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2019年02月14日
幹細胞からインスリン産生細胞を作成 1型糖尿病根治の扉を開ける
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- 1型糖尿病 インスリンポンプ/CGM 医療の進歩 医薬品/インスリン
カリフォルニア大学が、ヒトの幹細胞からベータ細胞と同じ働きをするインスリン産生細胞を作成するのに、世界ではじめて成功したと発表した。1型糖尿病を根治する治療法の実現にまた一歩近づいた。
1型糖尿病を根治する治療法を開発
1型糖尿病のほとんどは、インスリンを産生するベータ細胞が免疫細胞によって攻撃・破壊されることで発症する。ベータ細胞は膵臓の膵島にある。
良好な血糖コントロールを得られなければ、腎不全、心臓病、脳卒中といった深刻な合併症の危険性が高まる。
膵島移植は膵島を分離して移植する治療法で、現在のところ1型糖尿病患者をインスリン治療から解放する唯一の治療法だ。
しかし、膵島移植には大きな課題がある。そのひとつは膵島を提供するドナーの不足だ。膵島移植が効果的な治療であることは実証されているが、深刻なドナー不足のため、実施数は伸び悩んでいる。
米国の1型糖尿病の患者数は約150万人だが、そのうち移植療法に受けられるのは年間にわずか1,000人に過ぎない。移植療法を望む患者のほとんどは、ドナーからの膵島の提供を待ちながら、長い時間を過ごしている。
また、移植を受けられる場合でも、患者は免疫抑制剤を生涯服用する必要があり、手術自体にもリスクがともなう。
関連情報
ES細胞やiPS細胞を使いベータ細胞を再生
膵島の形成によりベータ細胞への成熟を誘導
ヘブロック教授らは、ベータ細胞を完全に再生するために必要なことは、ベータ細胞が発達するプロセスという見過ごされがちな側面にあることに気付いた。研究チームは膵臓の残りの部分から、ランゲルハンス島を形成する実験を開始した。
その結果、研究チームは分離した膵臓細胞を部分的に分化し、膵島のクラスターを作りだすのに成功した。
これまでの研究は、インスリンを分泌するベータ細胞を再生することに焦点がおかれていたが、研究チームが着目したのはベータ細胞の集合体である膵島をまるごと形成することだ。この方法を開発するのに7年間という時間が必要だった。
「生物学では"形態は機能に従う(Form Follows Function)"ことを重要とみています。私たちは、膵島を形成することがベータ細胞への成熟を誘導する重要な手段になると考えました」と、ヘブロック研究室のゴピカ ナイール氏は言う。
研究チームが実験室で部分的に分化した膵臓幹細胞を人工的に分離し、それを膵島様のクラスターに変容するよう改良したところ、突然に細胞の発達が跳躍的に進展した。
1型糖尿病の根治に向けて扉を開く
研究チームが、実験室で育てた膵島をマウスに移植したところ、マウス自身の膵島のように機能し、血糖に反応してインスリンを分泌することを確かめた。
さらには、これまで知られていなかったアルファ細胞やデルタ細胞を含む膵島の他の細胞も同様に成長した。アルファ細胞はグルカゴンを分泌し、デルタ細胞はソマトスタチンを分泌する。
1型糖尿病患者の多くで、数は減っているもののベータ細胞は残っている。その細胞を保護し増殖させることで、膵島機能を適切に回復できるようになる。さらには、再生した膵島を移植できれば、ドナーからの膵島を提供を待機する時間は必要とならず、免疫抑制薬の必要もない。
「1型糖尿病の患者さんは、毎日の頻回のインスリン注射による血糖コントロールを行っていますが、今回の研究は1型糖尿病の根治に向けて扉を開くものです。ベータ細胞の再生において、これまで困難であった課題を克服し、研究を次のステップに進めることができます」と、ナイール氏は言う。
Functional Insulin-Producing Cells Grown In Lab(カリフォルニア大学 2019年2月1日)Recapitulating endocrine cell clustering in culture promotes maturation of human stem-cell-derived β cell(Nature Cell Biology 2019年2月1日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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