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2013年06月14日

リノール酸を含む植物油は体に良い 脂肪の摂取バランスが大切

キーワード
食事療法
 リノール酸を含む植物油は、心臓の健康に良いという研究が発表された。「過剰摂取は体に良くない」とされているリノール酸だが、「適量をとっていれば、心筋梗塞などの予防にむしろ有用です」と研究者は指摘している。
動物油のとりすぎは心臓病をまねく
 米ミズーリ大学のケビン フリッチェ氏(栄義学)の研究チームは、米国で行われている15件の臨床研究をメタ解析し、約500人を対象にリノール酸が健康にもたらす影響について調査した。

 米国ではヒマワリ油、コーン油、大豆油などの植物油の消費が多く、ジャガイモや魚の炒め物などに、幅広く利用されている。米国の一般的な家庭では、平均して1人1日大さじ3杯以上の植物油が消費されている。

 「リノール酸を多く摂取している人では、心筋梗塞などの心疾患の発症が少ない傾向がみられました。一方で、心疾患の発症の多かったのは、動物性の油をとりすぎている人です」と、フリッチェ氏は話す。

 米国では、牛脂や豚脂(ラード)などの動物油を好んで調理に使われている。動物油の摂取の多い人では、心筋梗塞などの発症率が目立って増えていた。

 「動物油を植物油に置き換えるだけで、心疾患を予防できる可能性があります。リノール酸を含むオメガ6系脂肪酸のもたらす使益は大きいといえます」(フリッチェ氏)。

 一方で、リノール酸などの植物油をとりすぎると、乳がん、前立腺がん、大陽がんなどの発症率や死亡率が上昇するという研究が過去に発表されたことがある。

 「今回に研究では、リノール酸の摂取とがん発症と関連があるという結果は示されませんでした」と、フリッチェ氏は述べている。

オメガ6系脂肪酸はLDLコレステロールを低下させる
 脂肪の中には、体内で作ることができず食物からとらなければならない必須脂肪酸があり、その代表が「オメガ3系脂肪酸」と「オメガ6系指肪酸」だ。

 不飽和脂肪酸には、二重結合が1ヵ所の「一価不飽和脂肪酸」と、2ヵ所以上ある「多価不飽和脂肪酸」がある。不飽和脂肪酸の単位記号として用いられるのが「オメガ」で、最初の二重結合が末端の炭素(オメガ炭素)から数えて6番目にあるものが「オメガ6系脂肪酸」と呼ばれる。

 植物油に含まれるオメガ6系脂肪酸には、菜種油、大豆油などに含まれるリノレン酸や、コーン油、紅花油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、ゴマ油、マーガリンなど植物油全般に含まれるリノール酸がある。

 家庭で炒め物や揚げ物などの調理に使われる植物油はリノール酸が多い。日本ではリノール酸の消費が多く、日本人が摂取しているオメガ6系脂肪酸の9割以上はリノール酸だ。

 リノール酸は体内で合成できず、食事から摂取する必要があるため、必須脂肪酸と呼ばれる。適量のリノール酸を摂取すると「総コレステロール値やLDLコレステロール値が低下し、心臓病の予防につながる」とされている。

脂肪の摂取バランスを考え、食生活を見直すことが重要
 健康増進の効果があると注目されているもうひとつの脂肪が、オリーブ油や魚油、ナッツ類などに含まれる「オメガ3系脂肪酸」だ。

 「オメガ3系脂肪酸」には、リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などの種類がある。血液の流れを妨げるLDLコレステロールや中性脂肪を減らす働きをし、動脈硬化や心筋梗塞、脳血栓などを防ぐとされている。

 「オメガ3系脂肪酸が有用なことはよく知られていますが、バージンオイルなど、限られた食品にしか含まれていないという欠点があります。これらの食品の多くは高価で、利用できる人が限られています」と、フリッチェ氏は指摘する。

 オメガ3系脂肪酸に比べると、リノール酸の含まれる植物油は安く利用でき、どこでも入手できるというメリットがある。「食事から摂取する飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸のバランスが、LDLコレステロール値に影響します。動物油を植物油に置き換えるだけでも、値康増進の効果を期待できます」と、フリッチェ氏は強調する。

 「脂肪酸の機能性に関心をもち、植物油とともに野菜の摂取量を増やすなど、食生活全体を見直すことが重要です」とまとめている。

Vegetable Oil IS Good for You, MU Researcher Says(ミズーリ大学 2013年6月5日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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