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2018年04月27日
連休は糖尿病のコントロールを乱しやすい 乗り切るための8つの対策
連休はふだんの生活スタイルを維持するのが難しく、食べ過ぎと運動不足が重なり、余分なストレスをためこみやすい。血糖コントロールを乱したり、体重を増やす人が多い。
この時期を快適に乗り切るための8つの対策法をご紹介する。
この時期を快適に乗り切るための8つの対策法をご紹介する。
わずか5日間、食べ過ぎただけで、血糖値に異変が
高脂肪の食事がわずか5日間続いただけで、ブドウ糖をエネルギーに変える体のメカニズムに異変が起こる。
わずか5日間、高脂肪の食事を摂っただけで、筋肉がブドウ糖や脂肪酸を代謝してエネルギーに変えるメカニズムに異変が起こることが、ヴァージニア工科大学の研究で判明した。
「通常の食事では、脂肪のエネルギー比率は25〜30%程度です。これを超える量の脂肪をとり続けると、5日間で筋肉でのエネルギー代謝は悪くなることが判明しました」と研究者は述べている。
糖尿病は血液中のブドウ糖の濃度が慢性的に高くなる病気だ。ブドウ糖は細胞や筋肉でエネルギー源として使われるが、インスリンの仕組みがうまく働かないと、ブドウ糖は肝臓などに十分とりこまれず、血液中にあふれてしまう。
脂肪細胞が増え過ぎると、インスリンの働きが悪くなる
肥満になると、血糖を下げるホルモンであるインスリンが細胞の効きが悪くなり、血糖値が高くなる「インスリン抵抗性」が起こりやすくなる。これは、糖尿病予備群でも起こる現象だ。
肥満によって脂肪細胞が増加すると、インスリンの働きを悪くする生理活性物質である「アディポサイトカイン」が放出され、筋肉や脂肪などの組織、肝臓へブドウ糖が取り込まれにくくなる。
「高脂肪の食事をわずか5日間とり続けただけで、体のエネルギーの代謝に悪影響があらわれます。高脂肪の食事をとり続けると、インスリンの働きが悪くなります」と、研究者は述べている。
連休中に体重を増やすと、別の時期に減らすのが難しくなる
食べ過ぎが1週間続いても、ウォーキングで打ち消すことができる
休日が続くと食べ過ぎになりがちだ。食事で摂取するカロリーが、体が消費するカロリーを上回ると、体重が増えやすくなり、体に有害な影響があらわれる。英国のバース大学の研究によると、食べ過ぎが2〜3日続いただけで、体のエネルギー代謝は悪くなるという。
しかし、ウォーキングなどの運動を続けていれば、食べ過ぎによる弊害をある程度打ち消すことができる。この研究は国際生理学会で発表された。
血糖コントロールを乱しやすい時期 8つの対策で乗り切る
連休は家族や親戚、仲間が集まり、リラックスして過ごせる機会が増えるが、ふだんの生活スタイルを維持するのが難しくなる。そのため食事や運動などに偏りが出たり、余分なストレスをためこむおそれがある。
休日が続くと、食べ過ぎと運動不足が重なり、血糖コントロールを乱したり、体重を増やす人が多い。下記の8つの対策でこの時期を快適に乗り切ろう。
1 休日をどう過ごすか、計画を練る
休日は生活が不規則になりがちになり、ふだん通りの食生活を続けるのが難しくなり、運動不足になりやすい。仕事の片付けや予定外の用事が入ったり、子供の相手を過ごす時間が増えるなど、ストレスがたまりやすい時期だ。
また、体重コントロールが難しい時期でもある。「少なくとも、今よりも体重を増やさないようにしよう」という気持ちを強くもつことが大切だ。
事前に「いつ・どこで・何をするか」という予定を、カレンダーに書き留めておくと、健康的な食事や運動のための時間を確保できるようになる。
2 快眠はまずは規則正しい生活から
規則正しい生活によって、体内時計がホルモンの分泌や生理的な活動を調節し、睡眠に備えて準備してくれる。この準備は自分の意志ではコントロールできない。体内時計を整え、体を睡眠に導くために、毎日同じ時刻にベッドに入ることが必要だ。
3 夜遅い時間に食事しない
体内時計を整えるために規則正しい食事が望ましい。食事で摂取した食べ物が消化・吸収されるまでに2〜3時間が必要となる。夜遅い時間に夕食をとると、胃の消化活動が活発になり、大脳皮質や肝臓の働きが活性化し、結果として食べ過ぎや睡眠不足につながる。
4 朝食を抜かない
朝食をしっかりとることで、その日の3食の食欲をコントロールできるようになる。逆に朝食を抜いて空腹でいると、反動で食べ過ぎてしまうおそれがある。なるべく1日に摂取するカロリーの3分の1は朝食でとるようにしたい。
5 食事はシンプルに健康的に
