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2013年09月05日
「HbA1c7%未満」半数は達成できていない 循環器病研究センター調査
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国立循環器病研究センター糖尿病・代謝内科の岸本一郎医長らの研究グループは、2011年12月から翌年2月までの3ヵ月間に、約350の調剤薬局に糖尿病薬の処方箋を持参した1,026人の患者を対象に、糖尿病実態アンケートを実施した。
調査は豊能圏域糖尿病地域連携クリティカルパス検討会議と豊能圏域薬剤師会の協力を得て行われ、結果は日本糖尿病学会が発行する医学誌「糖尿病」に発表された。
「地域連携クリティカルパス」は、地域のかかりつけ医と専門病院などが患者の情報を共有し、連携して治療をサポートするシステムのこと。医療従事者間の連携によるチーム医療を実践することで、安全で質の高い医療を提供でき、医療業務の効率化がはかられると考えられている。
国立循環器病研究センターなどは、大阪府の豊能圏域(吹田市、豊中市、箕面市、池田市)で、豊能圏域糖尿病地域連携クリティカルパスを運営している。今回の調査は、この地域の医療機関で治療を受けている14〜96歳(平均67歳)の糖尿病患者を対象に行われた。

調査の結果、HbA1cの平均値は7.2%で、患者の50%は血糖コントロールの目標となる7.0%未満を達成していることが明らかになった。
しかし、「7.0以上8.0%未満」という患者が33%、「8.0%以上」が16%で、目標に届いていない患者が半数に上ることも分かった。また、約1割の患者は自分のHbA1c値を「知らない」と回答した。
HbA1c値が8.4%以上の患者は、60〜64歳の年齢層でもっとも多く、また50歳代前半までは少なかった。
「55歳を過ぎると、糖尿病コントロールが悪化する人が増えることが示された。「この年齢の人は仕事や家族の介護などで忙しく、食事の管理や運動などが十分できていない可能性があります。自分のHbA1c値を知り、しっかりとコントロールすることが重要です」と研究グループは述べている。

また、日本糖尿病協会が発行する「糖尿病連携手帳」は、検査値や治療内容、合併症の検査所見などを記録でき、患者の自己管理に利用されているほか、病診連携の役割を担うツールとして活用されている。
調査では、糖尿病連携手帳を活用している患者は16%にとどまり、普及率が低いことが示された。「糖尿病連携手帳のさらなる普及を推進していく必要がある」と、研究チームは述べている。
糖尿病連携手帳により、患者、かかりつけ医、糖尿病専門医、眼科医、歯科医などの連携が深まり、看護師、管理栄養士など医療スタッフを交えたチーム医療を円滑に推進できると考えられている。
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