ニュース
2013年05月20日
糖尿病「燃え尽き」を克服するために 少しの工夫を重ねると効果的
- キーワード
- おすすめニュース
糖尿病による「燃え尽き症候群」は、ちょっとした工夫を重ねることで克服でき、よりより結果を生み出すことができると、米国で糖尿病療養指導に長年携わっているリヴァ グリンバーグ氏はアドバイスしている。
糖尿病とともに生きていると
多くの困難や葛藤に直面する
「燃え尽き症候群(バーンアウト)」は極度のストレスがかかる状態にある人や、一定の期間に過度の緊張とストレスの下に置かれた場合に発生することが多い。
糖尿病の治療や管理の方法は、この20年間で大きく進歩した。さまざまな大規模研究も行われ、インスリン製剤や経口血糖降下薬の種類も増え、幅広い科学的な知識に裏付けされたきめ細かい治療を、個々の患者に対応して選択できる時代になってきた。
それでも、糖尿病治療の基本は、適切なカロリー制限や運動など生活習慣の改善と継続であることは変わらず、患者本人の努力にまかされる部分が大きい。そのため、疲れてしまい自己管理が続かなくなり、療養の途中で挫折する人は少なくない。
「糖尿病をもちながら生きていくことは困難で葛藤に満ち、決して単純なことではありません。多くの人が糖尿病に押しつぶされ。挫折し、燃えつきてしまっています。糖尿病患者の多くは、療養生活で大変な努力をしています。回りにあふれるおいしいものを我慢し、忙しい生活のなかで運動する時間を確保しています。これには相当なエネルギーを必要とします」と、グリンバーグ氏は話す。
"燃え尽き"を経験している人は、毎日の糖尿病治療に疲れてしまい、打ち負かされたように感じている。治療薬と血糖測定器をゴミ箱に放り込み、"自分が糖尿病でなければ、どんなによかっただろうと"という考えに捕らわれる人は少なくないという。
原因のひとつは、血糖コントロールが良好でないなど、思わしい結果を得られないことから起こる欲求不満だ。多くの患者は糖尿病治療に熱心に取り組んでいる。しかし、期待していた結果が得られないときに、自分が適正な行動と判断ができなくなっているという感覚にとらわれる。
医師の指示を忠実に守ろうとするあまり燃え尽きるケースや、家族が厳しすぎいわば「糖尿病警察」となって、かえって患者の心理的負担が増すケースも多いことが分かってきた。
グリンバーグ氏は「燃え尽き症候群」を克服するために、次の工夫を試すようアドバイスしている。
(1)生活上で前向きになる
人生な否定的な面だけではなく、肯定的な面も認識するようにしましょう。謙虚さや忍耐、深い思いやり、他人を支援することで得られる満足感、より健康な生活スタイルについて思いをめぐらせてみましょう。糖尿病に対し肯定的に認識することで、気持ちが前向きになり、肯定的な行動を継続しやすくなります。
(2)人生の良い面をさがす
自分や他人について、肯定的に評価できる点をさがし、感謝できることを書き留めてみましょう。親切な家族、満足がいく仕事、家族と友人たち、読書の楽しみ、おいしい食事、旅行や新しいことを学ぶ機会など、人生には幸運な面も多いことに思いをめぐらせてみましょう。水の入ったコップをみて、「まだ水が半分もある」と感じられる人のほうが、得られるものは多いのです。
(3)完璧を目指さない
糖尿病治療において、全てを完璧に管理するのは難しいものです。医師や医療スタッフの指示に従って、血糖コントロール、血圧コントロール、コレステロール値の管理などを全て完璧にこなすのは至難の業です。多くの困難や葛藤に直面する
全ての患者が医師の言うとおり食事・運動療法を守り、薬物治療を行っているわけではありませんし、血糖コントロール目標が達成されているわけでもありません。 完璧を目指すのではなく、より良いものをめざしましょう。少しでも改善できれば、自分を褒めてあげましょう (4)ビジョンをもつ 自分が望んでいるものに焦点を合わせて考えましょう。理想的なのは、糖尿病合併症を予防しながら、より健康的に楽しく暮らしていくことです。そのために何が必要となるか、整理して考えてみましょう。 (5)サポートを求める もしも糖尿病の治療に疲れて、燃えつきた状態にあったとしても、それはあなただけの問題ではないし、また決してあなたが悪いわけではありません。いまの状態に絶望する必要はありません。
他人のサポートを求めることは、決して恥かしいことではありません。他人の支援を求めるのは自分の力が低下しているからだと考える人が多くいますが、むしろ強さの徴候です。自分が何が必要であることを具体的に見極めて、それを誰かに求めるときには勇気がいります。 (6)他人にアドバイスできるようになる あなたがこれまでに学んできたことを、困っている他人にアドバイスしましょう。血糖コントロールが改善したときに、嬉しいと感じると同時に、何が良かったのかを整理して考え、他人に伝えられるようになりましょう。あなたが学んだことを共有し、誰かほかの人に手を貸すことは、あなた自身の成長につながります。 (7)医療スタッフに相談する もしもあなたが「燃え尽き」を体験し、自分の力では処理できないと感じているのなら、主治医や医療スタッフに相談してみましょう。
医療スタッフの多くは、患者さんのこころの状態を理解し、それにあわせたケアを行うことでより良い血糖管理と、よりよい患者さんの心理的健康の向上が可能になることを理解しています。また、糖尿病の医療は日々進歩しています。あなたにとって何が問題になっているかを考え、医療スタッフに伝えましょう。 Diabetes Stories website
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
おすすめニュースの関連記事
- 糖尿病患者さんと医療スタッフのための情報サイト「糖尿病ネットワーク」がトップページをリニューアル!
- インスリン注射の「飲み薬化」を目指すプロジェクトが進行中!ファルストマと慶応大学の共同研究による挑戦[PR]
- 小倉智昭さんが当事者として腎臓病のことを医師に質問!
- 世界の8億人以上が糖尿病 糖尿病人口は30年で4倍以上に増加 半分が十分な治療を受けていない
- 【世界糖尿病デー】糖尿病の人の8割近くが不安やうつを経験 解決策は? 国際糖尿病連合
- 【インフルエンザ流行に備えて】糖尿病の人は予防のために「ワクチン接種」を受けることを推奨
- 【11月14日は世界糖尿病デー】世界の5億人超が糖尿病 「糖尿病とウェルビーイング」をテーマに参加を呼びかけ
- 特集コーナー『腎臓の健康道~つながって知る、人生100年のKidney Journey~』を公開
- 【座談会】先生たちのSAP体験談2 インスリンポンプの新機能を使って
- 糖尿病のインスリン療法(BOT)で注射量の調整を自分で行うことに不安を感じている人は半数 ネットワークアンケートより