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2016年11月28日
運動不足がストレスの原因 食後10分のウォーキングで血糖を下げる
職場のストレスの多い人ほど運動不足になりがちで、運動をしないとストレスがますますたまる傾向があることが研究で分かった。ウォーキングなどの運動が2型糖尿病を予防・改善するために効果的で、食後に運動すると血糖値の上昇を抑えられることも明らかになった。
運動はストレスへの対処法としても有効
運動に取り組みやすい職場環境をつくることが、ストレス対策に直結することがスイスのバーゼル大学の研究で明らかになった。研究はアクティブな生活をおくることの重要さを裏付ける結果になった。
「ウォーキングなどの運動が心と体に良い効果をもたらすことは明らかです。運動はストレスへの対処法としても有効です。ストレスを自覚しながら運動をしないでいると、ストレスがますます増えます。ストレスと運動不足のダブルパンチを受けているようなものです」と、バーゼル大学スポーツ心理学部のマーカス ゲルバー教授は言う。
研究チームは、スウェーデンの企業に勤める平均年齢39歳の男女197人に、エルゴメータを用いた体力テストと運動習慣に関する調査を受けてもらった。参加者を運動をする頻度や時間、強度などで「高レベル」「中レベル」「低レベル」に分類し、同時に健康診査を行った。
その結果、ストレスを自覚している人は心筋梗塞などの心疾患のリスクが高くなるが、ウォーキングなどの運動をしていると、リスクを軽減できることが明らかになった。ストレスが強い人ほど運動の効果は大きいことも分かった。
運動をしている人では、BMI(体格指数)や血圧、コレステロール、中性脂肪など、心筋梗塞などの心疾患に関わる検査値も改善していた。
ストレスが強いときほど運動の効果は増す
「運動レベルが最高の人と最低の人では、心血管リスクを示すアウトカムに劇的な差がありました。ウォーキングなどの運動をすることで検査値が改善し、治療や予防につながる臨床上の成果を得られます」と、ゲルバー教授は言う。
運動の影響を特に受けやすいのは悪玉のLDLコレステロールの値で、運動レベルの高い人では低下したが、低い人ではあまり変わらなかった。
さらに、ウォーキングなどの有酸素運動を続けることで、心肺機能が高められ、心疾患リスクが低下するだけでなく、慢性的なストレスに対する耐性も強くなることが示された。より多く運動をしている人ほどその恩恵を多く受けられるという。
「ストレスが強いときほど、運動の効果は増します。最近の研究では、ウォーキングが心疾患の予防だけでなく、うつ病の改善にも役立つことが明らかになっています」と、ゲルバー教授は説明する。
「ストレスを強く感じている人の多くが運動不足の傾向があります。ストレスの多い職場ほど科学的な根拠のある運動指導を推進すると同時に、スポーツや運動がストレスのコントロールに役立つことを多くの人に知ってもらう必要があります」と、ゲルバー教授は言う。
「勤務先を欠勤する要因のひとつは社会的・心理的ストレスであり、運動をしてアクティブに過ごすことが対策になります。多くの職場はチームによって運営されています。働く人の努力だけでは足りないので、管理者や雇用者は運動に取り組みやすい職場を作るために協力するべきです」と強調している。
ウォーキングなどの運動が糖尿病リスクを低下させる
食後の10分間のウォーキングが食後高血糖を抑える
ニュージーランドのオタゴ大学の研究では、2型糖尿病の人は、食後に10分間のウォーキングすることで、食後の血糖値の上昇を抑えられることが確かめられた。
研究に参加した2型糖尿病患者41人に、活動量計と5分毎に血糖測定する持続血糖測定器を装着してもらった。その結果、1日のうち時間を決めずウォーキングを行った場合に比べ、食後にウォーキングをすると、食後血糖値は平均して12%低下することが明らかになった。
「ウォーキングは食後に行うと、もっとも血糖値を下げる効果を得られることが分かりました。2型糖尿病患者が血糖コントロールを改善するために、食後の血糖値の上昇を抑えることは重要です。特に食事に炭水化物が多く含まれるとき、食後のウォーキングは効果的に血糖値の上昇を抑えます」と、オタゴ大学のアンドリュー レイノルズ氏は言う。
Being fit Protects Against Health Risks Caused by Stress at Work(バーゼル大学 2016年11月1日)New studies reveal the importance of both the amount and timing of physical activity on the risk of developing type 2 diabetes, and in aiding the management of the disease(Springer 2016年10月17日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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