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糖尿病学会が「第3次対糖尿病戦略5ヵ年計画」を新たに策定
2015年05月29日
カテゴリー:2015年 医療の進歩 

第58回日本糖尿病学会年次学術集会
 日本糖尿病学会は第55回学術集会で、糖尿病の罹患率の減少と、合併症の予防と効果的な治療を目指した「第3次対糖尿病戦略5ヵ年計画」を策定したと発表した。
合併症による健康寿命の短縮が糖尿病診療の課題
 日本糖尿病学会の門脇孝理事長(東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授)は、第55回学術集会で「DREAMSの実現に向けて」と題して講演、「第3次対糖尿病戦略5ヵ年計画」を策定したと発表した。これは、2009年に策定した「第2次対糖尿病5ヵ年計画」が一定の成果を挙げたことを受けて新たに策定したもの。

 門脇理事長は同日の会見で、糖尿病診療をめぐる課題として、▽増え続ける糖尿病患者と肥満、▽多様な合併症による健康寿命の短縮、▽増え続ける医療費、▽人材・疫学データの不足――を指摘した。

アクションプラン2010(DREAMS)の成果
 日本糖尿病学会は2010年に、第2次対糖尿病戦略5ヵ年計画にもとづき具体的な活動目標を掲げ、アクションプラン「DREAMS」を発表した。(1)糖尿病の早期診断・早期治療体制の構築(Diagnosis and Care)、(2)研究の推進と人材の育成(Research to Cure)、(3)エビデンスの構築と普及(Evidence for Optimum Care)、(4)国際連携(Alliance for Diabetes)、(5)糖尿病予防(Mentoring Program for Prevention)、(6)糖尿病の抑制(Stop the DM)の6項目からなり、それぞれの頭文字をとってDREAMSと称されている。

 これまでに、糖尿病の早期診断・早期治療体制を実現するために診断基準を改訂し、 糖尿病診断基準に関する調査検討委員会の精力的な活動によりHbA1cの国際標準化に成功した。また、災害時の糖尿病医療体制構築のための「災害時対応マニュアル」を作成、糖尿病と癌に関する合同委員会の立ち上げ、「糖尿病予防のための戦略研究」(J-DOIT3)の進行など、多くの成果を得ている。

糖尿病患者数は950万人 透析導入の44%は糖尿病が原因
 しかし、糖尿病の医療が抱える課題は大きい。国民健康・栄養調査によると、2012年の糖尿病患者数は950万人、予備群は1,100万人に上る。糖尿病予備群の数は5年間で220万人減少したが、患者数は増え続けている。また、糖尿病性腎症が原因で透析を開始した患者の割合は、糖尿病診療の取り組みが功を奏し減少してきたが、透析導入患者数は年間1万5,837人(全疾患の43.8%)に上る。

 また、2012年の国民医療費は39.2兆円に上り、糖尿病などに関連する医療費は、糖尿病(1.2兆円)、虚血性心疾患(0.7兆円)、脳血管疾患(1.8兆円)、高血圧疾患(1.9兆円)など全体の約15%を占め、死亡数割合では約30%を占める。

 さらに、糖尿病の診療や教育に携わる人材の育成を進めているが、まだ不足しており、糖尿病の有病率・合併症の疫学データの収集も必須となっている。

 これらに対策するために、(1)糖尿病先端研究の結実、(2)超高齢社会に向けた基盤整備、(3)包括的データベースによるエビデンス構築、(4)将来の糖尿病対策を担う人材育成、(5)国民への啓発と情報発信――を軸にした第3次対糖尿病5ヵ年計画を策定したと説明した。

「糖尿病のない世界」の実現が目標
 具体的には、超高齢社会における糖尿病の発症防止と重症化予防を促すために、糖尿病の0次予防(教育)、ハイリスク介入(特定健診・特定保健指導)、治療介入・進展抑制重症化予防のための集約的治療、治療介入・関連疾患対策と、各段階での「先制医療」を実現し、かかりつけ医、糖尿病専門医、他領域の専門医などとの地域連携を加速する。

 さらに、生命活動の基本的原理を明らかにする基礎研究と、臨床的・疫学的な患者指向の研究、糖尿病の成因・病態・診断・治療に関する研究を連携し、超高齢社会における糖尿病の発症防止と重症化予防に注力する。

 遺伝情報にもとづく個別化対策法の構築や、糖尿病により失われた臓器機能の再生・再建をiPS細胞などの幹細胞などの研究により目指す。臨床データベースに基づく診断・治療法の最適化にも取り組み、100万人の患者のデータを集積し、より効果的な糖尿病合併症の予防策の構築を目指す。日本糖尿病学会と国立国際医療研究センターが連携し、電子カルテをもとに包括的なデータベースを構築することが決まっているという。

 門脇理事長は、「糖尿病患者さん1人ひとりが人生を謳歌し“Living with Diabetes”(糖尿病とともに生きる)を実現できる医療を目標に、引き続き糖尿病の予防・治療法の開発に取り組む。5ヵ年計画の先にある最終目標は“Breaking up with Diabetes”(糖尿病のない世界を目指す)だ」としている。

第58回日本糖尿病学会年次学術集会
一般社団法人日本糖尿病学会

[ Terahata ]
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