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2014年09月26日

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医療の進歩

規則正しい生活が糖尿病を改善する オレキシンの働きで解明

 「体内リズムに合わせて、味わいながら食事を規則正しくとることが血糖コントロールの改善につながる」ことは経験的には知られている。そのメカニズムが脳内のホルモンの働きから解明された。新たな治療法の開発につながる成果と期待されている。
オレキシンが活性化され、筋肉での糖の利用が促進
 体内リズムに合わせて規則正しい生活を送ることが、糖尿病の改善につながることを、富山大大学院医学薬学部の恒枝宏史准教授と笹岡利安教授の研究グループがマウスの実験で突き止め、米国糖尿病学会が発行する医学誌「ダイアベティス」電子版に発表した。

 恒枝氏らは、脳の中のホルモンである「オレキシン」に注目。目覚めや空腹時に分泌され、就寝にかけて濃度が下がるオレキシンが、体内リズムに合わせて正常に働くことで血糖値の上がり過ぎを防ぐことを解明した。これまで体内リズムの乱れが糖尿病を引き起こす要因の一つとして知られていたが、詳しい原因は不明だった。

 オレキシンは、脳の視床下部で作用し食欲や睡眠、体内リズムなどに関わるホルモン。このオレキシンを放出するオレキシン神経が、「食事をよく味わいながら、おいしく、規則正しくとる」ことにより活性化。これによって視床下部内へのオレキシンの放出が促進され、その働きで同量のカロリーの食物摂取であっても、筋肉での糖の利用が活発になり、血糖の上昇を抑えることが判明した。

 実験では、糖尿病のマウスの脳にオレキシンを毎日同じ時間に投与し、血糖値の変動リズムを約2週間観察。目覚め時に与えたマウスは血糖値が大幅に下がり、それまで乱れていた血糖値の変動リズムも改善した。一方、睡眠中のマウスに投与しても血糖値はほぼ下がらず、高血糖状態が続いて一定のリズムも生まれなかった。

 オレキシン神経は、睡眠と覚醒のリズムを作り出す脳の働きに関わっており、睡眠中は活動が抑えられる。今回の研究により、夜中に食事をしてすぐ寝てしまうと、オレキシンによって促される筋肉での糖の利用が抑制され血糖がより上昇してしまうと考えれる。そして、上昇した血糖は筋肉ではなく脂肪組織などに蓄えられ、肥満の原因になる可能性がある。

 「決まった時間に食事をし、よく噛んで食べる」という食習慣は、オレキシン神経とそれに伴う筋肉での糖代謝の活性化を促す。「規則正しく食事をすること」で、オレキシン神経が活性化され、結果として筋肉での糖の利用が促されることが生理学的に説明できるという。

 今後、インスリンに変わる糖尿病の新薬開発や、体内リズムに合わせて薬を投与する「時間治療」にも応用できるという。「オレキシンにより筋肉での糖の利用が活性化され、食事によって得たカロリーを効率よく筋肉のエネルギーに変えられる可能性がある」と、笹恒枝氏らは述べている。

[ Terahata ]

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