休日にいろいろな予定が入ると、食事が単調になりがちになり、外食や調理済み食品を利用する頻度も増える。
健康的な食事のためには、自宅で食事の支度をするのがベストだが、それが難しい場合は、台所に健康的な食品を置いておこう。カット野菜や低脂肪の乳製品、精白されていない米や全粒粉のパンなどであれば、手軽に準備できる。
6 ストレスをためない
ストレスは不安や睡眠障害、血圧の上昇など、好ましくない影響をもたらす。糖尿病や高血圧症のある人にとっては、血糖や血圧のコントロールに悪影響が出てくるおそれがある。
ふだん通りの食事を続けられなくなったり、アルコールを飲みすぎたり、運動不足が続くことも、ストレスの原因になる。
休暇には、想定外の用事が入り忙しくなり、さらに生活が乱れやすくなる。この時期に外せない予定を作りすぎないようにし、余裕をもって計画をたてよう。
7 運動を続ける
日中に体をアクティブに動かし運動する習慣のある人は、質の良い睡眠を得られるという調査結果がある。30分のウォーキングなどの運動を毎日続けよう。
運動や身体活動は自然なストレス解消法になる。血糖コントロールや血圧コントロールにもつながり、健康上の利便はたくさんある。
30分の適度な運動を週に5日行うのが理想だが、それが難しい場合は、1日に10〜15分のウォーキングなどの運動を1日に2回取り入れるようにしよう。
不規則な生活が続く場合でも、運動のための時間を確保するために、カレンダーに運動する予定を書きとめとくと効果的だ。
8 アルコールに注意
アルコール類にもカロリーがあり、アルコールには食欲を増進する作用があるため、飲み過ぎは肥満につながる。この時期は高カロリーの食事が多いため、相乗的に悪影響があらわれる。
糖尿病の治療を受けている人は、アルコールにより低血糖の危険性が高まるおそれもある。アルコールを飲む場合は、上限を決めて飲み過ぎないようにしよう。
「節度ある適度な飲酒」の上限は、純アルコール換算で「1日平均20g程度」。これは、ビールは中瓶1本(500mL)、清酒は1合(180mL)に相当する。
インスリンやGLP-1受容体作動薬の保管に注意
もしもインスリンやGLP-1受容体作動薬といった注射製剤で治療を行っているのなら、これらは高熱により変性し効果が失われやすいので注意が必要だ。旅行中は推奨されている気温で保管する必要がある。製剤の保管に適した温度は外箱に記載されてある。
これらの製剤を車で移動する場合は、直射日光があたる場所には置かないようにしよう。熱を遮断し高熱になりにくい容器や袋に入れておくと安心できる。飛行機で移動する場合は、航空機の貨物室は高温になることがあるので、手荷物として持ち込んだ方が良い。
Holiday Meal Planning: Planning Ahead(米国糖尿病学会 2014年7月11日)Five days of eating fatty foods can alter how your body's muscle processes food, researchers find(ヴァージニア工科大学 2015年4月13日)
Early skeletal muscle adaptations to short-term high-fat diet in humans before changes in insulin sensitivity(Obesity 2015年3月27日)
A Prospective Study of Holiday Weight Gain(New England Journal of Medicine 2000年3月23日)
Exercise counteracts the effects of short-term overfeeding and reduced physical activity independent of energy imbalance in healthy young men(Journal of Physiology 2013年12月15日)
Exercise counteracts the effects of short-term overfeeding and reduced physical activity independent of energy imbalance in healthy young men(Journal of Physiology 2013年11月26日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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