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2016年09月09日
玄米の「オリザノール」が食べ過ぎを抑える 2型糖尿病やメタボを改善
玄米に含まれる「γ-オリザノール」が、2型糖尿病やメタボリックシンドロームを改善することが、沖縄県の琉球大学の研究で発見された。「γ-オリザノール」を摂取しやすくした健康ドリンクも、産官学共同研究で開発された。
玄米が血糖値の上昇を抑制、体重も減少
玄米は、稲の果実である籾から籾殻のみを取り除いたもの。これに対して、ふだんよく食べている精白米は、玄米からぬかと胚芽を取り除いて胚乳のみの状態にしたものだ。
玄米は「完全食」と呼ばれるように、食物繊維やビタミンB群をはじめ、豊富な栄養成分が含まれている。近年では、低GI(グリセミック インデックス)食品としても注目される。
沖縄県では古くから玄米が食べられており、玄米を食べ続けると血糖値の上昇が抑制されることは従来から知られていた。
沖縄県のメタボリックシンドロームの人を対象に行われた研究では、玄米が食後の血糖値、インスリン値の上昇を抑えること、さらに、1日3食の主食を2ヵ月間玄米に替えることで、体重減少や糖・脂質代謝の改善、血管機能が改善することが明らかになった。
研究では、玄米を食べはじめてから2ヵ月後には体重が平均2.7kg減少し、ウエスト周囲径も1.5cm減少することが示された。
米国で行われた疫学研究でも、玄米が白米に比べ糖尿病の発症リスクを減少させることが報告されている。
玄米の有効成分が食欲を抑制 食べ過ぎを抑えられる
琉球大学医学部第二内科の益崎裕章教授と、小塚智沙代氏らの研究チームは、玄米に含まれる成分「γ(ガンマ)-オリザノール」に、インスリンの分泌を促進し、血糖値を下げる効果があることを2012年に、世界ではじめて明らかにした。
研究チームは、γ(ガンマ)-オリザノールが脳の中枢に作用し、食欲を抑えることを解明した。玄米を食べると、自然に食事の好みが変化し、食べ過ぎを抑えられるという。
細胞小器官のひとつである小胞体は、「タンパク質の加工工場」と呼ばれており、さまざまなタンパク質の合成に関わっている。小胞体の中に役割を終えて不要になったタンパク質や、異常なタンパク質が蓄積すると、機能障害を起こすのが「小胞体ストレス」だ。
マウスに高脂肪食を与えると、脳の視床下部で小胞体ストレスが起こり、摂食を抑制するホルモンである「レプチン」が効かなくなる状態(レプチン抵抗性)に陥る。
研究チームは、マウスにγ-オリザノールを投与すると、視床下部の小胞体ストレスが抑制させ、通常食を好むようになることを確認した。γ-オリザノールにより、高脂肪食による血中レプチン値の上昇やレプチン抵抗性が改善する。
玄米の栄養素が糖尿病やメタボを改善、β細胞を保護
玄米ドリンクを琉球大と福島の醸造会社が開発
玄米発酵飲料「玄米オリザーノ」
腸内細菌の改善も 善玉菌が増え、悪玉菌が減る
臨床試験には沖縄県健康づくり財団が協力した。同財団で健診を受けた人で食生活の改善が必要なメタボリック症候群の人に、玄米発酵飲料と、それと比べるための飲料(白米の甘酒)をそれぞれ1ヵ月ずつ飲んでもらい、比較した。
その結果、「玄米オリザーノ」の摂取後は、「間食の回数」と「高脂肪食への嗜好」が有意に減っており、ファストフードを好まなくなるなど変化があった。
腸内細菌の構成の変化についても調べたところ、ドリンクの摂取によりメタボや肥満を抑制する善玉菌の比率が増え、肥満を促進する悪玉菌が減っていることも分かった。
商品は会津産玄米を原料としており、砂糖を使わないノンアルコールタイプ。自然な甘さの中に歯応えのある玄米の粒が適度に混じり、飲み物と食べ物の中間のような食感だ。農林水産省の本年度「フード・アクション・ニッポン・アワード」で優秀賞を受けた。
1日3食のうち、1食の白米ごはんを「玄米オリザーノ」180gに置き換えることが推奨されている。
琉球大学医学部第二内科玄米オリザーノ(会津天宝)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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