ニュース
2015年07月10日
フライドポテトやトーストなどの高温調理にご注意 「発がんリスクあり」
- キーワード
- 食事療法

フライドポテトやポテトチップス、トーストのように、炭水化物を含む食品を120度以上の高温で調理したものを食べるとがんの発症リスクが高まると、欧州食品安全機関(EFSA)が発表した。
アクリルアミドは120度以上の高温調理でできる
食品を加熱調理する過程でさまざまな化学物質が生成する。その中には、食品を食べやすくする、好ましい風味を醸し出す、保存性を高めるなど有用な効果をもたらすものがある一方で、健康に悪影響をもたらす副産物ができることがある。
炭水化物を含む食品を120度以上の高温で調理した食品に含まれる有害化学物質のひとつが「アクリルアミド」だ。
アクリルアミドは、フライドポテト、ポテトチップス、カリカリに焼いたトースト、ビスケット、クラッカーなど穀類を原材料とする焼き菓子など、多くの食品に含まれている。市販の加工食品だけでなく、家庭で加熱調理する際にも生成される。
アクリルアミドは食品に含まれるアミノ酸の一種のアスパラギンと果糖などの糖分が、揚げる、焼く、焙るなどの120度以上の高温で調理する際に「メイラード反応」と呼ぶ化学反応を起こしてできる。魚の焼け焦げなどに含まれる物質とは別のものだ。

アクリルアミドがんを引き起こす可能性
スウェーデン食品庁とストックホルム大学が、揚げたり、焼いたりしたジャガイモや穀類加工品に、発がん性のあるアクリルアミドが高濃度に含まれる可能性があることを、2002年に世界ではじめて発表した。
この発表以来、欧米諸国が中心となり食品中に生成するアクリルアミドに関する調査研究や、食品中のアクリルアミドを低減するための取組みが進められている。日本の農林水産省も2003年から本格的に調査研究を開始した。
欧州連合(EU)の食品安全政策を所管する欧州食品安全機関(EFSA)の2015年の発表では、「専門調査委員会があらためてアクリルアミドのリスクを評価したところ、DNAを損傷しがんを引き起こすとの結論に至った」としている。
動物実験では、アクリルアミドが遺伝物質(DNA)に傷をつけて突然変異を誘発し、これが蓄積すると染色体異常を引き起こしてがんになる可能性のあることが示された。人がアクリルアミドを摂取した場合も同じように遺伝子を傷付ける可能性があるという。
アクリルアミドの摂取を減らす方法

揚げ物や脂肪の多い食品の摂取を控えると効果的
国内では農林水産省が2013年11月に「食品中のアクリルアミドを低減するための指針」を公表、食品業界に対策を促した。原料になるジャガイモや穀類について、アクリルアミドを抑える調理法や保存法などを詳細にまとめた。
食品メーカーは、アクリルアミドを減らすよう加工法を改良したり、ジャガイモの保存温度を工夫するなどの対策をしている。
農水省の調査でも、特にアクリルアミドが多かったジャガイモを端境期に長期間貯蔵して作ったポテトチップスでの含有量が減った。2013年度の調査では、2007年度の調査に比べて、アクリルアミド濃度の平均値が7割程度に減った。
アクリルアミドが含まれている食品を食べる量を極端に減らし、栄養バランスが崩れるようなことがあるのも良くない。
まずは、揚げ物や脂肪の多い食品の摂取を控え、野菜や果物を多く含む食品をバランス良く食べることが、アクリルアミドの低減に有効だ。
Acrylamide in food is a public health concern(欧州食品安全機関 2015年6月4日)食品中のアクリルアミドに関する情報(農林水産省)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
食事療法の関連記事
- [高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
- ニンジンやカボチャが血糖値の上昇を抑制 糖尿病の人が食べたい野菜 どう食べると良い?
- 良い睡眠は糖尿病リスクを減らす 睡眠は「魔法の薬」 3つの方法で改善
- 糖質の多い甘い飲料が糖尿病や心臓病のリスクを上昇 高カロリーの飲み物を減らす2つの方法
- 糖尿病が認知症リスクを高める 野菜を食べている人は認知症リスクが低い 中年期の生活改善によりリスク低下
- 糖尿病の人は大腸がんリスクが高い 大腸がんは50歳未満の若い人でも増加 予防に役立つ3つの食品とは?
- 大豆を食べると糖尿病リスクが低下 心臓病や脳卒中も減少 大豆タンパクは腸内細菌にも良い
- 早い時間に食事をとると糖尿病リスクは減少 「何を食べるか」だけでなく「いつ食べるか」も重要
- 糖尿病ネットワーク【1年間に多く読まれたニュース トップ10】
- 年末年始は糖尿病の管理が難しい? 連休を上手に乗り切るための「8つのヒント」