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2016年12月29日

年末年始は血糖コントロールを乱しやすい 上手に乗り切るための8ヵ条

 年末年始は、ふだんの生活スタイルを維持するのが難しく、体重を増やしやすい時期だ。米国糖尿病学会はこの時期を上手に乗り切るために、簡単に実行できる10項目の対策をアドバイスしている。
食事の偏り、運動不足、ストレス・・・
年末年始には注意が必要
 年末年始は、パーティーや新年会などが続き、ふだんの生活スタイルを維持するのが難しくなる。家族や親戚、仲間が集まり、リラックスして過ごせる機会が増えるが、そのため食事に偏りが出たり、運動不足になり、余分なストレスをためこむおそれがある。

 「年末年始には、食べ過ぎと運動不足が重なり、体重を増やし、血糖コントロールを乱す人が多く出てきます。早めに対策を考えておくと効果的です」と、米国糖尿病学会(ADA)のサマンサ ボイド氏は言う。

 ADAは、ホリデーシーズンを健康的に過ごすために、次の対策をするようアドバイスしている。
1 年末年始をどう過ごすか計画を練る

 年末年始は生活が不規則になりがちになる。ふだん通りの食生活を続けるのが難しくなり、運動不足になりやすい。仕事の片付け、忘年会や新年会などのパーティー、子供の相手をして過ごす時間が増えるなど、ストレスがたまりやすい時期でもある。

 事前に「いつ・どこで・何をするか」という予定を、カレンダーや手帳に書き留めておくと、健康的な食事や運動のための時間を確保できるようになる。

2 運動を続ける

 運動や身体活動は自然なストレス解消法になる。血糖コントロールや血圧コントロールにもつながり、健康上の利便はたくさんある。

 30分の適度な運動を週に5日行うのが理想だが、それが難しい場合は、1日に10~15分のウォーキングなどの運動を1日に2回取り入れるようにする。

 不規則な生活が続く場合でも、運動のための時間を確保するために、カレンダーに運動する予定を書きとめておくと効果的だ。

 運動を続けるために、一緒に運動する仲間をつくり励ましあったり、家族と一緒にウォーキングしたり、冬でも利用できる場所を確保するなどして対策しよう。

3 食事はシンプルに健康的に

 休日にいろいろな予定が入ると、食事が単調になりがちになり、外食や調理済み食品を利用する頻度も増える。

 健康的な食事のためには、自宅で食事の支度をするのがベストだが、それが難しい場合は、台所に健康的な食品を置いておこう。カット野菜や低脂肪の乳製品、玄米や全粒粉のパンなどであれば、手軽に準備できる。

4 食べ過ぎたカロリーを運動で燃焼するのは大変

 会食やパーティーが続くと、自分がどれだけ食べたかを把握するのが難しくなる。パーティーでは多くの料理が出るので、つい食べ過ぎてしまうという人は多い。

 1日の食事で脂肪の多い食品を500kcal分余計にとる生活が続くと、とり過ぎたカロリーは1週間で3,500kcalになり、2週間で体重が0.5kg増える計算になる。

 増え過ぎたカロリーを運動で燃焼するのは大変だ。食べ過ぎを防ぐことが、肥満を避けるためのもっとも有効な手段となる。

 パーティーなどの予定があるときは、食欲をコントロールしやすくするために、野菜サラダや低糖質の全粒粉パンなどを軽く食べてから出かけるようにし、空腹の状態では行かないようにしよう。

5 自分が何を食べたいのか考えよう

 ビュッフェ形式の立食パーティーでは、食品をお皿に取る前に、一瞬だけ間をおいて、自分が本当に何を食べたいのか考えよう。

 揚げ物やバターたっぷりの高カロリーの食品を避けて、肉や魚でも、できるだけシンプルに調理されたものを選ぼう。サラダはヘルシーと思いがちだが、油分たっぷりのドレッシングをかけると高カロリーになるので注意が必要だ。

 料理を皿に盛るときはなるべく小さいお皿を選ぼう。皿が小さいと食事の量を抑えられ、満足感も得やすいという研究結果がある。

 パーティーの目的は、食べることだけではなく、人との会話や交流だ。片手にお皿、もう片方に飲み物となると、人と話すのも大変になる。そう意識しておけば、食べ過ぎや飲み過ぎを防げる。

