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2013年12月19日
オーガニック牛乳の脂質バランスは理想的
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「オーガニック牛乳」は、牛を育てる飼料に農薬や化学肥料、化学合成物質(殺虫剤、除草剤など)などを使わず、有機畜産で生産している牛乳をさす。
オーガニック牛乳の市場は、海外では急成長しており、牛乳の消費量の多いデンマークやスウェーデン、米国などで消費量は高い伸び率を示している。
ワシントン州立大学のチャールズ ベンブルック教授(農業社会学)らは、米国で販売されている400銘柄のオーガニック牛乳の栄養成分を調べた。
「オーガニック牛乳と通常の牛乳では、栄養の品質に大きな差が出ていることが判明しました」と、ベンブルック教授は話す。
牛乳などに含まれる脂肪酸には、炭素の二重結合の数と位置などによっていくつかの種類がある。大きく分けると、炭素の二重結合がない「飽和脂肪酸」と、炭素の二重結合がある「不飽和脂肪酸」の2種類がある。このうち二重結合を2つ以上含む「多価不飽和脂肪酸」は、動脈硬化や血栓を防ぎ、血圧を下げるほか、悪玉のLDLコレステロールを減らすなど、さまざまな作用をもっている。
多価不飽和脂肪酸の中でも特に注目されているは「オメガ3系脂肪酸」(n-3系脂肪酸)だ。動脈硬化を防ぎ、コレステロール値や中性脂肪値を下げ、心臓病、がん、脳卒中、骨粗鬆症など、さまざまな疾患を改善する効果がある。
研究チームによると、オーガニック牛乳には、このオメガ3系脂肪酸が通常の牛乳に比べ約2倍含まれているという。
一方で、食物油などに含まれる「オメガ6系脂肪酸」(n-6系脂肪酸)も体に必要な脂肪酸だが、過剰に摂取すると体内で炎症を引き起こす要因となる物質に変化するため、とりすぎない方が良いと考えられている。
オーガニック牛乳には、オメガ3系とオメガ6系が理想的な配分で含まれている。牛乳のオメガ6系とオメガ3系の配分は、通常の牛乳では5.8対1だが、オーガニック牛乳では2.3対1。これほどの理想的な配分は、オーガニック牛乳以外ではみられないという。
欧米型の食事では、オメガ6系とオメガ3系の比率が最大で15対1になっており、脂肪摂取の観点からは勧められないという。オメガ6系とオメガ3系の理想的な配分は2.3対1で、オーガニック牛乳の配分と一致する。
オメガ3系は、マグロやサバ、ニシンなどの魚にも豊富に含まれており、「魚を食べると健康に良い」という通説の根拠になっている。
調査では、オーガニック牛乳には、魚よりも多くのオメガ3系脂肪酸が含まれることも確認された。さらに、通常の牛乳よりも、ビタミンEやベータカロチン、ビタミンAなどの必須栄養素も多く含まれることも分かった。
「通常の牛乳をオーガニック牛乳に置き換えるだけで、脂質の摂取バランスの40%を改善できる可能性があります。欧米人は体に良くない脂質をとり過ぎており、今回の調査結果は大きな福音をもたらす可能性があります」と、ベンブルック教授は強調している。
心臓病リスクの高い子供や、妊婦など、とくに健康的な食事を必要とする人にも、オーガニック牛乳は勧められるという。
Researchers see added nutritional benefits in organic milk(ワシントン州立大学 2013年12月9日)
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