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2015年12月08日
魚を食べる人は膵臓がんリスクが低い 魚の脂肪酸にがん予防効果

今回の研究では、岩手、秋田、長野、沖縄、茨城、新潟、高知、長崎の9保健所で、がん既往歴のない45〜74歳の男女8万2,024人を対象に、魚介類、n-3多価不飽和脂肪酸の摂取量と膵臓がんの罹患との関連を調べた。
膵臓がんは早期発見が非常に困難ながんのひとつで、進行して発見された場合、悪い経過をたどることが多い。効果的な予防法が求められている。
これまでに膵臓がんの発症とたばこ、肥満、糖尿病、慢性膵炎などの影響を指摘した研究が発表されており、特に糖尿病の人では膵臓がんの発症リスクが1.8倍以上に上昇するという調査結果がある。
食事も膵臓がんの要因とされているが、どんな食事が膵臓がんリスクに影響するかは分かっていなかった。
そこで研究チームは、参加者に1995年と1998年に食事に関するアンケート調査に回答してもらい、その後の膵臓がんの発症について2010年末まで追跡して調査した。
魚介類などには、「エイコサペンタエン酸」(EPA)、「ドコサペンタエン酸」(DPA)、「ドコサヘキサエン酸」(DHA)などのn-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)が多く含まれる。
その結果、魚介類から摂取したn-3 PUFA、EPA、DPA、およびDHAが最大のグループでは、最少のグループに比べ、膵臓がんの発症リスクが20%低下することが判明した。
また、調査時にはすでに膵臓がんに罹患していた可能性がある対象者を除外して解析したところ、魚介類由来のn-3 PUFA、DHAの摂取量が最大のグループでは、最少のグループに比べ、膵臓がんの発症リスクが30%低下していた。
さらにEPA、DPAについても、最小グループに比べ、最大グループで膵臓がん罹患リスクが低下する傾向がみられた。

「日本人は欧米人に比べ魚介類を多く摂取しています。今回の研究は、魚介類由来のn-3 PUFA、DHA摂取には膵臓がん罹患リスクの低下と関連があり、膵臓がん予防に寄与する可能性があることを示したはじめてのコホート研究です。今後、魚介類を多く摂取する他の集団においても同様の結果があるかを調べる必要があります」と、研究者は述べている。
多目的コホート研究「JPHC Study」(国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究グループ)
Fish, n-3 PUFA consumption, and pancreatic cancer risk in Japanese: a large, population-based, prospective cohort study(American journal of clinical nutrition 2015年11月4日)
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