6 植物繊維を十分に摂る

 食物繊維が豊富に含まれるカット野菜などを、台所のすぐ手が届く場所に置いておくと、野菜の不足を補うことができる。

 食物繊維は、食物が胃から小腸へ移動する時間を遅らせ、栄養素の吸収を遅くする。炭水化物を含む食品がゆっくり吸収されるようになるので、血糖を下げるインスリンの分泌が食べた分に追いつかない体質の人でも、食後の血糖値上昇をある程度抑えることができる。

 食物繊維が豊富に含まれる野菜を食べれば、満腹感を得やすくなり、食べ過ぎを抑えられる。100gの生の野菜に2~3gの食物繊維が含まれている。茹でてかさを減らせば、野菜をたくさん食べられる。また、

7 ストレスをためない

 ストレスは不安や睡眠障害、血圧の上昇など、好ましくない影響をもたらす。糖尿病や高血圧のある人にとっては、血糖や血圧のコントロールに悪影響が出てくるおそれがある。

 ふだん通りの食事を続けられなくなったり、アルコールを飲み過ぎたり、運動不足が続くことも、ストレスの原因になる。

 年末年始の休暇には、想定外の用事が入り忙しくなり、さらに生活が乱れやすくなる。この時期に外せない予定を作り過ぎないようにし、余裕をもって計画をたてよう。

 たとえ計画通りに1日を過ごせないときでも、くよくよと悩まないようにし、家族や仲間とともに過ごす時間を楽しもう。次の日から、食事療法や運動療法、血糖自己測定などの日課を取り戻せば、休日を有意義に過ごせる。

8 体重を毎日はかる

 年末年始は、体重コントロールが難しい時期だ。ハーバード公衆衛生大学院によると、多くの人がこの時期に体重を1.5kg以上増やすという。「少なくとも、今よりも体重を増やさないようにしよう」という気持ちを強くもつことが大切だ。

 体重を決まった時間に毎日はかることを習慣にすれば、体重をコントロールしやすい。体重計を台所や冷蔵庫のそばに置いて体重を毎日はかり、減量に成功した人もいる。
おせち料理はカロリー・塩分が多い
 2型糖尿病などの生活習慣病の食事療法では、「食べてはいけないものはない」とされている。しかし、一般的なおせち料理の多くは味が濃く仕上げてあり、1食でカロリー1,000kcal、塩分10gを超えることもあるので注意が必要だ。

 おせち料理は保存性を高めるために味付けが濃く、糖分・塩分・酢などを多く使ってあるのが特徴。「栗きんとん」「伊達巻き」「黒豆」は特にカロリーが多い。「田作り」「数の子」「かまぼこ」「エビの煮物」も塩分が多いので、1回に全種類を無理に食べないことが大切だ。

 「紅白なます」「煮しめ」などの野菜料理を自分で作るときは、だしや柑橘類の香りを効かせて減塩しよう。

 おせち料理は、3日続けて食べなければいけないわけではない。お祝い膳を気持ち程度にとどめて、ふだんの食事に早く戻した方が無難だ。
餅は高カロリー
 餅は、もち米をふかして突き固めた保存食で、ご飯に比べると水分量が少なく密度が高いのが特徴。

 ご飯1杯(150g)のカロリーは252kcalなのに対して、切り餅1個(50g)のカロリーは117kcal。つまり餅2個とご飯一杯のカロリーは同じくらいになる。餅は2個までにとどめた方が無難だ。

 もちを使ったメニューのお勧めは、野菜をたっぷり使ったお雑煮だ。きなこもちやぜんざいなどは砂糖を多く使っているが、野菜を一緒に摂れるお雑煮は食物繊維も摂れるので、血糖値の上昇を抑えられる。
冬の鍋料理は栄養面でも優れている
 鍋料理は豆腐、魚、肉など、いろいろな食材を使ったものがあり、味付けも多彩にある。これに野菜類を加えれば、蛋白質、ビタミン、ミネラルなどをバランスよくとることができる。

 野菜をたっぷり入れ、きのこ、こんにゃく、昆布などを使った鍋料理を、ふうふういいながら食べるのは、寒い冬には堪えられない。

 鍋料理は短い時間で調理でき、大勢で食べても、1人や2人で食べても楽しめる。水と昆布で野菜などを煮る「常夜鍋」は、いたって簡単に作れる。小ぶりの土鍋に昆布を引き、醤油で薄味にして(あれば日本酒を加える)、ほうれん草や小松菜、白菜と、豚肉の薄切りをゆでながら、ゆったりとした時間を楽しめる。

Holiday Meal Planning(米国糖尿病学会)
Six Holiday Tips(米国糖尿病学会)
Planning Ahead(米国糖尿病学会)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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