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2018年08月31日
糖尿病合併症は5つの危険因子を治療すれば防げる 30万人を調査
糖尿病のしっかりと治療し危険因子を取り除けば、心筋梗塞な脳卒中などの合併症を予防できることが、約30万人の2型糖尿病を対象としたスウェーデンの大規模な研究で明らかになった。
危険因子をすべてコントロールできていれば、糖尿病でない人に比べ、むしろ健康的だという。
危険因子をすべてコントロールできていれば、糖尿病でない人に比べ、むしろ健康的だという。
適切な治療で心筋梗塞や脳卒中のリスクは抑えられる
2型糖尿病の人は一般的に、糖尿病でない人に比べ、心血管イベントや死亡のリスクが2〜4倍に上昇することが知られている。
しかし最新の研究で、5つの危険因子を治療してコントロールできていれば、心筋梗塞や脳卒中、死亡などのリスクは上昇しないことが明らかになった。それどころか糖尿病でない人よりも健康的になれる可能性もある。
5つの危険因子とは、(1)高血糖(目標:HbA1c7%未満)、
(2)高血圧(目標:収縮期血圧140mmHg未満、拡張期血圧80mmHg未満)、
(3)尿中アルブミン排泄量(腎機能の低下を防ぐ)、
(4)喫煙習慣の有無(禁煙が望ましい)
(5)高LDLコレステロール(目標:97mg/dL未満)。
いずれも検査値が高いと糖尿病合併症を発症する危険性が上昇する。 研究は、「スウェーデン全国糖尿病登録調査」のデータにもとづいており、1998〜2014年に登録された2型糖尿病患者27万1,174人のデータと、対照として年齢・性別・地域を一致させた糖尿病でない地域住民135万5,870人を比較して解析したものだ。詳細は医学誌「New England Journal of Medicine」に発表された。 両群とも平均年齢は60.58歳で、女性が49.4%だった。5つの危険因子についてデータを得られた2型糖尿病患者は9万6,673人(35.6%)だった。 フォローアップ期間の中央値は5.7年で、この間に17万5,345人が死亡した。
糖尿病のない人に比べむしろ健康的
解析した結果、5つの危険因子の目標値をすべて達成している2型糖尿病患者は、対照群と比べ、全死因死亡リスクの上昇は6%に抑えられていた。
糖尿病のない人に比べ、むしろ健康的であることも判明した。5つの危険因子を適切に治療していれば、対照群と比べ、急性心筋梗塞のリスクは16%低下し、脳卒中のリスクは5%低下した。
治療で得られる恩恵は年齢を重ねるほど大きくなり、糖尿病に関連する心血管イベントや死亡のリスクの減少は80歳以上の集団でもっとも大きかった。
5つの危険因子の目標値を達成している80歳以上の患者では、急性心筋梗塞のリスクは対照群に比べ38%低下した。
一方で、5つの危険因子をすべて放置したままでいる55歳未満の患者では、心筋梗塞は7.7倍、脳卒中は6.2倍、心不全は11.4倍、死亡が5倍と、リスクが大幅に上昇していた。
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患者の努力で生活スタイルを改善することが必要
「これは、明らかに良いニュースです。適切な治療を行い、5つの危険因子をすべて目標の範囲内にコントロールできれば、早期死亡、心臓発作および脳卒中のリスクをきわめて低く抑えられることが示されました」と、スウェーデンのイエーテボリ大学のエィデン ロウソニィ氏は言う。
「これらの5つの危険因子は互いに影響しています。これらを最適化することで、合併症を防げることが分かりました。5つの危険因子に対策することで、リスクを最小限に抑えられます」と指摘している。
危険因子を取り除くためには、薬物療法に加えて、健康的な食事や運動などの生活スタイルや、薬物療法の遵守など、患者の努力で変更が可能なものが大きく影響する。
「研究では、糖尿病合併症、とくに心不全のリスクは55歳未満で最大になることが分かりました。もしあなたが2型糖尿病で、これよりも若い年齢層に属するのであれば、危険因子をチェックし適切に治療することがとても重要です」と、ロウソニィ氏は強調している。
たばこが合併症を加速させる ぜひ禁煙を
Risk Factors, Mortality, and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes(New England Journal of Medicine 2018年8月16日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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