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2013年05月20日

高血圧は治せる 血圧を上げる要因を減らせば薬をやめられることも

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 降圧薬を飲んで血圧をコントロールしている人でも、適度な運動を続ければ、薬をやめられる可能性があることが、米国心臓学会(AHA)の調査で分かった。しかし、代替療法に関しては「あまり効果を期待できない」という。
高血圧はウォーキングなどの有酸素運動で改善できる
 世界保健機関(WHO)によると、世界で高血圧の有病者数は約10億人で、毎年900万人以上が死亡している。

 患者増加の主な原因として、世界人口の増加と高齢化の他に、不健康なライフスタイルが挙げられている。重要なことは、アルコールやたばこを控えて、塩分、肥満、ストレス軽減、活発な身体運動などに注意し、生活習慣を改善することだ。

 高血圧のための代替療法の効果を調査した米国心臓学会(AHA)の科学的ステートメントによると、高血圧対策としてとりわけ効果があるのは、運動や身体活動を増やすことだという。

 研究チームは、2006〜2011年に世界で発表された約1,000件の高血圧に関する研究を解析した。その結果、握力を使うハンドグリップ運動と適度な有酸素運動は、血圧を下げる効果的な方法であることが分かった。

 高血圧の原因はさまざまだが、「血管の収縮」と「血液量の過剰」に大別できる。血管が収縮すると血液が流れにくくなり、心臓が血液を押し出す力が血管壁に強くかかり、血圧が上がる。また、心臓の拍出量が増えて血液量が過剰になると、血管壁にかかる力が増すので、血圧が上がる。

 適度な運動には、交感神経の働きを調整したり、腎臓から塩分を排出しやすくする効果がある。また、血糖や血中脂質の値を改善したり、心臓や肺の働きを良くする効果も期待できる。

 収縮期血圧(上の血圧)が120mmHg以上140mmHg未満、拡張期血圧(下の血圧)が80以上90未満であると、「正常高値血圧」とされ、将来に高血圧症を発症する可能性が高い。

 高血圧の治療は生活習慣の改善が基本だが、血圧が140mmHg/90mmHg以上に上昇し、生活習慣の改善のみでは血圧を十分に改善できなければ、薬物療法が始められる。

 高血圧の薬には多くの種類があるが、「アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)」や「カルシウム拮抗薬」、「利尿薬」などが使われている。

 「血圧がそれほど高くない人では、運動を効果的に続けることで、薬物の服用をやめられるケースもあります」と、ケンタッキー大学のアリソン ベイリー氏(心臓学)は説明する。

 調査では、ハンドグリップ運動やウォーキングなどの有酸素運動を4週間続けることで、収縮期血圧と拡張期血圧を平均10%下げられることが判明した。

 より高い効果を得るためには、運動と食事で肥満を改善することが重要だ。それにより、血圧を10mmHg、改善する効果を期待できるという。

代替療法では十分な治療効果を得られない
 血圧が高い場合は、循環器病のリスクが高くなっているので、医師はメディカルチェックを行い安全に運動をできる状態にあるかを調べる。

 ただし、運動を行うリスクが高い人は、筋肉や骨に障害を抱えている場合が多く、ほとんどの患者は血圧をコントロールしながら安全に運動を行えるという。運動がもたらすメリットは、多くの場合でリスクを上回る。

 「誰にでも勧められる運動は、簡単に、いつでも、どこでもできるウォーキングです。運動習慣のない人には、1日5分程度のウォーキングからはじめ、少しずつ時間を延ばしていくだけで効果を期待できます」と、ベイリー氏は強調する。

 一部では、ヨガや気功、太極拳、メディテーション、はり療法などによるストレス解消が代替療法として有効ともてはやされている。しかし調査では、実際には効果をあまり期待できないことも確かめられた。

 「薬物療法により収縮期血圧を平均して10〜15mmHg下げられることが分かっていますが、代替療法では2〜10mmHgしか下げられません。効果的な治療法とはいえません」と、ミシガン大学のロバート ブルック氏(心臓血管学)は説明する。

 「高血圧の要因として特に注意したいのは、食塩のとり過ぎ、肥満、運動不足です。血圧を下げるためには、まずこの3つの要因を改善することが効果的です」(ブルック氏)。

 運動を始めるのを嫌がる患者や、降圧薬の服用を拒む患者は多くいる。そうした患者が代替療法に飛びつくケースが多いという。「代替療法の全てが良くないというわけではありませんが、思った通りの効果を得られないものも多いので、始めるときには医師に相談してください」と、ブルック氏は付け加えている。

Alternative therapies may help lower blood pressure(米国心臓学会 2013年4月22日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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