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2015年10月30日
ハムやソーセージを食べるとがんリスクが上昇 肉は「発がん性」あり
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ハム、ソーセージ、コンビーフ、ビーフジャーキーなどの加工肉は、IARCがまとめたがんの発症リスクを示す表の「グループ1」に分類され、「発がん性が認められる」と評価された。
加工肉の食べ過ぎとがん発症の関連がもっとも多くみられるのは、結腸がん、直腸がん、胃がんだ。
ただし、がんの発症リスクが上昇するのは加工肉を食べ過ぎた場合で、研究グループによると1日に摂取する加工肉が50g増えると、結腸がんになる相対リスクは18%上昇するという。
研究グループによると、加工肉の多くは塩分や脂肪を加えてあり、保存剤を加えてあるものもある。また、動物性脂肪を消化する過程でできる成分に動脈硬化や老化、がんなどの原因になる酸化作用があり、肉の焦げた部分にも発がん物質が含まれる。
加工していない赤身肉(牛肉、豚肉、羊肉など)については「グループ2A」に分類され、「発がん性がおそらくある」と評価された。
1日に食べる赤身肉の量が100g増えると、結腸がんを発症する相対リスクは17%上昇するという。結腸がんのほかに、膵臓がんや前立腺がんとも関連があることが示された。

また、国立がん研究センターは「日本人の平均的な肉類の摂取量は欧米に比べ少ないので、ほとんどの人は食べ過ぎに注意していれば、がんの発症リスクは上昇しない」というコメントを発表した。
「2013年国民健康・栄養調査」によると、日本人が1日に食べる赤肉・加工肉の摂取量は63gで、そのうちハム・ソーセージ類の摂取量は平均13gだ。
国立がん研究センターが中心となり行った大規模コホート研究「JPHC研究」では、約8万人の日本人を約10年間追跡して調査した。その結果、肉類を1日100g以上食べている男性は結腸がんの発症リスクが1.44倍に上昇し、赤身肉を1日80g以上食べている女性は結腸がんの発症リスクが1.48倍に上昇することが示された。
ハムやソーセージなどの加工肉については、日本人の平均的な摂取量であれば、結腸がんや直腸がんの発症リスクの上昇につながらないことも分かった。
JPHC研究では、牛や豚の赤見肉をたくさん食べる男性は、ほとんど食べない男性に比べ、糖尿病を発症するリスクが4割高まることも示されている。
「飲酒、肥満は大腸がんリスクを増大させ、運動はリスクを低下させることが確実と評価されています。バランスの良い食事をして、野菜や果物、食物繊維の多い穀類を摂取し、運動を習慣として行い、肉の過剰摂取を避ければ、がんの発症リスクを抑えられます」と、同センターは指摘している。
Links between processed meat and colorectal cancer(世界保健機関 2015年10月29日)
Carcinogenicity of consumption of red and processed meat(Lancet Oncology 2015年10月26日)
赤肉・加工肉のがんリスクについて(国立がん研究センター 2015年10月29日)
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