13年まで参加者の健康状況を追跡して調べた。
課税して減量に成功した都市も
 その結果、参加者の6%がCKDを発症し、高カロリー飲料の摂取量が上位3分の1に含まれる人では、下位3分の1に含まれる人に比べ、CKDになるリスクが61%上昇したことが分かった(オッズ比1.61)。

 調査を実施したジョンズ ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学大学院のケイシー レーブホルツ氏は、「どのような食品を摂ると腎臓病のリスクが上昇するかを調べた研究は少なく、特定の食品や飲料が原因になっていると断定することはできません」としながらも、「糖質の多い高カロリー飲料を長期間飲み過ぎている人は腎臓病の発症が多いことが示されました」と、結論している。

 「米国で高カロリー飲料に課税して消費を減らす政策をしている都市があり、こうした試みは成功を収めていますが、ほんどとの自治体にとって高カロリー飲料の大量消費は悩みの種です。高カロリー飲料の制限への抵抗は、米国で1960年代に進行した禁煙運動への社会的な動向を連想させます」と、レーブホルツ氏は指摘している。

Hormone Health Network(米国内分泌学会)
Sugar-sweetened drinks raise risk of diabetes, metabolic syndrome(米国内分泌学会 2017年11月2日)
Frequent Sugar-Sweetened Beverage Consumption and the Onset of Cardiometabolic Diseases: Cause for Concern?(Journal of the Endocrine Society 2017年11月2日)
Sugar-Sweetened Beverages Are Harmful to Health and May Be Addictive, Researchers Suggest(カリフォルニア大学 2018年11月19日)
Potentially addictive properties of sugar-sweetened beverages among adolescents(Appetite 2019年2月1日)
Sugar-sweetened beverage pattern linked to higher kidney disease risk(米国腎臓学会 2018年12月27日)
Patterns of Beverages Consumed and Risk of Incident Kidney Disease(Clinical Journal of the American Society of Nephrology 2019年1月7日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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