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2016年06月28日

積極的な血糖コントロールが糖尿病網膜症を半分に減少 レガシー効果

第76回米国糖尿病学会(ADA2016)
 積極的な血糖コントロールが、2型糖尿病患者の網膜症リスクを3分の1減らし、その効果は試験終了後4年を経ても続き、網膜症リスクが半分以下に減ることが、「ACCORDフォローオン眼研究」(ACCORDION)で示された。
強化療法群では網膜症の発症が半分に減少
 「ACCORD」は、HbA1c6.0%未満を目指した強化療法群と標準療法群を比べ心血管疾患の発症をみた試験。強化療法群で平均3.5年後の全死亡や心血管死が有意に高く、早期に試験が中止された。

 網膜症に関するACCORDのサブ解析である「ACCORD Eye」は4年間続けられ、増殖性糖尿病網膜症の既往のない2,856人の2型糖尿病患者が参加した。強化療法群では標準療法群に比べて網膜症の進展率が33%低下することが示された。

 「ACCORD Eye」では、参加者を「強化療法群」(平均HbA1c 6.4%)と「標準治療群」(同7.7%)に無作為に割り付け、4年後の網膜症の発症を比較した。一次アウトカムは、糖尿病網膜症の進展(ETDRSスケールの3段階以上の進展)、および光凝固療法または硝子体切除術を要する増殖性糖尿病網膜症の発症とした。4年後の糖尿病網膜症の進展率は、強化療法群で7.3%,標準療法群で10.4%となり、強化療法群で網膜症の発症リスクが33%低下した。

 「ACCORD Eye」の終了後に、フォローアップ研究である「ACCORDION」が1,310人の患者が参加して行われた。研究は米国立保健研究機構(NIH)の国立眼研究所(NEI)によって支援された。

 「ACCORD Eye」の終了後、4年間で平均HbA1cは強化療法群では7.8%、標準治療群では7.9%となり、ほぼ同等となった。しかし、糖尿病網膜症の進展率は強化療法群で5.8%、標準療法群で12.7%となり、4年後に強化療法群では網膜症の発症がおよそ半分に減っていた。
糖尿病のレガシー効果は網膜症でも認められる
 「糖尿病網膜症の発症リスクは、たとえ血糖コントロールが同等であっても、厳格な血糖コントロールを早期に始めた群で50%減少とした。糖尿病治療のレガシー効果はここでも確かめられた」と、NEIの臨床のディレクターであるFrederick L. Ferris氏は言う。

 英国で2型糖尿病の人を対象に行われた「UKPDS」でも、試験が終了してから10年後に、合併症の発症率は強化療法群では従来療法群より低く抑えられた。糖尿病の治療はより厳格な血糖コントロールをより早期に始めることが重要であることが示され、「レガシー(遺産)効果」と言われるようになった。

 米国糖尿病学会(ADA)によると、2型糖尿病のある人は血糖コントロールでHbA1c7%未満を保つと糖尿病網膜症を防ぐことができる。HbA1cの管理目標は個々の患者の健康状態によって変えることができる。

 「血糖コントロールを改善し、検査値により管理することで、目の健康を永続的に維持することが可能だ。米国では770万人が糖尿病網膜症による視力障害の危機にさらされている。今回の研究は、網膜症により視力を失うことについて頭を悩ましている2型糖尿病患者に対する強力なメッセージとなる」と、NEI疫学・臨床応用部のEmily Chew氏は言う。

第76回米国糖尿病学会(ADA2016)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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