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2014年07月29日
ヨーグルトを食べると血圧が下がる 腸内環境が改善
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ヒトの腸内には、およそ100兆個、500~1,000種類もの腸内菌がすみついている。この菌のかたまりを腸内細菌叢といい、花畑のように見えることから「腸内フローラ」と呼ばれている。
腸内フローラは健康や病気に密接に関わっており、腸疾患、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、動脈硬化症などのさまざまな疾病の発症に関係すると考えられている。
また、腸内菌のうち、体内でよい働きをするものや、それを含む食品は「プロバイオティクス」と呼ばれている。
プロバイオティクスは、腸内フローラのバランスを改善し、腸内環境を整える効果や、免疫力を向上させる効果、コレステロール値を低下させる効果などさまざまな生理作用をもつ。ビフィズス菌などの乳酸菌が代表的だ。
腸内細菌は副腎皮質ホルモンやステロイドホルモンなどの産生にも関与している。善玉菌は、これらのホルモンのバランスをコントロールする助けになっている可能性もある。
また、「アンジオテンシン」というホルモンには、受容体に結合することで、血管を収縮させ、血圧を上げる作用がある。善玉菌は、アンジオテンシンが受容体に結合するのを妨げるタンパク質をつくり、血管を拡張させ、結果として血圧が下がるとみられている。
サン氏らは、血圧とプロバイオティクスとの関係を調べた信頼性の高い研究9件の研究を分析した。対象となったのは、血圧が至適または正常高値(130/85mm Hg)以上の成人男女543人。
その結果、プロバイオティクスを摂取している人では、摂取していない人に比べて平均で、収縮期(最高)血圧が3.56mmHg、拡張期(最低)血圧が2.38mmHg下がっていた。
収縮期血圧と拡張期血圧のいずれについても、プロバイオティクスの摂取期間が8週間以上でなければ降圧効果はみられなかった。
1種類の細菌しか含まないプロバイオティクス製品よりも、複数の種類の細菌を含むものの方が降圧効果が優れていた。

1つめは、ヨーグルト・乳酸菌飲料・納豆・漬物など、ビフィズス菌や乳酸菌を含む食品を直接摂取する方法。善玉菌を継続して腸内にとりこむと効果的なので、毎日続けて食べることが勧められる。
2つめは、食物繊維やオリゴ糖を摂取する方法。これらは野菜類・果物類・豆類などに多く含まれている。消化・吸収されることなく大腸まで達し、善玉菌の栄養源となって増殖を促す。
オリゴ糖は、大豆・たまねぎ・ごぼう・ねぎ・にんにく・バナナなどの食品にも含まれる。
一方、牛肉や豚肉のみを過剰に食べると、腸内細菌のバランスは崩れやすくなる。カロリーを制限したり、食物繊維の多い野菜を多く食べると、腸内細菌のバランスは改善する。
また、プロバイオティクスの一部は特定保健用食品などとして市販されているので、効率的に摂取するにはそれらを利用するのもひとつの方法だ。
Eating probiotics regularly may improve your blood pressure(米国心臓病学会 2014年7月21日)
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