ニュース
2013年10月09日
糖尿病は乳がんと結腸がんの発症率を高める
- キーワード
- 糖尿病合併症
糖尿病を発症するとがんの発症率が上昇する傾向があることが、さまざまな研究で確かめられている。糖尿病患者は、乳がんと結腸がんの発症率と死亡率が高いことが、最新の調査で明らかになった。
過去の研究で、糖尿病患者では全がんによる死亡率が高いことは示されていたが、他の死因を除外した上で乳がんと結腸がんによる死亡率が高いことが分かったのは、今回の研究がはじめてだ。オランダのエラスムス大学医療センターのカースティン ドゥ ブラン氏らが、アムステルダムで開催されている欧州がん学会(ECC2013)で発表した。 研究チームは、2007〜2012年に発表された20件の研究を調査し、乳がんや結腸がんを発症した190万人以上の患者を対象に解析した。その結果、糖尿病を発症した患者はそうでない患者に比べ、乳がんの発症率が23%高く、死亡率は38%高いことが判明した。結腸がんに関しては、発症率は26%高く、死亡率は30%高かった。 今回の研究は、糖尿病患者では乳がんと結腸がんの発症率と死亡率が高いことを示した過去の知見を裏付けるものだが、糖尿病とがんの関連はこれまで知られていた以上に強いことが明らかになった。ドゥ ブラン氏ららは今後の研究で、メトホルミンなどの糖尿病治療薬やインスリン、糖尿病の罹病期間とがん発症の関連について調査する予定だ。 今回の発表を受けて欧州がん学会理事長のコルネリス ファン ドゥ ヴェルデ教授は、「加齢や糖尿病、肥満、不健康な生活スタイルは、がん発症と相互に関連する危険因子となる。乳がん予防キャンペーンと糖尿病対策キャンペーンは、がん予防に関する情報を提供するためにも、連携して行われるべきだろう」と述べている。 Diabetes Increased Risk for Developing, Dying from Breast or Colon Cancer 関連情報
糖尿病患者のがんリスクは1.2倍に上昇 2学会の合同委員会が発表
がんを予防するための7ヵ条 世界対がんデー
牛や豚の赤肉を食べすぎると糖尿病リスクが4割上昇
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
糖尿病合併症の関連記事
- 「糖尿病とともに生活する人々の声をきく」開催報告を公開 医療従事者と患者が活発に対話 日本糖尿病学会
- 糖尿病の人は胃がんのリスクが高い どうすれば対策できる? 胃がんを予防するための6つの方法
- 掃除や買い物などの家事も立派な運動? わずか20分の活動が糖尿病を改善 「座っている時間」を中断して体を動かす習慣を
- ブルーベリーが腸内環境を健康にして糖尿病や肥満を改善 メントールから抗肥満・抗炎症の化合物
- 糖尿病の人は腎臓病のリスクが高い 腎臓を守るために何が必要? 「糖尿病・腎臓病アトラス」を公開
- 楽しく歩きつづけるための「足のトリセツ検定」をスタート 糖尿病の人にとっても「足の健康」は大切
- 緑茶を飲んでいる人は糖尿病リスクが低下 心臓病や脳卒中が減少 緑茶は歯周病の予防にも良い?
- 「糖尿病網膜症」は見逃しやすい 失明の原因に 手遅れになる前に発見し治療 国際糖尿病連合などが声明を発表
- 植物性食品が中心の食事スタイルが糖尿病リスクを低下 心臓血管病・がん・うつ病のリスクも減少
- なぜ男性は女性よりも糖尿病リスクが高い? メカニズムを解明 男性はインスリンの働きを高める対策が必要