ニュース
2015年01月22日
1日20分のウォーキングが寿命を延ばす 運動不足は危険因子
- キーワード
- 運動療法

「寿命を縮める最大の要因は運動不足です。健診の検査値が悪かった人は、いますぐ運動を始めるべきです」と、研究者は述べている。
研究チームは、運動不足と死亡リスクの関係を調べるために、「欧州がん・栄養前向き調査」(EPIC)に参加した33万4,161人の男女のデータを分析した。参加者の身長・体重・ウエスト周囲径を測定し、運動や身体活動に関するアンケートを行い、平均12年間追跡して調査した。
参加者のうち、1日の大半の時間を座ったまま過ごしており運動不足だった人は、およそ4分の1(22.7%)だった。
解析した結果、1日20分のウォーキングに相当する中強度の運動を続けている人では、運動不足の人に比べ、死亡リスクが16〜30%低下していた。
一方、肥満や過体重も死亡リスクの上昇に影響するとみられていたが、運動不足の方がより深刻な危険因子となることが判明した。
運動不足を解消した場合に死亡リスクは7.4%低下するが、肥満を解消した場合は3.7%しか下がらないと、研究チームは推定している。
「調査結果が示していることはシンプルです。運動不足は死亡リスクを高める最大の要因です。20分のウォーキングで燃焼できるカロリーは90〜110kcalです。たったそれだけの運動で死亡リスクを大きく減らすことができ、健康効果を得られます」と、研究を主導したケンブリッジ大学の医学研究協議会(MRC)のウルフ エケルンド教授は言う。
「毎日20分のウォーキングでも、全く何も行わない場合に比べ大きな差が出ます。運動習慣のない人は、少しの時間でも良いので今すぐ運動をはじめるべきです」と強調している。
「電車やバスを使わずなるべく徒歩で通勤する、エレベータを使わず階段を使うといった日常での工夫で、簡単に10分のウォーキングは達成できます。10分のウォーキングから始めて、それを20分に増やし、慣れてきたら週に150分にまで増やすことをお勧めします」と、研究者は述べている。
Lack of exercise responsible for twice as many deaths as obesity(ケンブリッジ大学 2015年1月14日)
運動療法の関連記事
- 運動と健康的な食事の組み合わせで効果は最大に 内臓脂肪が減り転倒も防止 女性にも運動が必要
- ウォーキングなどの運動で糖尿病リスクを減少 余暇時間の運動が寿命を4.5年延ばす 仕事の後は体を動かす習慣を
- ウォーキングなどの運動で糖尿病など19種類の疾患のリスクを減少 わずか5分の運動で認知症も予防
- ウォーキングなどの運動は糖尿病の人に良い 運動で食欲も抑えられる 認知症の予防にもつながる
- 糖尿病の人に「不規則な生活」はなぜNG? 体内時計が乱れるとインスリン作用が低下 どうすれば改善できる?
- ラジオ体操などにより要介護や認知症のリスクが低下 体操は取り組みやすく続けやすい
- [高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
- 良い睡眠は糖尿病リスクを減らす 睡眠は「魔法の薬」 3つの方法で改善
- 座っている時間が糖尿病や肥満のリスクを上昇 わずか10分間の運動で血管が健康に 睡眠も改善
- 少し食べすぎただけで糖尿病? ストレスが糖尿病や肥満の原因に ウォーキングなどの運動でストレスを解消